第4回
「権助提灯」を観て





永田 ええと、本日は、
先週の放送が連休中だったこともあり
平日にあらためて
しゃべることになったわけですが。
西本 誰もいないオフィスに集まった
先週とはうってかわって、
全社員が仕事しているなかでの雑談です。
糸井 ちょっとばたばたしていますね。
永田 そもそも、奥の部屋で
こっそりやろうとしてたら
「そこは打ち合わせで使うから
 テレビの前のソファーに行け」と。
西本 そうかと思うと、
「やっぱりあんたらは奥へ行け」と。
糸井 で、確認し直したところ、
「やっぱり奥には来るな」と。
永田 社内でたらい回しにされている
ほぼ日テレビガイド男子部です。
糸井 流浪のコンテンツです。
西本 ほぼ日内『タモリ倶楽部』という感じですね。
永田 うまい。
糸井 うまい。
西本 ありがとうございます。
糸井 しかしですねえ!
仮にもぼくは社長ですよ!
西本 それが、あっちへ行け、こっちへ行けと。
永田 あっ、びっくり!
これ、『権助提灯』じゃん!
ふたり おおっ!
永田 うわあ、なんてキレイな枕だろう。
西本 ぼくと永田さんが権助役で。
糸井 ソファと奥の部屋を行ったり来たり。
永田 「もう、夜が明ける」と。
西本 わはははは。
糸井 わはははは。
来客 すいません、打ち合わせで来たのですが、
小川さんはいらっしゃいますか。
永田 あわわわわ。
西本 はい、少々、お待ち‥‥。
糸井 おがわー! おきゃくさんー!
小川 (奥から)はーい。
永田 ‥‥やっぱり、落ち着きませんね。
西本 ‥‥流浪の男子部です。
糸井 ‥‥仮にもぼくは社長ですよ?
永田 意外に枕が簡単に終わりましたので、
さくさくと本編に行きましょうか。
糸井 ところがぼくはこんなときに限って
とっておきの枕話を用意しているんです。
永田 じゃあ、それは来週に回していただくとして。
糸井 仮にもぼくは社長ですよ?
永田 さっさとお願いします!
糸井 ありがとうございます、権助さん。
ええと、今回、虎児が話した
現代風『権助提灯』のなかで、
提灯の代わりになっていたのはなんでしたか?
永田 ナビですよ。カーナビ。
糸井 そのとおり。じつは連休中、
ぼくはナビを信じて
あっちこっちに振り回されたんです。
西本 あっ、あの話ですか。
糸井 そうです、その話です。
永田 どの話ですか。
西本 連休中のある日、糸井さんが
突然、我が家を訪れたんですよ。
永田 へえ。予告なく。
西本 朝11時くらいに、
突然、嫁がぼくを起こすんです。
「あんた! あんた!」と。
永田 まあ、「あんた!」とは言わないけどね。
西本 ドラマであれば、ここから
劇中劇に入ってほしいところです。
「あんた、起きとくれ! たいへんだよ!
 玄関にイトイさんが!」
永田 わははははははは。
っていうか、なんなんですかそれは。
糸井さんはなにしに行ったんですか。
糸井 まあ、ひと言でいえば、
ゴールデンウィーク中、
ぼくはたいへんヒマだったんです。
ふたり あはははははは。
糸井 でね、まあ、ちょっと行ってみるかと。
永田 予告なしに。
糸井 うん。まあ、へんに予告して、
気を遣われても困るじゃないですか。
ばたばたとコーヒーなんか出されたりしてさ。
永田 「ここが寝室なんですよ」
なんつって案内されたりしてね。
西本 しかも、うち、新築じゃないしね。
築30年のマンションだし。
糸井 わけても赤ん坊が
生まれたばかりの家ですからね。
慌てて掃除させたりするのも
悪いじゃないですか。
西本 うちの嫁が慌てて化粧したりとかね。
永田 「ご飯は食べて来られるのかしら?」
とかね。
糸井 「なに、西本、
 ふだんはそんな服着てるの?」
とかね。
永田 行くほうも来られるほうも
めんどうくさいだろう、と。
糸井 そうです。だから、あえて連絡なしで。
ま、いわば、バズーカですね。
ふたり 「早朝バズーカ」。
糸井 「バズーカですね」って言う
ぼくもぼくですけど、
それに答えてふたりして
「早朝バズーカ」って声をそろえるのも
どうかと思いますよ。
若い人たちにはなにがなんだか
わからないですよ。
西本 よくわからない方は
「早朝バズーカ」で検索してみてください。
