お金をちゃんと考えることから
逃げまわっていたぼくらへ。

第9回 不良少年は、ちょっと早いだけでしょう?


ひきつづき、立ち読み版のつづきをご案内します。
今日の見本版は・・・笑えますよ。早速どうぞ。

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【不良少年は「何かと、ちょっと早い」だけでしょう?】

いろんなお母さん達を見ていると、
子供のむだ使いを怖れて、
現物給与をしたりするわけです。

しかし、お金であげるのではなく
直接そのものを買ってあげるというのは、
たぶん、いちばんいけないことだ
と思います。
糸井 考えるチャンスを失わせてしまうからですか?
そうです。自分に判断させて、
何でも経験させないといけない、と言うか……。
まあ、不良少年というのはね、
大人がやってることを
少し早くやっているだけのこと
でしょう?
糸井 ああ!(笑) おもしろいなあ、それ。
だから、少々いろいろなことを
早く覚えたからと言って、
別に構わんわけですよね。
糸井 また太字にしたいよ。
「不良は、いろんなことを、
 ただ単に早くやってるだけだ」
って(笑)。
ずっと前からそう思っています。

うちの上の息子なんか、
割合に女の子にモテたから、

自分のうちに女の子を連れて来る時には、
自分の姉さんに電話をかけていました。

「すまないけど、ぼくが家に着く前に、
 机の上に置いてある写真を、
 ちょっとしまっておいてくれないかなあ」。

別の女の子と一緒に家に帰ってくるのに、
部屋に他の女の子の
写真があったら、困るでしょう。
きょうだいで結託して、
そんなことやっててねえ。
糸井 いいなあ。
……そうやって、邱さんみたいな
お金の教育をしてきた人は、
そんなにいないわけですよね?
だけど、それで
うちの息子たちが、お金儲けに
上手くなったわけではないですからね。
何ともわかりませんけれども。

ただ、人に迷惑をかけるなって
いうことが大事ですから。
お金のことでは人に迷惑をかけるな、と……。
だから息子はぼくに
「ヤクザにならなかっただけでも、
 親孝行でしょう?」
と、いつも言いますけども。
糸井 何て言うんだろう?
数回お会いした感じでは、
邱さんの息子さんって、貧乏な気持ちも
わかるタイプの人に見えますよね。
たぶん一人でいる時には、
それこそハンバーガーかじっても
平気のような居姿だったような気がします。
今ぼくが見ていて、
例えば十七歳でいろいろな問題を
起こしたりするとかいうのは、
やっぱり、子供の教育を
ぜんぶ学校に任せっきりにしている人が
多いからだと思います。

まあ誰だって、自分の子どもに、
すごい出世してもらいたい、
なんて考えないでしょう?

……出世しなかった人は
そういうことを考えると思いますが、
普通はまあ、自分が世間で
どうにかなっていたら、
別に、子どもに偉くなってもらう
必要もないと考えるのではないかと思います。

ただ、偉くならなくてもいいけれども、
人に迷惑をかけて
収拾がつかなくなるのだけは困ります。
だから、それさえ出来れば良いよ
という具合にぼくは思っていました。
そうすると、少なくともその程度の
お金の教育はしなきゃいけないなあという
気持ちになりますよね?
糸井 そうか。迷惑にならない程度か。
みんなは逆に、お金のおそろしさを
クローズアップして伝えるから、
お金に振りまわされるもとを
作るような教育になっちゃったんですね。
ごく普通にお金が扱えればいいんですよ。
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※明日も、どんどんつづきますよ。

 さて、ご注文いただいた人からの
 感想メールを、ここで抜粋してみます。

>私は現在、大学院で音楽を学んでいます。
>この不況で、音楽をはじめとして、
>さまざまな芸術があおりを受けています。
>特に企業は冷たくなりました。
>バブルの時が嘘のようです・・・
>
>そんなわけで、芸術に携わる
>ほとんど全ての者が、資金難にあえいでいます。
>にもかかわらず、資金がうまく調達できていません。
>よほど、メディアに取り上げられて、
>ちやほやされるアーティストでもない限り、
>持ち出しで音楽なり芸術なりを続けていっている、
>というのが現状です。
>
>しかし、商売と違って、
>全てが持ち出しで行われてもしょうがない、
>といった風潮があるのも事実です。
>
>少なくともクラシック音楽の場合、
>お金が潤沢な家でないと、続けていくことすら困難です。
>それで、音楽の道をあきらめた人を
>私は何人も知っています。
>レッスン代(プラスそのための交通費)、
>楽器購入費および維持費、楽譜代、
>CD代、自宅の防音装置、
>コンサートのチケット代・・・・・・・・
>自分でコンサートを開こうと思うと、
>百万単位のお金が持ち出されます。
>他にも挙げればきりがありませんが、
>とにかくお金がかかるのです。
>
>にもかかわらず、その資金がうまく調達できないのです。
>アーティストがそのようなことにまで気を回すのは、
>過大な負担となり、
>本来の演奏にまで気が回らなくなります。
>
>私は、アーティストがそんなことで悩まなくても、
>高い芸術文化を創造できるような社会を作りたい、
>そのために何かできないか、と思案中です。
>同じ学校で学ぶ演奏家の卵たちを見て、
>なんとかしてあげたい、と常日頃から考えています。
>
>そんなとき、この本のお知らせを見て、
>ぜひ読ませていただきたくなりました。
>芸術とお金・・・・・・
>一番折り合わない関係かもしれませんが、
>考えずにいられないのも事実です。
>ひとまず私が購入して、
>学校でまわし読みをしたいと思っています。
>
>(※編集部により、匿名にいたします)


これも、確かにうなづけるメールですよね?
ありがとうございました!

2001-02-08-THU

TANUKI
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