明日に向かって捨てろ!!
〜ボーズの脱アーカイブ宣言〜

第40回 『ゴミとドラえもん』




ボーズ ペットボトルの話を続けるとさ、
これをものすごく完全に
リサイクルさせる方法を発明する
天才が現れたとしたら、
大歓迎されるわけだよね、きっと。
── そうっすね。猫避けペットボトルっていう
あやしいリサイクルが、
これほど利用されているわけだから。
ボーズ だとするとさ、もう、なに、
ペットボトルを120パーセント
リサイクルできるとかになったら、
大騒ぎだね。
── 120パーセント?
ボーズ ペットボトルをリサイクルすると、
ボンって、もう1コ
ペットボトルができる、みたいなの。
── ははははははは。
ボーズ そのリサイクルとか発明したら、
ノーベル賞ものでしょ。
── それ、ゴミが増え続ける
みたいなことにならない(笑)?
ボーズ あ、そうか。『ドラえもん』みたいな話に。
── あ、なんかあったね、そういうの。
ボーズ あったあった。なんだっけ?
どんどん増えて‥‥。
── 「バイバイン」だ!
ボーズ 「バイバイン」だ! くりまんじゅう!
── あの話、恐かったなあ。
ボーズ あれ、超恐いよね。

※解説:「バイバイン」とは?
『ドラえもん』に登場する道具のひとつ。
ものにかけると5分ごとにその数が倍になるという薬。
のび太が、くりまんじゅうを食べているのだが、
「食べるとなくなってしまう」といって悩む。
そこでドラえもんはバイバインを差し出すが、
「必ず食べきること」と念を押す。
しかし、のび太は、食べては1コ残してそれを増やし、
無限に増え続けるくりまんじゅうをたのしむ。
ところがさすがにのび太もお腹一杯。
どうしようか悩んでいるうちに、
くりまんじゅうはどんどん増えていく。
なんせ、5分ごとに、1コが2コ、2コが4コ、
8コ、16コ、32コ、64コ、128コ、256コと、
恐ろしい勢いで増えていく計算になるのだ。
どうしても食べきれなかったのび太は、
ゴミ箱にまんじゅうを捨ててしまう。
それを聞いたドラえもんが大あわてで裏庭に行くと、
そこは、くりまんじゅうでびっしり。
最終的に、ドラえもんは、無限に増え続ける
くりまんじゅうをロケットで宇宙へ送ってしまう。
なんとも壮大なオチであり、いまこの瞬間にも
宇宙がくりまんじゅうで満ちているのだと思うと、
幼き読者は恐怖したのである‥‥。
── 宇宙に送っちゃうんだよね。
ボーズ 宇宙に送っても問題解決しないんだよな。
何億個とかになっちゃうでしょ。
── だいたい宇宙に行くまでに
もう倍になっちゃうだろうっていう
恐怖があったよね。
ボーズ そうそう。
ホッとしてる場合じゃないっていうね。
── バッドエンドだよなあ、あの話。
ボーズ はははは。ちょっと待って、
いま、文庫版の『ドラえもん』持ってくるわ。
── あ、あるの?
ボーズ うん、ちょっと待ってて。
(ごそごそごそ‥‥)
はい、これ。
── たしか、バイバインもどっかにあったよ。
(しばし本をめくり‥‥)
あ、あった! バイバイン(笑)。
ボーズ それ何編?
── 「恐怖編」だ。ドンピシャだ(笑)。
ボーズ 「恐怖編」だよねー(笑)。
やっぱり。超恐怖だよね。
── ふーん(ふたりして読みながら)
あ、でも薬自体は、
ドラえもんがかけちゃうんだね。
ボーズ そうだね。そうそう、こういう話。
1コどうぞ、食べられないよっていって、
1コだけあまり続けちゃうんだよね。
── で、ドラえもんはいちおう、
のび太に注意をして‥‥。
ボーズ 「早く食べちゃえよ」ってね。
またさ、くりまんじゅうを
腹に入れちゃえば増えないっていうのは
変な話なんだけどね。
── そうそうそうそう!
それ、おかしな話だよね。
で、それも子ども心に感じてるんだよね、
オレらは読みながら。
ボーズ そうそう。「おかしいじゃん!」みたいな。
「腹の中で倍だよ」っていう。
── で、最後がこのオチ(笑)。
ボーズ すっげー、これ(笑)。
宇宙に送っちゃうんだもんなあ。
── しかもオチ、2コマだ(笑)。
すげーたくさんある
くりまんじゅうを見て
「うわーっ!」って驚いて‥‥。
ボーズ 「宇宙の彼方に送るしかしょうがない」
って言って、ロケット飛ばして終わり。
── 終わってないよなあ。
ボーズ 終わってないよねえ(笑)。
いやだよなあ、
宇宙いっぱいのくりまんじゅうは。
── しかもさ、くりまんじゅうって、
微妙にイメージができなくない?
ボーズ できないできない(笑)。
── 子どものころ、そう思ったんだよな。
ボーズ くりまんじゅうってなんだよ、みたいな。
── 「くりまんじゅうってなんだろうな?
 まあ、くりのまんじゅうでいいのかな」
って思いながらも、とにかく恐いんだよ。
ボーズ ラスト1コマ前のこの絵ってさ、
ほんっっっとに、
「取り返しのつかない感」
っていうのがあるよね。
── あるあるある(笑)。
ボーズ これがさ、5分後にさ、倍になるんだよ?!
ボワッて。ああ、もう恐い恐い(笑)。
やべえやべえ。
── こういうの読むと、
ほんとにのび太はバカだなって思うんだよね。
ボーズ 思うんだよね。
のび太、ほんとに食えよ、バカっていう。
おまえ、ほんとバカっていう。
── オレが迷惑するじゃんか、
みたいな勢いなんだよね、なんか。
ボーズ そうそうそう(笑)。
── こんな話、延々できるなあ(笑)。
ボーズ でも、通ずるところがあるよ。
くりまんじゅうもゴミも捨てる話だからね。
── そういや、ドラえもんの中でも、
収納とか、リサイクルみたいな話は‥‥。
ボーズ けっこうあるよね、たしかに。
── あるある。
それ、広げて話してみてもいいかも。
「ドラえもんに見る収納術」、とか。
ボーズ ああ、いいかも。
あ、でも、ドラえもんはさ、
収納はほら、四次元ポケットあるからさ。
── あははははは! くだらない(笑)!
ボーズ そこでもう一発で終わっちゃうんだよ。
── くだらないわー(笑)
ボーズ だから、四次元ポケットだっつーの!
オレが欲しいのは!
── あはははははは。
ボーズ 四次元ポケットにレコードぜんぶ入ったら、
もうつぎつぎ、バンバンレコード出して、
DJとか楽でしょうがないよ。
── こんなくだらなくていいんですか。
ボーズ ライブとかもそれでできちゃうよ。
いやあ、四次元ポケット、いいなあ。
── あ、バイバインのくりまんじゅうだって、
四次元ポケット入れちゃえよって話だ(笑)。
ボーズ だって四次元だもんね!
── こんなくだらなくていいんですか。
ボーズ ドラえもんのなかで出てきた収納でいうとさ、
たしか、ここにこうやると、
ものが置けちゃうやつ、あったよね、
「重力ペンキ」みたいなやつ。
── 「重力ペンキ」、あったあった。