永田 まあ、ともかく、ヒマな社長としては、
玄関先でバズーカ1発撃って失礼しよう、と。
糸井 そうそうそう。
ま、ヒマだし、ってんでね、
天気のいい休日に、
よっこらしょとバズーカをかついで
家を出たわけですよ。
そしたらね、
バズーカ持ったまま迷っちゃった。
ふたり うははははははははは。
糸井 それというのもナビなんですよ!
たいへんだったんですよ、ほんとに!
つまりね、住所を頼りに行ったんだけどね、
個人のお宅を探すには、
ナビは意外に適してないんですよ。
おれは41番地に行きたいのに、
なぜか38あたりで止められたりするんですよ。
永田 ああ、ナビってそういうところありますね。
「目的地に近づきましたので案内を終了します」
とか、突然言われたりする。
おいおい、詰めが甘いだろう、みたいな。
糸井 そういうことなんですよ。
しかも、41と38が妙に離れてたり、
ブロックの反対側にあったりするんですよ。
で、まあ、20分くらいかな?
西本 20分も!
糸井 しかも、あんまり見つからないもんだから。
「ここに長く駐車するわけにもいかないなあ」
なんて思ったりして、
けっきょく駐車場所を3回も変えてね。
永田 3回も!
糸井 最終的には100円パーキングに
きちんとクルマを入れてね。
そこで、こう、腕組みして、
「おれはいったいなにをやってるんだ?」と。
ふたり わははははははは!
糸井 しみじみと考えましたね。
永田 かたわらにバズーカを置いて。
糸井 そうそう。弾をこめたままのね。
しかもね、
西本がちっとも電話に出ないんですよ!
西本 あとから着信履歴を見てびっくりしました。
糸井さんから16回くらい入ってましたから。
永田 わははははは。
糸井 なんかさあ、西本ってさあ、
しょっちゅう携帯電話に出て、
誰かとしゃべっちゃあ、
舌打ちしてるイメージがあるじゃないですか。
永田 あるあるあるある(笑)。
「ぁあ、どーも西本ですぅ!
 そぉすか、ほんとっすか」みたいな。
糸井 そんな男がちっとも電話に出ないんですよ。
西本 着信履歴のひとつひとつに、
「出ろよ!」「出ろよ!」
「出ろよ!」っていう
糸井さんの悲痛な叫びがこもってましたよ。
糸井 そんなわけですから、もう、ぼくは、
カーナビに翻弄されて、
バズーカかついだまま、
世田谷をぐるぐる回ってたわけですよ。
永田 ちょっとした不審者ですね。
糸井 言っときますけど、
ほんとうにバズーカを
かついでたわけじゃありませんよ?
永田 そんなことはわかってますよ。
糸井 いや、わかっていることは
わかってるんですけどね。
永田 わかってることはわかってることも
わかってますけども。
糸井 あ、わかってることをわかってることは
わかってましたか。
永田 ええ。わかってることをわかってることは
わかってましたよ。
糸井 わかってることをわかってることが
わかってるならいいんですよ。
西本 えっ、わかってることをわかってることが
わかってるならいいんですか!
永田 もういいよ。
西本 まあ、そんな糸井さんでしたが、
けっきょく我が家に滞在したのは
ほんとうに2分ばかり。
糸井 見事に玄関先でバズーカを撃って帰りましたよ。
状況が状況だけに、
心なしか湿り気味でしたけどね。
ズドンと哀しい音がしましたよ。
ま、行ったり来たりの、ひどい目に遭ったと。
そういうナビつながりの枕話だったわけです。
永田 さっさと本編に行きましょう。
西本 じゃあ、たまにはぼくから。
ええ〜、今回は
「駅の回」と「道の回」のたとえでいうと
「道の回」じゃないかと思いました。
糸井 おお、懐かしい言い回しですね。
永田 ちなみにこの言い回しは
『新選組!』のときのテレビガイド
使われたことばで、
「駅の回」はドラマのキーとなる回、
「道の回」はつなぎとなる回を指します。
西本 先週の『茶の湯』の回のクオリティーの高さや
番組終了時の「あっぱれ!」という
気持ちよさとくらべると
「楽しませてもらったけど
 前回が強烈だっただけに‥‥」
という感じです。
糸井 わりと大胆な発言ですね。
にしもっちゃん、それはあれじゃないですか、
今回が愛人をテーマにした、
新婚夫婦には
