小さい ことばを 歌う場所


(担当編集者、永田のレポート)


糸井重里が1年のあいだに書きためたことば。
そこから抜き出した、心に刺さる「小さいことば」。
「本にしちゃだめですか、本にしましょうよ」と
しつこく何度も言い続けていると
糸井は、ひとつの結論として、言いました。

「私家版のようにして売るのであれば、
 ありうるかもしれないね」と。

私家版。ようするに、
親しい人にくばるようなものとしてなら、
という意味です。

つまり、本屋さんに卸す、通常の本としてではなく、
ほぼ日のサイトを通じて、希望する人にのみ、お売りする。

なるほど、それはこの本の性質に
とても合っているように感じられました。
というのも、この本は、
道行く人に大声を張り上げて、
「絶対に損はさせませんから
 だまされたと思ってぜひ買ってください!」
と訴えるようなものではないと思うのです。

興味のない人を無理矢理に振り向かせて
価値や意義を説明するような本ではない。
けれども、興味を持ってくださった人に対しては
きっと満足してもらえる自信がある。

そういう本は、
ほぼ日を介した手渡しのような販売方法が
とてもしっくりくるように思えました。

ほぼ日ストアのみでの販売。
注文を受けてから印刷する、受注販売形式での販売。
それでやってみよう、と方針は決まりました。

しかし、折しもそのころ、
ほぼ日刊イトイ新聞では
「11月に6冊の本を出す!」という
てんやわんやの時期にさしかかっていました。
あの、嵐のような出版ラッシュに、
この「小さな本」を混ぜるのは
明らかに違うだろうと思いました。

それで、この本はまたしばらく
またちゅうぶらりん状態に戻ります。
実質的な作業がはじまったのは
去年の年末からでした。


(つづく)



2007-02-15-THU