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最新の記事 2006/06/28
 
 
太陽が昇らない「極夜」が続く南極ですが、
前回
「南極中のどこの基地でも開かれるお祭りに向け、
 外は暗くても着々と準備が進んでいます」
と書かれていたお祭りの様子が届きました!


南極の「冬の祭」。

6月21日は夏至。
南半球にある南極は逆に冬至で、
一年のうち夜が一番長い季節です。
そして約一か月半、太陽が顔を出さない極夜は
極地の特徴的なことでしょう。
今日はこの極夜のお話。

はじめに一日の明るさから。
朝9時はまだ真っ暗。
10時頃からだんだん明るくなり始め、
正午には、太陽はあのあたりだなあ、
とわかる薄暮です。

ちょうど昼食のときが一番明るく、
窓から外を眺めながら
「朝焼けなんだろうか?」と誰かが言うと
「さーて? でも12時を回ったから夕焼けだね」
なるほど。
ただ13時には夕焼けもおしまい。
14時にはもう星が瞬きはじめます。
一日中こんな様子ですから、
どうしても建物の中の生活になり、
心なしか憂鬱にもなりがちです。

そこでそんな気分を一新しようと、
冬至をはさんだ数日間、
南極にある全ての基地で
ミッドウィンター祭が開かれます。


ミッドウィンター開幕です。

南極に来て半年が過ぎ、
ちょうど折り返し点。

ここまでお疲れさま、
そしてあと半年無事に観測ができるように
この辺で一息入れよう、と南極はお祭り一色。
日本で過ごす元隊員や
各国の基地から"Happy midwinter"と
グリーティングカードが届き、
広大な地に同じように
暮らす人がいることを思います。

もちろん昭和基地もお祭りです。


氷のグラスで乾杯!
でも注いだお酒はどんどん凍り、
日本酒シャーベットの完成です。
ちなみに氷製コップの作り方は
コップに水を入れて外に放置し、
芯まで凍らないうちに中の水を抜きます。
すると外側だけ残って完成です。


朝はゆっくり起きて
薄明るい時間にパークゴルフや
綱引きといったスポーツ大会、
夜には居住棟対抗の娯楽大会、
そしてオーロラを眺めながらの露天風呂。
前夜祭に始まり本祭、
そしてフィナーレと楽しみました。

観測隊の結成はほぼ一年前。
なんとなく人となりがわかってきましたが、
こんな芸を持っていたのか、
と新たな発見もまた楽しいものです。
赤の他人だった隊員が
赤い色が抜けてだんだん
色がなくなると言いましょうか、
より深い信頼関係が築かれることも
このお祭りの大きな意味でもあるでしょう。


建物の後ろに強風でできた
ドリフト(雪の吹き溜まり)を掘ったカマクラ。
外はー20度C。中はー5度C程度。
ずいぶん暖かく感じます。


お正月が明るい南極は
建設作業や観測準備など稼ぎ時です。
冬至は南極のお正月。
ここらで一休みしてあと半年、
新たな気持ちで観測が続きます。

21日の平均気温は−24.1℃。
最大風速2.1m/s。穏やかな冬至。

南極観測隊 斎藤健

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南極で暮らしはじめて、
もう6か月が過ぎたんですね。
気象条件としては
過酷に思える場所ですが、
そこに暮らす人々同士、
いろいろと工夫を重ねて
その場、その時間を楽しんでいる様子が
伝わってきませんか?

南極生活の後半戦を
さらに楽しくのりきるためにも、
斎藤さんにぜひ感想や激励を
送ってくださいませ。
件名を「南極観測隊斎藤さんへ」として
postman@1101.comにて
お待ちしてます!

南極観測について、
さらに知りたいという方は
こちらの「極地研究所」のホームページ
ぜひご覧ください。
 
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