微妙な回だったからじゃないですか。
西本 ああ、たしかに嫁と観てましたから。
糸井 新婚にはあまりよくないですよ。
テレビから、「浮気」とか「妾」とかいう
ことばが流れてきただけで‥‥。
西本 ちょっと気まずいですね。
永田 冷静になると、
妙に生々しい話ではありますよね。
なんというか、こう、女の人が
ものみたいに扱われているというか。
ま、落語にはしょっちゅう出てきますけど。
そういうデリケートな部分を含むので。
糸井 でも、ほんとうのところは
ものの部分の方が強いという話ですよね。
永田 そうですね。落語部分は完全にそうだし。
ドラマのほうでも、もの、つまり、
女性のほうを強くする演出が
きちんとほどこされてましたよね。
具体的には森下愛子さんの
あっけらかんとした強いキャラクターと、
家を往復させられるときに
いい気分で酔っぱらっているという設定。
いつもながら、観る側が
余計な気苦労をしなくてすむような
細かいサービスがあるなあと思いました。
糸井 それはあるかもなぁ。
でも、ぼくらが感じてるようなことは
じつは女性の視聴者なんかは
ほとんど感じてなかったりしますよね。
西本 きっとそうなんですよねえ。
糸井 つまり、あなたの嫁なんかに言わせてみれば
「なにドキドキしてるのよ?」ってことです。
「バカじゃない?」ということです。
それって『権助提灯』のなかの
ダンナそのものじゃないですか。
そのあたりもふくめて、
ぼくはあいかわらず見事だと思いました。
現代に置き換えるところも、
提灯をナビにして、権助の役を集団にして。
すごいことをしてるなぁと思いましたけどね。
永田 にしもっちゃんが言ってることで
ぼくが思い当たるのは、
今回は「シリーズもの」の流れを
いったん違う場所に
持って行ったなということです。
あの、先週もテーマになりましたけど、
ぼくらがいろいろとおもしろがってる
「シリーズもの」があるじゃないですか。
西本 「カツラ」とか「泣いてるさゆりちゃん」とか。
永田 そうそう。ああいう「お約束もの」って、
観てるほうも期待してるから、
回を追うごとに、インフレ化していくでしょう?
でもその流れって単調になっちゃったり
「観る側が期待している」ということだけで
最初の驚きがなくなっちゃたり
するじゃないですか。
だから、今回はいろんなシリーズを、
いったん休ませるというか、
手綱をゆるめるというか、
すっと力を抜いていた回だと思うので、
期待している人をスコーンと撃ち抜く
爽快さは弱かったのかもしれないなと思って。
でも、早めに抜いておくのは
ぼくはうまいなと思いました。
具体的にいうと、わりと早めに
「カツラ」と「さゆりちゃん」を
合わせ技にして処理してましたよね。
西本 ああ、そういえば、
「うどん」の名前をいじるのも
一回休みでしたね。
永田 そうそう。ああいうの、
義務みたいになっちゃうとよくないから、
この抜き具合はさすがというか、
つくってる人の経験の多さを感じました。
糸井 いわば、『スターウォーズ』でいうと、
『帝国の逆襲』みたいなもんですよね。
そういうのを入れないと持ちませんからね。
永田 そう思います。
沸騰する前にいったん火を止めます、みたいな。
糸井 そういうことをする一方で、
鍋に新しい材料も投げ込んでますよね。
ぼくは、鶴瓶さんに「落語ができる人」という
要素を入れたのがすごいなと思って。
つまり、あの親分の立ち位置を
グッと近いところに持ってきましたよね。
これはね、考えついたときは
会心だったんじゃないかと思ったんです。
西本 また、
「東のショウちゃん、西のケンちゃん」と
双璧にしてるのもうまいですよね。
ディテールの部分になりますが、
「仁鶴を超えてたかもしれない」
というあたりは
うまい表現だなあと思いました。
糸井 30年前ということを
きちんと踏まえた表現なんですよね。
西本 そうなんです。
当時、仁鶴さんは元祖視聴率男ですよ。
「四角い仁鶴が、まぁ〜るく治めまっせ」で
アイドル的人気ですよ。
永田 お、さすが元・吉本興業
西本 ええ。吉本興業の特別顧問は、
きよしさんでも三枝さんでもなくて
仁鶴さんなんですよ。
