第13回 寄生虫づいてます?!<外出編>

※今回、画像を掲載していますが、虫や不快な状態の
 写真はありませんので、ご安心ください。


先週から引き続いて、今日も寄生虫のお話しです。
恐ろしいとか気持ち悪いとか言うばかりでは、
全国の虫博士たちに恥ずかしい! と思いたちまして、
虫博士チームである「ほぼ日」乗組員3人で、
東京都目黒区の「目黒寄生虫館」へ行ってきました。

もちろん、言い出しっぺは
「愛されない虫の広場 R 」担当のシェフです。
「前々から行ってみたかったんだよねー!」
と、とっても楽しみにしている様子のシェフに、
「目黒寄生虫館」を案内してもらいましょう。




その博物館は目黒の権之助坂を下り切り
大鳥神社を越えた左手に建っておりました。
目黒寄生虫館。
そうです、ここは寄生虫の館。
寄生虫は野や山に蜜を求めて
うつくしくはばたく虫ではなく
人や鳥や魚や獣のからだに巣くい
うねうねと暮らす虫であります。
生物にぴったり寄り添って
(体の中だったり外だったり)
その生物がほんらい得るはずの栄養を横取りしつづけ、
その宿主となる生物にはなーんにもいいことがない関係、
それを寄生というそうです。
つまり、ダニとかシラミは寄生していると言えるけど、
カやアブは寄生じゃないんだそうですよ。
そして、寄生虫が原因で、宿主である生物が
病気になることもあるんですけれど、
宿主に致命的な害を与えちゃうと
自分も生きていけないわけだから、
殺すようなまねはしないんだそうです。
なんだか、かえって、こわいですね。
そんな寄生虫を研究し
教育普及活動のひとつとして、建物の1〜2階を
博物館として一般公開しているのが
「目黒寄生虫館」なのでした。

標本が45000点、蔵書が56000点という
おそらく世界一の規模をほこる収蔵品のなかから、
一般の人にわかりやすく、ていねいに、はっきりと、
‥‥つまりなかなかグロテスクなところも正直に、
真っ正面から展示を行なっております。
あ、安心してください。生きている寄生虫はいません!
寄生虫は人工的な飼育が難しいんだそうです。
そのかわり「5%ホルマリン液浸」となった
彼らのようすをながめることができます。
とても、たくさんながめることができます。

1Fでは、寄生虫の基礎知識をまなびます。
壁にそったパネル展示をまず見ていきましょう。

かわいい鳥の絵の下についているボタンを押すと、
絵が上下にがーっと開いて、
鳥の内臓の、どこに寄生虫がいるかを説明してくれます。


寄生虫のライフサイクルを学ぶこともできます。
もちろん「人」にも寄生虫はつきますから
それを解説するパネルもあります。
人につく寄生虫は世界で200種類あって、
日本では100種類が見つかっているんだそうです。
そんなにいるんだ‥‥。
そして、日本の風土病的な、寄生虫による病気の
分布をあらわす日本地図もあります。
「エキノコックス」のボタンを押すと
北海道東北エリアにチカチカとライトが点灯します。
ここで、わが故郷には
どんな寄生虫による病気が
あったのかを理解することができる
というわけです。

さあ、壁面をぐるっと見たら、
思い切ってフロア中央のガラスケースに
向き合いましょう。
ホルマリン漬けの寄生虫が
大量に展示されています。

たとえばですね、「芽殖孤虫」。
この寄生虫にたかられると
大腿部内に
イボ状の結節をつくって、
それが全身に広がるんです。
そのイボをね、破ると、
「幼条虫」が出てくるんだそうです。
こいつはあらゆる臓器に進入して
組織を破壊してしまうというのです!!!
‥‥。
ちなみにこの「芽殖孤虫」の「孤」には
「親がいない」という意味があるそうで、
なぜならば、この虫の「成虫」は
まだ見つかっていないから!!!
まだまだ謎の多い寄生虫の世界にふれる瞬間です。

それから、ウミガメの目玉の表面に
ぷちぷちぷちぷちと大量寄生したヒルの仲間
「ウミエラビル」だとか、
ムササビの大腸を破らんばかりに
ぎっしりつまったぎょう虫だとか、
そういう標本がたっぷりです。
がんばってください。

あ、ちなみに「ぎょう虫」という名前は
この博物館の初代館長「亀谷了」さんにより
命名されたんだそうですよ。
ひとくち知識でした。

2Fにまいりましょう。
大丈夫です、
標本のピークは1Fで終わりました。
2Fでは、寄生虫による病気について、
パネル展示を中心に、くわしい解説がなされています。
たとえばですね、北斎の絵にも描かれた
「バンクロフト糸状虫」って知ってましたか。
私は知らなかった。
足の付け根のリンパ管に寄生するので、
男性の場合ですね、「きゃんたま」が、
「ものすごいこと」になるんだそうです。
足の間に、中型犬を1ぴき、ぶらさげてるくらい
「ものすごいこと」になるのです。
北斎の絵ではその「きゃんたま」を
二人がかりで、えっさほいさっさと
運んでいるシーンが見られます。

写真もばっちり見られます。
パネルの前で「ひゃあ」と叫んで
股間を守る男子の姿も見られるかもしれませんね。

ほかに、マラリア、赤痢アメーバ、
横川吸虫、日本住血吸虫、ぎょう虫、
日本海裂頭条虫(サナダムシ)、エキノコックス、
回虫、アニサキス、そんな寄生虫による病気について
かなり、詳しくなることができます。

