また、一年が経ちました。
去年の6月6日は、創刊10周年記念で、
いかにもめでたい感じがあったのですが、
今年は創刊11周年というわけで、
これまたいかにも、なんでもない感じです。

なんでもなさそうな時に起こっていることが、
ほんとに大事だということを、ぼくらは知っています。

植物でいえば、枝が伸びたり、葉が繁ったり、
花が咲いたり、実がなったりするのは、
ちっともなんでもないことじゃないのですが、
すべての時に、土の中では根が張り続けています。
そして、水や栄養を吸収しています。

比喩として、よく、根を張ることについて語られます。
根を張っていることは、基本的な体力の喩えになります。

花瓶の花もいいのですが、
それは、ゆるやかに死んでいくものの美しさです。
土に根を張っている花は、
そこに生き続ける希望を抱えています。
枯れたように見える樹木でも、
まだ土の中で根が生きているなら、
まだまだ続くいのちを芽吹かせてくれます。

なんでもない日、なんでもない年。
そういう時には、根を張っているのだと思います。
無数の毛細血管のように細かい根毛は、
たとえば、創刊11周年みたいな年に、
よく伸ばしたり、よく育てたりしたいものです。

世の中、あんまり元気のいい話が聞こえてきませんが、
こういう時も、できることは確かにあります。
つまりは、根を張ることです、そう思います。
笑いながら根を張る。
一年や二年、花が咲かなくたって気にしない、
というくらいの気持ちで根を育てましょう。
そしたら、結果として、きっと、
花も実もお見せできるようになるでしょう。

まるっきり期待されないというのも
張り合いがないですが、
11年ほど植わっている庭の木をながめるように、
なんとなく毎日見ていてもらえたら、うれしいです。
一足飛びに巨木になったりはしないけれど、
ハンモックを吊ってもらったり、
木登りをして遊んでもらえたり、
ちょっとした果実を食べてもらえたりね、
そのくらいのお礼は、できると思うんです。

「ほぼ日」に来てくれて、ありがとうございます。
こんな読みにくい挨拶まで読んでくれて、
どうもありがとうございました。
読んでもらえるから、いろんなことができます。
また、これから1年、
おたがいに健康で元気でいられますように。
祈ります。