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前回の最後にあった写真、 覚えていますか?

砂浜につづく不思議な模様‥‥、



これはなんでしょう?
という問いかけに
たくさんの回答、推理、予想をいただき
どうもありがとうございました。
斎藤さんから、ちゃんと答えが送られてきましたよ。


南極でともに暮らすなかまたち。

日本の約37倍の広さがある南極大陸。
ここには47ヶ所の越冬基地があり、
約1000人の研究者や技術者が暮らしています。

多いか少ないか?

日本と南極大陸を思い浮かべ、
その大きさを比べてみましょう。
とても大雑把ですが、
日本の面積を38万平方km、
人口を1億2000万人で考えると
人口密度は315人/平方km。

1平方キロメートルは
1,000,000平方メートルとなります。
つまり、ひとりあたりの面積は
3,174平方メートル、
一人当たりの面積は3.16平方メートル、
だいたい960坪となります。

一方南極大陸は面積1,400万平方km、
人口1,000人ですから人口密度は0.000071人/平方km。
一人当たりの面積は14,000平方km。
約42億坪、といってもピンとこないですね。

そこで面積が同じくらいのところを
調べてみるとありました。

福島県が13,500 平方km。
ということは南極人一人ずつが福島県所有です。
簡単に県知事当選ですね。

南極の広大さが実感できましたか?

では人間のほかはどんな生物がいるのでしょう。



まっさきに浮かぶのはペンギンでしょう。
これ、前回の写真の答えです。

おわかりになった方がいらっしゃいましたね。
写真は幾何学模様の足跡で
お気に入りの一コマです。


2月の写真です。説明は必要ないかな。

ペンギンは17種類、
そのうち南極で繁殖するのは
コウテイペンギン、アデリーペンギン、
ヒゲペンギン、ジェンツーペンギン、
マカロニペンギンの5種類です。

中でもコウテイペンギンとアデリーペンギンは
最も南に分布し、
一番大きいコウテイペンギンは
最も寒い時期に大陸の上で繁殖します。
きっと今頃、大陸のどこかで営巣していることでしょう。

昭和基地によく来るのはアデリーペンギンです。
体長70cmくらいのペンギンがウロチョロしていると、
大人の周りで小さな子供が遊んでいるような光景です。



他に昭和基地によく現れる動物に
ウェッデルアザラシがいます。
南極大陸の周りは厚い海氷に覆われ定着氷ができます。
定着氷はいつも変化する流氷域とは違い、
その名のとおり氷が安定したところ。
ウェッデルアザラシは
ここを住処にして餌をとりに潜水、
寝るときは氷の上に出てゴロリ。
なかなか愛嬌のあるアザラシです。


海氷から顔を出しました。
20分くらい潜水して呼吸するために顔をだします。
この穴から出てきて氷上でお休み。


また寒いところの代表として
ペンギンに並ぶのは白熊でしょう。
広大な台地に白い巨体。
南極はとてもふさわしい、と言いたいところですが、
北極に住む熊で南極にはいません。

しかもカナダ極域やグリーンランドの一部の地域で
陸上に上がっていますが、海上が生活圏です。
名前もホッキョクグマが正解。

それともうひとつ、今は犬も飼育していません。
南極の環境を保護するために、
南極に動植物を持ち込むことや、
住んでいる動物に研究以外の目的で
近づくことは禁止されています。

おしまいに登場はユキドリです。
透き通るような真っ白な姿で、
音もなくスーッと南極の空を滑るように現れ、
南極でも際立つ美しい姿は
仕事の手を間違いなく止めさせます。

いつも写真を撮ろうとカメラを持ち歩くのですが、
速さと美しさに見とれてその姿、
いまだ納められません。悪しからず。

種類は少なくても、
こうして動物が現れて南極生活を楽しませてくれます。
ただ、ペンギンやアザラシが見られるのは
夏の期間や人間が外で行動できる明るい時期です。

昭和基地はもう太陽が昇らず極夜。


今日、6月6日のお昼の一番あかるい時間。
太陽の場所だけがわかります。


この広い南極では外国の基地の人たちにも会えず、
今は37人の隊員たちがひっそりと・・・、
いやいや今月末、
南極中のどこの基地でも開かれるお祭りに向け、
外は暗くても着々と準備が進んでいます。

2006年6月6日
今日の昭和基地はお昼で−10.9℃。風6.3m/s。
明日は−25℃の予報です。
ちなみに日の出日の入りはなし。

南極観測隊 斎藤健

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南極に暮らす楽しいなかまたち、
うらやましくないですか?
南極のお祭りに向けても
楽しいことが動いている様子ですね。

斎藤さんにさらに訊きたいこと、
南極にまつわることで教えてほしいことのリクエスト、
もちろん感想や激励も
件名を「南極観測隊斎藤さんへ」として
postman@1101.comまで
ぜひメールにてお寄せください。

斎藤さんもみなさまからのメール、
とってもよろこんで読んでいらっしゃるようです。
ペンギンや動物にまつわる質問メールも
たくさんいただいていたので、
今回のメールを書いてくださったのかもしれませんね。
返事はいつものように
南極時間でのんびりと待ちましょう!

南極観測について、
さらに知りたいという方は
こちらの「極地研究所」のホームページ
ぜひご覧ください。

※南極の広さについて
  6月12日 13時〜6月13日まで
 数値の確認をするため、
 一部文章を掲載しておりませんでした。
 斎藤さんに確認がとれましたので
 あらためて掲載させていただきます。
 (6月14日2時追記)

 
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