誰かを応援してますか。 誰かを応援してますか。
「青空応援団」という、
社会人の応援団があります。
ほぼ日は、この方々に
応援を依頼することにしました。
がんばりたいことがあるからです。
団長の平了さん、副団長の佐々木良さんに
ほぼ日の菅野がお話をうかがいました。
第5回 対等であるかどうか。
写真
ほぼ日
「怖いけど味方である」
応援団って、
ちょっと不思議な存在ですね。
それが応援団の役割だと思います。
がんばる人の味方であることは
間違いないから。
ほぼ日
がんばらない人の味方はしないですか。
しない。
いや、したいんだけど、できないんだよ。
したいんだけど、
朝起きる気がない子に
「起きろ、起きろ」といっても
起きないでしょう。
それは、俺たちにはお手上げです。
ほぼ日
でも、振り返れば震災のとき、
がんばりたくてもがんばれない人たちが
たくさんいらっしゃいました。
スコップ団がやっていた清掃って、
がんばれない人たちに向けた、
静かな応援だったんじゃないでしょうか。
うん。きっとそうですね。
あの頃は「応援」という言葉は
使わなかったけど、
たぶんそうだったと思う。
ほぼ日
今後は別の場所に移るかもしれないし、
住まなくなるかもしれないけれども、
目の前の泥を洗い流して、
思い出の品を見つけてきれいにする行為は、
たしかに応援だったんじゃないかといま思います。
応援はね、
お礼を言われるために
やるわけじゃないんですよ。
こっちが好きでやっている、
というのが基本です。
写真
ほぼ日
スコップ団も、好きでやっていた。
あれは当たり前のことじゃん? 
「お礼を言う、言われる」
という関係じゃなくて、
お互い対等ですよ。
スコップ団も応援団も、
その気持ちはずっとあります。
「してあげる、してもらう」なんてことじゃない。
ほぼ日
そうですね、その言葉遣いだと
「支援」になってしまいますね。
そう。お互いが応援しあう関係です。
ほんとうはみんな、生きているだけで
誰かの力になったりしてるじゃない? 
みんなそこにいるだけで
応援になっているはずなのに、
気づいていないだけなんじゃないの? 
それはべつに「してあげた」ことじゃないでしょう。
写真
ほぼ日
なんだか生意気に、
ひとり生きているような気分に
なってしまうけれども‥‥。
そんなはずはないんだ。
迷惑も、いるだけでつねにかけまくっているんだから。
だから思う存分、迷惑かけつづけていいんです。
そこにいるだけで誰かの力になっているということも
同時に真実なんだからね。



なかにはね、生まれてこの方、
はっきりと応援されたことがない人だって
いるんだよ。
ほぼ日
応援団に、生まれてはじめて応援される人も、
いるかもしれないですね。
そういう人は、必ず俺たちの応援を
これからの生きる力にしていきます。
これはまちがいない。
応援の力ってすごいと思う。
ほぼ日
うん、応援はやっぱり、
自立の助けになると思います。
なぜかわからないけど、
応援してくれる人がいたというだけで
強くなれる。
俺ね、いま世の中に必要なのは、
「お母さん」と「応援」だと思うんだよ。
ほぼ日
お母さんって何ですか?
湧き出るような愛情というか(笑)‥‥、
面倒を見てくれるとかじゃないんだよ、
なんていったらいいんだろうな、
シャツ脱いだら勝手にクリーニングに出したり、
からだのことを考えてくれたりするでしょ、
お母さんって。
その商売、受けるし儲かる気がするんだよなぁ。
写真
ほぼ日
つまり「気にかけてくれる」ってことかな。
うん、そうだね、そういう会社。
それがあったらいいなぁと思う。
ほぼ日
なるほど。
俺たち、2014年にフランスに行ったんですよ、
ジャパンエキスポで。
ほぼ日
はい、そのビデオを見たことがあります。
そのとき知ったんだけど、
「がんばれ」って言葉は
日本にしかないんですって。
たしかに英語にぴったりのがないんですよ。
「go ahead」とか「hang in there」とかね。
でもどれも日本語の「がんばれ」とはちがう。
ほぼ日
そうですね「がんばる」って
もっと漠然としてますね。
チア(リーディング)はあるけど、
応援団は日本にしかない。
「日本のマンガに出てくる
応援団が生で見られるぞ!」
ということで、
フランスではとてもよろこばれました。
でもさ、俺たちは日本語でエールを送るわけ。
だからまぁ、見てくれる人の中で
ひとりでもフランスの人がいたらいいな、
なんて思ってたんだけども、
フランスの人たち、応援見てほぼ泣いてたよ。
ほぼ日
日本語なのに?
日本語なのに。伝わるんだ。
応援してほしい人いますか、って訊くと、
フランス語であれこれあれこれ言ってくる。
ぜんぜんわからないんだけど、通訳の人が
「いま、こういう壁にぶつかっていて」
と言ったりするわけ。
勇気を出して言ってくれてるんだよね。



それ聞いて、俺たちはエールしました。
出番が終わるのを何時間も待って、
握手してったおばちゃんもいたし、
「日本に帰らないで結婚してくれ」
という人たちもいっぱいいました。
ほぼ日
すごい。
応援は世界共通になるかも。
青空は境界がないね。
この応援の考え、ホントに
海外でも流行らないかな。
写真
(つづきます)
2019-10-29-TUE