それくらい社員からも芸人からも
リスペクトがある存在なんですよ。
永田 へええ、そうなんだ。
糸井 だから、関西の人には、
あの設定はすごくおもしろいだろうね。
永田 そうかそうか、じゃあ、
鶴瓶親分が落語ができるという新要素は、
キャラクターの幅だけじゃなくて、
あのドラマに「上方落語」という軸を
持ち込んでいるんですね。
糸井 そういうことですね。
舞台設定として東京を強く押し出してますから
ずいぶんドラマが立体的になりますよね。
西本 春風亭昇太さんのひとり会というかたちで
「はじめての落語。」を企画したときも
落語ファンの方から
「上方落語でもやってください」っていう
メールがたくさん来ました。
永田 落語の世界では、東と西という意識が
はっきりとあるということですね。
糸井 思えばそれって、
いまどきめずらしいことだよね。
大相撲でも東と西に力士を分けるけど
あれはウソだもんね。
つまり、現代では、東と西と意識をしないで
いろんなことをやってるじゃないですか。
野球の東西対抗なんかもいちおうあるけど、
あれだって本気で東と西を
対抗させてるわけじゃないですよね。
そう考えると落語の棲み分けというのは
はっきりしてますよ。
いわばモグラに近いですよ。
永田 モグラ?
糸井 モグラっていうのはね、
箱根あたりを境にして、
「東のモグラ」と「西のモグラ」に
分かれてるんですよ。
永田 へえ、知らなかった!
西本 ぼくは知ってました。
永田 それは、種類が違うんですか?
糸井 違うんです。最近はちょっと
混ざりはじめてるらしいですけどね。
要するに、「アホ!」という文化と
「バカ!」という文化があるようなものです。
永田 箱根を境にして
アホモグラとバカモグラが?
糸井 そうです。
もちろん、そういう名前じゃありませんけど。
永田 わかってますよ。
糸井 わかってることはわかってますよ。
西本 えっ、わかってることはわかってるんですか。
永田 もうええっちゅーねん。
糸井 もうひとつ、今回加わった要素としては、
「権助」の存在ですね。
『権助提灯』みたいなものは、
落語のジャンルのひとつとしてあるんですよ。
つまり、ご隠居さんがいたり、
熊さん、八っつぁんがいたり、
女郎がいたり、太鼓持ちがいたりするみたいに、
「権助」という役回りがあって、
なにかというと、ひと言でいえば
「都市部に入ってきた農村の人」なんですよ。
永田 あ、そうなんですね。
じゃあ、与太郎とも違うわけですか。
糸井 与太郎と権助はぜんぜん違うんです。
権助は地方出身者で、
都市の人たちとの対極として描かれるんですよ。
いわば江戸っ子の反対側にいる人なんです。
たとえば、都市の人たちっていうのは、
「宵越しの銭は持たない」なんていうことを
平気で言えちゃうわけです。
火事になったらすぐに焼けちゃうような
ぺらっぺらの長屋に住んでますし、
安定した財産がないですから、
腕に自信さえあれば、
銭は残さなくてもへっちゃらなんです。
当時の江戸というのは
大火事があると町がざーっと焼けちゃうわけで、
ストックに対する意識が薄いんですね。
永田 『風雲児たち』にもありましたね。
糸井 あのマンガはほんとうに役に立つなあ。
西本 男子部のバイブルですからね。
糸井 あと、江戸東京博物館に行くと、
そのへんがすごくよくわかりますよ。
こう、東京の地層の模型があって、
そこを観察していくと、
いつ大火事があったかっていうのが
灰の混じり具合でわかるようになってるんです。
永田 ほんとうに、江戸っていうのは
「火事で焼けちゃったら終わり」
っていう町だったんですね。
糸井 だから、「宵越しの銭は持たねえ」っていうのは
まあ、粋なことを表してもいるんだけど、
当たり前なことでもあったわけです。
一方、権助っていう人は、もともと
田地田畑に作物をつくっている人たちで
根っこのある人たち、
財産は大切だっていう人たちなわけです。
そういう人たちが、都市部に働きに来ている。
それが権助なんです。
西本 なるほど。
糸井 で、権助というのは今回の噺にように
下男みたいな役をやることが多くて、
都市の人たちからは
ちょっとバカにされてたりもするんです。