え。標本も見たい。
わかりました。じつは2Fにもありました。
「犬の心臓に寄生する、そうめんのようなフィラリア」
「人から取り出した、長さ8.8メートルのサナダムシ」。
ええっ、8.8メートルって言われてもピンとこない!
というあなたのために、
8.8メートルの「ひも」も用意されています。
体にまきつけて
たのしんでみてください。
長いです。

私、これをウキウキと
巻き付けておりましたら、
小学校の先生でしょうか、
「こどもたちに見せるので、
 写真を撮ってもいいですか」
と、私にモデルの依頼をなさいました。
ええどうぞどうぞ。にっこり。

‥‥日本初の寄生虫モデルとして
デビューしてしまうのでしょうか。

さて、もうちょっとです。
残すパネルは「熱帯病の分布」です。
ペスト、リーシュマニア、黄熱、睡眠病、
マラリア、住血吸虫病、
再帰熱、デング熱、
シャーガス病の流行地が
ひとめでわかります。

パンフレットには
「あなたの旅行先で待ちうける熱帯病は?」
なんて元気よく書かれていました。

もちろん「寄生虫はコワイぞ〜」と、
こわがらせることがこの博物館の目的ではありませんので、
寄生虫の予防はどうしたらよいかについても
ちゃんと解説されていますからご安心を。
「ちゃんと予防すればこわくない!」
これが、この博物館で深く理解したことでした。

そうそう、2Fには小部屋があって、
ここでは博物館の歴史と、
先達たちの研究の成果が展示されています。
詳細に描かれた記録観察ノートなどは、
いっそ美しいとすら思うほどの
緻密さです。
博物学好きのかたなどは、
きっと感動することでしょう。
寄生虫の研究にかける
こころざしの高さを感じます。

さて、最後のコーナーにやってまいりました。
読書コーナーと
ミュージアムショップです!

読書コーナーでは、
絵本から専門書まで、
寄生虫についてのさまざまな文献を
読むことが出来ます。
かなり「うわ‥‥」な文献もありますので
よく注意してください。

ショップでは、オリジナルのミュージアムグッズを
販売しています。
これが、なかなか‥‥ええとですね、
たとえば「ほんもののアニサキスを
樹脂でかためたペンダント」とか、
「寄生虫の立体プリントTシャツ」とか。
これは、寄生虫を愛しているからこその暴挙?!
たのしいです。
あ、「サナダムシの立体プリントつきランチバッグ」
なんていうものもありました。
お弁当を入れるんですね。
入れろと言うなら入れますけどね。
いや、うそです、かんべんしてください。

このコーナーには来館ノートもおかれています。
取材ということで訪れたぼくらも
一筆のこしてまいりましたので
これから行かれるかたは
ぜひチェックしてみてください!

ということで、駆け足で回った
「目黒寄生虫館」、
いかがでしたでしょうか。
お近くに寄られたさいは、
ぜひのぞいてみてくださいね。
なお、入館料は無料なのですが、
こちらは補助金や助成金にたよらない
独立採算の公益法人ということで、
運営はなかなかきびしいものがあるということ。
よかったら、1Fロビーで、寄付をしていってくださいね。

以上、シェフのリポートでした。


財団法人目黒寄生虫館
153-0064 東京都目黒区下目黒4-1-1
TEL 03-3716-1264
FAX 03-3716-2322
入館料 無料
開館時間 10時〜17時
休館日 月曜日(祝祭日の場合は翌火曜日)
    年末年始
交通:JR目黒駅西口から権野助坂商店街をまっすぐ、
目黒川、山手通り、大鳥神社をこえた、目黒通り南側。


‥‥いやあ、力が入ったり抜けたりして
読み返すだけで、もうぐったりとしてしまいます。
ただ、今回の「目黒寄生虫館」では、
寄生虫を研究し続けている人の真摯な姿勢を感じ、
ところどころは、神妙な気持ちにもなりました。
でもほとんどは、
ワーとかキャーとかムリムリ!
とか言ってたような気も‥‥

これにて寄生虫特集、ひとたび終了‥‥か?!
みなさまからのメール、引き続きお待ちしています!


★プレゼントのお知らせ★

今回登場しました「目黒寄生虫館」の売店にて、
思わずお土産を買ってきてしまいました。
postman@1101.comまで、
件名を「虫博士プレゼント」として
メールをくださったかたの中から、
抽選で4名様に「目黒寄生虫館」の売店で購入した
グッズをプレゼント致します。

★目黒寄生虫館オリジナルボールペン
(いずれか1本。色はこちらで選ばせていただきますね。)



★目黒寄生虫館ガイドブック
※ガイドブックの表紙は写真です。苦手な方も多いことが
 予想されますので、画像は控えさせていただきました。

ボールペンを3名様、ガイドブックを1名様に差し上げます。
ボールペンかガイドブックか、ご希望を書いて
ぜひご応募くださいね。
目黒寄生虫館でしか手に入らないレアグッズです。
当選された方には「ほぼ日」から
住所などをおうかがいするご連絡をいたします。
プレゼントの応募締め切りは、
11月7日(月)午前11時までです。
たくさんのご応募お待ちしています〜!

※プレゼントの応募は締め切りました。
 ご応募ありがとうございました。



今回登場した虫たちをご覧になりたい場合は、
こちらをクリックしてどうぞ。
(検索エンジンgoogleの
 イメージ検索を利用しています。)


エキノコックス サナダムシ
バンクロフト糸状虫

 

2005-10-30-SUN



(c)2005 Hobo Nikkan Itoi Shinbun