カレーと、将棋と、熱いトークの夕べ。【報告編】[対談]森内俊之九段(プロ棋士)×水野仁輔
[はじめに]ちょっと変わったトークイベント。

こんにちは。「カレーの学校」スタッフの田中です。

水野仁輔さんとほぼ日がおこなう
「カレーの学校」では、日々カレーをテーマに
さまざまな活動を行っています。

(詳しくはこちらへ)

そのひとつが、2017年5月に開催したトークイベント
『カレーと、将棋と、熱いトークの夕べ』。

カレー好きで知られるプロ棋士の森内俊之九段と、
実は将棋が大好きな水野さんが、
80人のお客さんを前に、カレーと将棋をテーマに
ざっくばらんに話をしたイベントです。

おふたりの共通点としては、
将棋とカレーの両方が好きであること。

それぞれの世界の第一線で活躍されていること。

同世代であること。

話がおもしろいこと‥‥などなど。

ただ、通じるところは数多くありつつも、
違うジャンルの「将棋」と「カレー」を
組み合わせたトークイベントだけに、
当日までどんな話になるのか、
読めないところがありました。

‥‥が、実際にイベントがはじまると、
サービス精神が旺盛なおふたりの息はぴったり。

将棋とカレー、両方の世界のおもしろさが交錯し、
この日しか聞けない話がたくさん飛び出した、
大盛り上がりの2時間となりました。

たとえば、こんな話がとびだしました。

「対局の途中でカレーを食べるときの気分は?」
「陣屋カレーの味は?」
「カレーにおける大局観について」
「藤井四段との対局について思うこと」
「負けが続いたときの気分転換は?」
「将棋とカレーの未来について」‥‥などなど。

またこの日は、水野さんが作ったカレーを
森内さんと会場のみんなで食べる時間もありました。

カレーを実際に食べる森内さんに、
会場の将棋ファンが沸きました。

カレーを食べる時間は「質問タイム」となり、
ここでも笑いがたくさん起きました。

さらに、森内さんが「思い出の一手」について
盤面を前に解説してくれる時間までありました。

将棋の知識があまりない人にもわかりやすいように
森内さんが丁寧に話してくださって、
これまたおもしろい時間になりました。

そんな、このときならではの話が
たくさん登場したこちらのトークイベント。

当日会場に来られなかった人にも
そのおもしろさを共有できたらと、
「カレーの学校」のウェブ課外授業として、
ほぼ日での連載のかたちでご紹介します。

まずはイントロダクションとして、
水野さんと森内さんによる
事前の打ち合わせの様子をご紹介します。

場面は、当日出すカレーについて
ふたりが話しているところです。

(進行方法の相談が、あるていど終わったあとで)

水野
‥‥今回イベントでは、どこかのタイミングで
ぼくが作ったカレーを出そうと思うんですが、
苦手なものとかありますか?
森内
そうですね、水野さんの著書を拝見してましたら、
いろいろなカレーが出てまして。
水野
はい。いろいろありますね。
森内
そのなかで、ひとつだけダメだと思ったのは、
梅干しを使ったカレーですね。

わたしは梅干しが苦手なので、それだけは。
水野
あ、そうなんですか。

苦手な理由は、酸味とかですか?
森内
どうしてなんでしょうね。

たしかに酸っぱいのはあまり得意じゃないんですけど。
水野
じゃあ、あまり酸味はきかせないほうがいいですね。

梅干し以外だったら、たとえばレモンとかも?
森内
レモンは大丈夫です。
水野
トマトの酸味も……。
森内
トマトは大丈夫です。
水野
なるほど。

じゃああとは‥‥辛味はどうですか?
森内
辛すぎるのは苦手ですね。

カレー屋さんで辛さを選べるときは
いつも中辛ぐらいにします。

激辛とか頼んだことはないです。
水野
たぶん、今回80人のお客さんだと、
10人ぐらいは「辛いのは絶対ダメ!」という方が
いらっしゃるので、
そんなに辛くはしないと思いますけれども。
森内
あ、よかったです。
水野
あと、なにか
「とくべつこういうカレーが好き」
みたいなことってありますか?
森内
ええと‥‥あの、わたし、カレーを食べて
イヤだったことがあまりないんです。
水野
じゃあ、欧風カレーでも、タイカレーでも、
インドカレーでも? 
森内
なんでも大丈夫です。

ただ、なにかで水野さんは日本のカレーに
こだわりがあるとお聞きしたんですけれど。
水野
あ、そうなんです。

ぼく自身はインド料理やタイ料理というより、
日本人が作る、白いご飯で食べる日本のカレーが
いちばん好きなんです。

インド的なスパイスの使い方とか、
エッセンスはけっこう入るんですけど。
森内
そういえば、ひとつお伝えすると‥‥。
水野
あ、ぜひぜひ。
森内
福神漬けかラッキョウかを選ぶときには、
ラッキョウを選びますね。
水野
なるほど、ラッキョウ派。
森内
はい、どちらかといえばラッキョウ派です。
水野
わかりました。そんなところでしょうか。

それではカレーについては
お任せいただいて大丈夫ですか?
森内
はい、大丈夫です。

とてもたのしみです。
水野
これは責任重大ですね。がんばります。

さて、この話をもとに、
当日はどんなカレーが振る舞われたのでしょうか。

(実際に作られたカレーのレシピは
8月1日に公開します)

(つづきます)

2017-07-28-FRI
カレースター計画