つまり、ある意味「ガイジン扱い」されてる。
けど、落語のなかではたいてい、
真理は権助の側にあるように描かれるんです。
江戸っ子たちは、
権助を「イヤだねえ」なんて言うけど、
だいたい権助のほうに正論があって、
権助のほうが勝っちゃうんです。
都市の人たちも、じつは権助のほうが正しいって
薄々感づいてたりする。
そういう役どころとして、
権助はいろんな場所に出てくるわけなんだけど
権助をどれくらい「イヤなやつ」に
描くかという度合いが
落語家の個性によって、ぜんぜん違うんですよ。
永田 なるほどなるほど。
糸井 もう、この権助はほんとにイヤだという
描き方もできますよね。
ただの天然の人として描けば
人がよくって素直すぎるがゆえに
自分たちにとって困るという描き方もあるし。
落語って、そういう、
「人の悪さ」や「毒」の出し具合で
ぜんぜん印象が違ってくるですよ。
永田 同じ噺でも落語家さんによって
まったく違う印象になってしまうという。
糸井 そのあたりを落語はたのしめるんです。
で、今回は劇中劇の権助を
荒川良々さんがやったわけですけど、
少し悪意が入った権助でしたよね。
都会人を値踏みするような目で見ている。
たとえば提灯ひとつとってみても、
「気を利かせて火を消さずにおきました」
なんていうふうにして
「いい権助」として表すことも
できるじゃないですか。
でもまあ、宮藤官九郎さんは、
キャスティングも含めて、
ああいう権助にしたわけです。
永田 もともと、ドラマのなかでの
「東京」に対する目線がああですよね。
地方から見たときのおかしさ、
みたいなものがたっぷり入ってる。
西本 裏原宿との距離感とか。
永田 そうそう。
糸井 そういうふうに、
軽い悪意を権助に乗っけてるということは
宮藤さんは農村の側というのを
知ってるわけですよ。
西本 実際、宮藤官九郎さんは宮城出身ですしね。
糸井 そのあたりの視線が
あの権助には入ってますよね。
ただの純朴の権助じゃねえぞ
という描き方をしているのが
おもしろいんですよ。
永田 かといって、
東京を嫌ってるわけじゃないですよね。
糸井 いや、むしろ愛情もたっぷりありますよ。
度が過ぎると権助がほんとに
イヤな権助になっちゃうんですけど、
そうじゃないですからね。
まあ、そのあたりは、
『権助提灯』という噺自体が
とてもよくできているというのも
ありますけどね。
とにかく、権助的な要素に
今後も注目していくと
おもしろいかもしれません。
永田 ある意味で「地方目線の東京」というのは
このドラマのいちばんの
モチーフかもしれないし。
西本 思えば、最初のスペシャルでも
最後は青森でしたからね。
永田 ていうか、伊東美咲さんの役に
そもそも権助成分が混じってるのか。
糸井 そうですね。
これから先、ドラマが進んでいくと
権助が小金をもって花魁のところに通う、
みたいなことがあるかもしれないですよ。
まあ、知りませんけどね。
つまり、だましだまされている色里の風景に
本気で信じているやつが紛れこんだ時の
ダサさが表現されている噺があるんだけど、
ダサいほうに真実があるかもしれないなという
部分にドキドキが加わるわけですよ。
西本 ダサいといえば、
今回のドラゴンソーダの服は
ほんとにダサかったですね。
永田 今回は正装でしたからね!
西本 ええ。ドラゴンソーダフルスペックでしたよ。
糸井 全身をコーディネートしてみたわけですよね。
西本 しかも、デザイナー自らがフルスペックで着て。
永田 あの、タンクトップの下の
タンクトップっていうか
「ダブル金太郎状態」がすごかったなあ‥‥。
西本 ぼくはいままで、
ドラゴンソーダのメッシュというのは
バスケのユニフォーム的な、
どちらかというとスポーティーなものだと
とらえてたんですよ。ところが今回、
よく見たら、裾がフリルじゃないですか!
ふたり あはははははは。
西本 ドラゴンソーダはメッシュでフリルか! と。
永田 先週のリストバンドもフリルだったね。
ちゃんとしてたけど。
糸井 ファッションといえば、
親分たちの若いときのファッションが
すごかったですね。
岡田くんの底上げブーツ。
永田 あれ、すごかった(笑)。