※解説:重力ペンキとは?
ペンキを塗ると、重力が変化し、
そこが下になってしまうという道具。
つまり、壁に塗れば、そこにふつうに
ものが置けちゃうのだ。
ボーズ あれ、超ぉぉぉぉぉ便利だと思う。
── そりゃ便利だけどさ(笑)。
ボーズ いいわ、あれ。だって、
ポンポン置いていけるんでしょ?
この部屋、ずいぶん広くなるよ。
── 四次元ポケットより欲しいかも?
ボーズ あ、四次元ポケットより便利だよ。
すぐ使えるし。
── うははははははは、なんだ、それ(笑)。
ボーズ 四次元ポケットはさ、整理とか、
取り出すときとか、ややこしそうじゃん。
── こんなくだらなくていいんですか。
ボーズ いいんじゃない(笑)?
── あと、「キャンピングカプセル」
ってあったよね。

※解説:キャンピングカプセルとは?
長編映画第1作「のび太の恐竜」に登場し、
お馴染みとなったアイテム。
ちいさな丸いカプセルを地面に刺すと、
ドーンと大きくなって、なかで寝泊まりできる。
ボーズ あれもいいよねえ。
ポスってやるとドーンってなるんだよね。
ああいう、「手軽にほかの部屋をつくる」
っていう道具は多いよね。
── 地下に埋めてボンッてやるとドーンってなって
地下スタジオができちゃうやつあったよ。

※解説:ポップ地下室
小さな箱を地面に埋めて、ボンッとやると、
ドーンってなって、地下スタジオができちゃう。
ボーズ ああ、あれそうだよね。
あれって都会人の考えかただよね。
「うちにこんなスペースがあったらいいのに」
みたいな感じ。
── うまいことやるよねー。
しかもあれ、使い道が
映画の撮影スタジオなんだよね。
ボーズ そうそう。『スターウォーズ』的なやつね。
── 撮ったものがミニチュアになって
でてくるカメラ(ミニチュアカメラ)で
セットつくるんだよね。あれ、好きだなあ。
あ、球根で地下室つくるやつ、なかった?
ボーズ 球根? 木の根っこじゃなくて?
── あ、そうだそうだ、根っこだ。

