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April
ある日の日記(13)

入学時に渡されたテキスト、20種類のストーン、学生証

今日はGem-Aの授業の日だった。
Gem-Aとは、英国宝石学協会
(The Gemmological Association of Great Britain)のこと。
この組織は宝石学の学校の役割も果たしており、
私は今年の2月から生徒として本部の建物に
授業を受けに通っている。


Gem-Aの建物。
 

Gem-Aは、宝石商やジュエリー職人の工房がひしめきあう
ロンドンのHatton Gardenという道のすぐ隣にある。
ここでは、宝石に関する仕事をしている人や
これからそういう仕事につきたいと考えている人のための
ワークショップやコースが開催されているのだ。



担任の先生、リジー。後ろの台の左端に置かれている黒い箱は紫外線の長波と短波で宝石を識別する機械。
 



授業の様子。毎回、机の上は小道具と石でこのように散らかる。
 

私がいま在籍しているのは約半年間の宝石学の基礎コースで、
宝石への理解を深め、石の識別スキルを磨くというもの。
そのあと1年間の学位コースに進み
最終試験に合格した人々は「Gemmologist」と呼ばれる。
半年や1年というと短期間に聞こえるが、
それぞれ辞書のように分厚いテキストを
1回の授業につき何十ページというスピードですすんでいく。
学位のコースにいたっては4年制大学卒業と同等資格なので
さらに濃縮された授業内容となっていて
Gemmologistの友人によると
寝る暇もないほど試験と課題に追われるという話である。
私はそこまでたどり着けないのではないだろうか、と不安だ。

仕事で宝石を扱うとき、これまで私は
識別が難しいものは仕入れないように気をつけていたし、
それでも、という時は専門家に品物を鑑定してもらっていたが
自分自身がGemmologistになれば
仕事がもっと楽しくなるだろうと考えた。

Gem-A入学時に、
各生徒は20種類のストーン(模造石含む)、
カラーフィルター、リフラクトロメター等、
識別作業に必要な道具一式をGem-Aから与えられる。

ルビーやエメラルドなどを20種類ももらって
顔を見合わせウフフと浮かれた私たち新入生だったが、
授業がはじまってみると、それらはただの自宅練習用であり、
実際に学ぶストーンは、原石、模造石、
人工的にトリートメントが行われた石などを含めると
かるく100を越えることが分かった。


10倍ルーペで宝石を見ても確認できない識別項目がある場合、顕微鏡を使うことも。
 


いつも向かいに座っているクラスメイトのラーダ。
教室には一番乗りで宿題もきっちりやってくる。私のお手本。

教わることはすぐに仕事の役に立つ実践的なものだ。
宝石の生成、採掘から消費者の手にわたるまでの過程や
産地、加工方法、含有物の特徴、などなど、どれも興味深い。
ただ、私は10代のときに最も苦手だった科目、化学を
この歳になって再びみっちりやることになるとは
まったく予想できていなかった。
その点は日々苦行のようである。

宝石学は、原子のレベルまで物質の構造を掘り下げて学ぶ。
原子同士の結びつきが強い物質は硬質な素材となり、
適切なカットのスタイルも変わってくる。
それに、宝石の色は含まれている元素によって決まるので
どうしても化学は避けて通れないのだ。

基礎コースは試験が全部で5回あり
今のところ3回目までなんとか合格したが、
最もやっかいなのは論述問題がたっぷりある最終試験。
このあいだ過去問題を見たら、難しくて震え上がってしまった。
けれども、よく考えたらこれでもまだ基礎コースなのだ。
Gemmologistへの道は始まったばかり。
べそをかきながらでも、地道にやるしかなさそうだ。

※写真はGem-Aの許可を得て撮影、掲載したもの。


2014-04-26-SAT

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