第7回 誰にも邪魔されずにジャガイモを食いたい。

イトイ 断食していた期間は、
けっきょく何日になりましたか。
もりかわ 116時間ですから、だいたい5日間ですね。
そこから、回復食になりました。
イトイ 最初の回復食は、やっぱりうれしかった。
もりかわ そうですね‥‥気持ちとしては、
このまま断食を続けてもかまわない心境なんです。
スイッチが入ってますから。
だから回復食が出ても、
バンザイっていう感じではなかったですね。
イトイ それは、ほかの人も同じだったんですか。
もりかわ うーん、どうなんだろう?
みんなスイッチは入ってたと思うんですけど‥‥。
ただ、最初の回復食で、
お椀を開けたら“お麩”が3個入ってて。
その時は歓声があがりましたね。

イトイ (笑)3個のお麩がうれしい、いいなぁ。
もりかわ まあ、ぼくも、
気持ちは「食べなくてもいい」なんですけど、
やっぱりからだが栄養をよろこぶんですよ。
イトイ あー、そうでしょうね。
からだは何に、いちばんよろこびました?
もりかわ 最初の味噌汁の、出汁。
あの、カツオの出汁が‥‥。
イトイ アミノ酸だ。
もりかわ あれは、すごかったですね‥‥。
細胞と細胞の間に、しみわたるような。
イトイ 旨みが。
もりかわ じわぁっと。
イトイ ‥‥うらやましい、うらやましいですね。
その感動は普通じゃ手に入らないから。
森川くんと、その仕組みとが、
いっしょにつくったものだからね。
もりかわ あとは、やっぱり回復食の1日目に
ちいさな梅干しが出たんですけど、
あれもうれしかったですねぇ‥‥。
ものすごくうれしいんですよ、味覚も塩分も。
タネを出さなくちゃならないのが、
もう、口惜しくて口惜しくて。
イトイ (笑)
もりかわ ずっと口の中にタネを隠して
このまんま部屋に持ち帰ってしまおうか! とか、
いや、そんなことしたらやっぱりバレるとか、
いろいろ考えましたよね。
けっきょく出したんですけど‥‥。
でもね、あとで配膳の人に聞いてみたら、
けっこう無くなるらしいんですよ、タネ。
イトイ みんな持っていくんだ(笑)。
‥‥車麩が角煮に見えたっていうの、
あれもよかったなぁ。
もりかわ あのときも、大きな歓声があがりましたねぇ。
「豚の角煮が!」って。
イトイ 出るわけがないのに(笑)。
もりかわ 角煮じゃないことに気付いてからも、
「いやぁ、ボリュームありますなぁ!」とか、
「もう、これ、普段食ですなぁ!」とか。
イトイ (笑)

もりかわ あとで見ると、ぜんっぜん普段食じゃないのに。
イトイ 見えるんだ(笑)。
もりかわ 見えるんですねぇ。
イトイ ちょっと戦友っぽい感じなんでしょうねぇ、
そのオヤジっぽい盛り上がりは(笑)。
‥‥それと、あれ、何でしたっけGI値?
もりかわ はい、GI値。
GI値が低いほど血糖値を上げにくいっていう、
ゆっくり溶けていくイメージですね。
逆にGI値が高いと、溶けやすい。
そういうのが食品ぜんぶにあるんですよ。
で、断食をしていると、
弱った胃が、そのGI値の高いものばっかり
欲しがることに気づいたんです。
イトイ おもゆとか。
もりかわ ええ。ジャガイモもそうです。
GI値が高い。
イトイ あー、
ジャガイモが食べたくなるって言ってましたよね。
もりかわ そうなんですよ。
断食にいく前は、カボチャとか、サツマイモとか、
ジャガイモとか、ほくほく系のものって
あんまり好きじゃなかったのに。
イトイ 食べたくなっちゃう。
回復食にも、たしか出てましたよね。
もりかわ けっこう出ましたね。
イトイ そういうことをわかってるんだ。
もりかわ ええ、ちゃんとわかってるんです。
でも、量がね‥‥すこしなんで‥‥。
ずーっと考えてましたよ。
あぁ、丸ごと1個、
誰にも邪魔されずにジャガイモを食いたい!って。
イトイ (笑)
(続きます!)
 
 
2007-07-05-THU
 
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