※解説:アパートの木
植えると、地下で根っこがふくらんで、
それぞれが部屋となる。
しかし、欠点があって‥‥。
ボーズ 木の根が部屋になるんだよね。
地下にみんなの個室をつくろうみたいな。
── で、机とか持ち込んで、
ぜんぶ埋まっちゃったっていう。
ボーズ そうそう。
一日で木は枯れちゃうんだよ、っていうオチ。
── ‥‥ていうかさ、あの人たちさ、
収納に便利な道具、たくさん使うけど、
「ものが置けないよ」っていう
モチベーションで使ったりはしないね。
ボーズ あ、違うね。そうなんだよな。
動物が飼えないから、ちっちゃくして、
部屋で飼うとか、そういう動機なんだよね。
── だから、「重力ペンキ」なんて、
ぜんぜんありがたがられてないもんね。
ボーズ あんなに便利なのに!
「重力ペンキ」、超ほしい。
── 「超ほしい」って言われても(笑)。
ボーズ 助けて、ドラえもん。
── いいオトナがふたりで
こんなこと言ってていいんですか。
ボーズ ははははは。
── これって、真剣に
「ドラえもんがいたらなあ」
っていう話をしてるわけでしょ(笑)?
ボーズ はははは。そういう話になっちゃうよね。
まあ、現実に目を移すと、
てんとう虫コミックスで読んでた
『ドラえもん』が、こうして
文庫版になってちっちゃくなってるのは、
省スペースだよね。
『ドラえもん』はここまで縮まったみたいな。
── 日本の『ドラえもん』は
ここまでコンパクトになったってこと?
ボーズ そうそうそう(笑)。
がんばった結果だよ。
「重力ペンキ」も
「四次元ポケット」もないから
マンガのほうをがんばって小さくした。
── っていうかさ、それこそが、
ドラえもんはいないっていう
証明でもあるよね(笑)。
ボーズ うわっ、寂しい(笑)!
── っていうか、この文庫版、
「爆笑編」とか「感動編」とか、
テーマ別になってるのがおもしろいね。
ボーズ うまいんだよね、編集で見せるのがね。
これもある種の再利用だもんね。
ほんと、リミックスというか、
リマスターというか。
── ああ、そうだね。
ボーズ しかもさあ、こういうのってもう、
オレら世代がやってるからね。
── 昔、真剣に読んでた世代が。
ボーズ そうそうそう。そりゃツボつくわけだよ。
── うんうん。だって、これ、
いまから2時間くらい
平気で読みふける自信があるもん(笑)。
ボーズ あ、これとか、おもしろいよね。
四次元ポケットが壊れちゃう話。
── がらくたばっかり出てきちゃうやつだ。
ボーズ 「さすと雨が降る傘」とかね。
── 「ひとりでケンカができる機械」だって。
ん? これってゴミじゃん。
ボーズ ああ、ゴミだね。どうするんだろ‥‥。
「危ないからどこかへ埋めよう」だって。
── 埋めんのかよ!
ボーズ あ、「百苦タイマー」だ。
── 百の苦しみが襲ってくる機械ね。
ボーズ そうそうそう。
「修行につかう道具」だって。
イヤだっつーの(笑)。
── 「ロケットで宇宙へ送り出してもダメか」
とか言ってる(笑)。
ボーズ またそんなこと言ってるのか(笑)!
── ってことは、ドラえもんの
不法投棄の場所って宇宙なんだな。
ボーズ はははははははは。
── ああ、「感動編」はぜんぶいいなあ。
ぱらぱら眺めただけでもジーンとする。
ボーズ ぼくはもう、おばあちゃんが
出てくるタイプに弱いなあ。
── あああ、いいよねえ。
ぼくが弱いのは、のび太が何かを
飼いはじめちゃう、あのタイプね。
ボーズ 恐竜とかね。
── ピー助ももちろん好きなんだけど、
すげえ好きだったのは
フー子なんだよね。台風のフー子。
ボーズ タマゴからかえすやつだ。
あれ、よかったねー。
── ラストののび太の
「風が舞ってるとフー子のことを思い出す」
っていうのが、ほんとに記憶に残ってて、
いまだに、葉っぱがくるくるするのを見ると、
あの最後のコマを思い出すんだよ。
ボーズ ああ、そういうの、あるわ。
あと、この話も泣けるよねえ。
── どれどれ‥‥。
ボーズ ‥‥‥‥。
── ‥‥‥‥。
ボーズ ‥‥あ、ダメだ、泣けてくる。
ムリムリ! これ以上は、ムリ!
── あははははははは。
ボーズ いいオトナがなにやってんだか‥‥。

(もうひとつ、続きます!)

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2004-12-06-MON

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