糸井 あれ、笑わせてるつもりじゃなくて、
当時の王道ファッションですからね。
王道行ってるつもりでも、いつかは
ドラゴンソーダ扱いされちゃうわけですから
たいへんですよ、オシャレって。弱ったね。
西本 ジャンプ亭は私服はダサいのに
落語家としてはかっこいい人になってるのも
おもしろいですよね。
永田 あの場面は、阿部サダヲさんの
司会っぷりにしびれましたね。
15秒くらいなんですけどね。
西本 あれ、ナイス営業ですよねー。
糸井 ほんとにあの人は器用だなあ。
永田 あれ、
どっちも評価したくなるじゃないですか。
劇中のどん太というやつがあれをやってたら
おもろい芸人だなと思いますし、
阿部サダヲさんという役者としても
すげーとか思うし。
両方に拍手したくなるんですよね。
糸井 すごいよね。
あと、細かいところはなにかありますか?
永田 細かいところといえば、
ラブレターの名前ですよ。
あれ、ぼく、最初に観たときは
なにがなんだか
よくわからなかったんですけど。
あの、「中谷中」ってやつ。
西本 あ、おれもわかんなかった。
永田 今日、事務所の録画を見直してたら、
わかったんですけど、
あれって、「中谷」って書かれてたものが、
紙を折ったときに、反対側に写っちゃって
「中谷中」になってたってことなんですよ。
万年筆がにじんじゃって。
ふたり は?
永田 えっとね、鶴瓶さんが「中谷」でしょ。
西田さんが「谷中」でしょ。
で、鶴瓶さんが書いたわけだから、
ほんとは「中谷」って書いてあるです。
万年筆でね。ところが、
ラブレターの、便せんを折ったときに、
「谷中」の「谷」の真ん中で折ったもんだから、
反対側に「中」が写っちゃって、
「中谷中」になってるんですよ。
糸井 え? はあはあはあ、そういうことか。
西本 うわあああっ。ということは。
最初っから、「三枚起請」のときから、
というかキャラクター設定のときにすでに
このアイデアが浮かんでたってこと?
永田 あのスペシャルのときって、
鶴瓶さんのほうの名前ってついてたっけ?
あ、役名があるわけだから、ついてるか。
だとしたらそういうことになるね。
また、細かいのは、その仕掛けのためには、
鶴瓶さんの名字が「中谷」で、
西田さんの名字が「谷中」だっていうことを
お客さんにわからせなきゃいけないから、
ドラマのあちこちに
名字を登場させてるんですよ。
同窓会のハガキのアップを見せたり、
家を行き来するときに表札を映したり。
あと、ラブレターの中身を見るときも、
わざわざ開く直前に、
「ちょっと待った!
 差出人が中谷だったらオレが運転で
 谷中だったら竜二さんが運転ね」って
銀次郎に言わせてるし。
まあ、久しぶりにテレビガイドらしい、
細かい報告でした。
糸井 (録画を確認しながら)
あっ、ほんとだ。左右対称で、
ロールシャッハテストみたいになって
にじんでるわけね。
あっ、そうだそうだ、細かいことといえば、
『タイガー&ドラゴン』のプロデューサーは
女性なんですね。
西本 ええ、磯山さんは女性ですよ。
糸井 けっこう、驚いたよ。
なんかさあ、
このドラマつくってる人たちって、
ものすごく男の悪ガキの集団みたいに見えない?
西本 ああ、はいはい。
糸井 男どうしが集まってバカやってワイワイ、
という感じかと思ったら
じつは女のプロデューサーだっていうのは、
なんか、「儲けっ!」という感じがしたなあ。
あとさ、このドラマって、
小物がすごいちゃんとしてるんだけど、
あの、細かい道具を集めてる係っていうのが
あるんですかね。
西本 ドラマでは「持ち道具さん」という
役割の人がいますよ。
永田 へえー。「持ち道具さん」。
糸井 だとしたら、その人に拍手を贈りたいですね。
まあ、美術なんかも含めて、ドラマでは
ディテールがよくできてますよ。
永田 あと、今回は、西田さんに笑わされた!
糸井 よかったねえ!
西本 ぼくは来週の予告に登場した
古田新太さんと、
次長・課長の河本くんに期待です。
糸井 そんな感じで今週は終わりにしましょうか。
永田 なぜなら、お客さんが来たりして、
ひじょうにばたばたしているのです。
西本 また来週!
3人 よろしくお願いします!




