緑のなかに出かけようよ。
先輩、後輩、そしてなかよし。

たのしい仲間といっしょに一泊だけ、
緑あるところに出かけてみましょう。
おなじものを食べ、火をたいて、
終わりのない夜をむかえます。

ふだんとちがうおしゃべりが花開き、
いつの日か、
「そういや、あんなこともしたよね」と思い出す
時間になるにちがいありません。
3人が訪問したところ:WOODLAND BOTHY
第23回(最終回) エヘヘと笑っているしかない。
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みうら
「いやげ物展」という展覧会を
開催したことがありました。
各地で買った、木彫りのヴィーナスのような
みやげ物ばかりを置いて
みなさんに見てもらう展覧会です。
そこにイギリス人とアメリカ人と韓国人が
インタビューに来ました。
韓国人はちょっと怒ってる感じで
「どこがおもしろいのか」と言ってました。
アメリカ人は「意味がわかりません」と言いました。
イギリス人だけがうなずいて、
「あなた意地悪ですね」と言いました。
糸井
「ザッツライト」ですね。
みうら
イギリス人はわかっていました。
「イギリスで展覧会してください、
みんな喜びますよ」
と言われました。
おもしろいな(笑)。
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みうら
いちばんわかってくれないのは、
アメリカ人でした(笑)。
糸井
「ぜんぶ言ってくれなきゃ」
というのがアメリカの考え方なのかもしれないね。
どこがおもしろいか説明してください、と。
言ってもらったら納得するのかな。
糸井
「ひとことで言うと何?」みたいなことが
求められているのかなぁ。
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みうら
ええ、アメリカ人のインタビューは
終始そんな感じでした、
アメリカは国が大きいからですね。
「みんなが理解できません」ということじゃ、
やっぱりだめなんですよ。
アメリカだからかな。
アート関係がそうなっちゃってるらしいね。
みうら
ちゃんと説明できないとだめだ、
ってことですね。
横尾さんが書かれてましたね。
「なんとなく作ったんだ」
なんて言ってもだめなんだ、と。
みうら
横尾忠則さんに対してそうなんだったら、
もうすべてじゃないですか。
「意味がわからないこと」って、
そんなに面倒くさいんでしょうか。
糸井
「これは、こういうテーマなんですよ」
「◯◯を批判してるんです」
それがないとね。
そうそう、批判しないと。
糸井
日本の現代アートは、
そこを説明しようと苦労してるね。
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でも、説明したら自分がつまんないね。
みうら
仕事みたいですよね、それじゃ。
糸井
「狙いは?」なんてことになっちゃうから。
「狙わないところがいいんです」
なんてことは言いたくないし。
みうら
それも気取ってるみたいですよね。
だからぼくは、
「エヘヘ」と笑っているしかないんです。
この人には訊いてもしょうがないな、と
思ってもらうようにしています。
糸井
そうだよな。
いい話だな。
みうら
はい。
たのしかったです。
こんな時間をすごせるなんて、
思いませんでした。
あぁ、もうすっかり東京だ。
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糸井
東京ナイズされちゃった。
あ、ちがうよ、
今回は最初から最後まで、
東京なんだよ。
みうら
そうですよ、
出発も行き先も東京です。
東京から東京への旅だったんですよ。
でも、いろんなことをぎっしりさせてもらったから、
1日が長かった。
時間としては24時間とちょっとくらいですよね?
糸井
おもしろかったね。
みうら
ええ、おもしろかったです。
おもしろかった。
昨日、テントに到着したときは、
パリに来たみたいだと思ったよ。
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みうら
うん、うん(笑)。
で、景色もいいし。
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みうら
うん、うん。
糸井
みんなが民家で寝たのもあんがいよかったね。
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よかった、よかった。
みうら
コーヒーキャンディからはじまり、
コーヒーキャンディで終わる。
まぁ、山には出かけなくても、
キャンディさえあれば
もしかしたら話はできたのかもしれないけど、
どこかに出かけて気分が変わることが
大切ですから。
糸井
何をいちばん憶えてる? 
みうら
花火‥‥ですかねぇ? 
糸井
花火? 
みうら
夜寝る前に、みんなでやった花火です。
花火じたいはたいしておもしろくなかったけど、
あのシーンをなぜかいちばん、
よく憶えています。
糸井
それは写真を撮ったからだよ。
みうら
あ、そうだ。
糸井
俺がツイートした花火の写真を、
みうらに見せたからだよ。
みうら
ああ、そうだ、
あの写真をもっぺん見たからだ(笑)。
子どもがアルバムの写真を
自分の記憶だと思うのと同じだね。
(おしまいです)
2019-12-31-TUE