りか
チェック・ヨー・ヨー・ヨー。
ヨー相談。

あやや
オレら、タイガー&ドラゴン&シルバー
じゃねえのかよ?

モギコ
着せちゃうねえ。ていうか、
男もののシャツっていうのは
女が着るもんだな。

ゆーないと
のぞいてますよ!
じりじりしながらのぞいてて
寝不足よっ!

りか
以上、各自が選ぶ今週の名ゼリフを
お送りいたしました!

あやや
それはそれとして、思ったんですけど、
私、回を追うごとに
メグミのファンになってるんです。
ていうか、今回一番ビビったのが、
伊東美咲ちゃんのセーラー服姿!!
めちゃくちゃ似合ってたね〜〜。
ぜんぜん現役女子高生で
行けちゃいそうなんですけどっ!!
たしか、伊東美咲ちゃんは、
自分とタメくらいなんだけど、
女子高生姿を全国公開できるとは、
すっげえーーーーー、
女優、マジすっげえーーーー。
と思った。

ゆーないと
あと、女優つながりで言うと、
小春さん役の森下愛子さん、
おもしろかったし、かわいかったーー。
最後、謙ちゃんのベンツを
見送るときの表情とかすっごい綺麗。

あやや
森下愛子さんは、
『うちの子にかぎって』の
田村正和の若奥様のとき、
好きだったんだけど、
20年前くらいから、
あんまり変わってない気がするっ!
女優、すっげえーーーー。

りか
「かわいい&おもしろい」
といえば西田さんですよ。
「つき合っちゃえばいいじゃん!」の
あのアクションは
ぜひ私も私生活で取り入れてみようかと。

モギコ
取り入れるな、取り入れるな。

りか
きゃ☆
「つき合っちゃえばいいじゃん!」
えへ☆
「つき合っちゃえばいいじゃん!」
ばか☆
「つき合っちゃえばいいじゃん!」
わーん☆

あやや
取り入れるな、取り入れるな。

ゆーないと
取り入れるな、取り入れるな。

りか
あと、虎児に
「俺らも20年したら
 どっちがホテルに行ったのか
 わからなくなるのかなあ」
言われたときの岡田くん。
「それはねえ!」の顔が、ドまじ。
目ん玉ひんむいて、
楳図かずお先生のまんがみたいでしたよ。
あの表情も、
私生活に取り入れていこうかと。

3人
取り入れるな、取り入れるな。

りか
「それはねえ!」
クワッ!
「それはねえ!」
グオァ!
「それはねえ!」
ギロロッ!

3人
取り入れるな、取り入れるな。







2005-05-12-THU
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