明日に向かって捨てろ!!
〜ボーズの脱アーカイブ宣言〜

第39回 『ペットボトル文化』




── さあ、屋外編のラストはこれです。
ボーズ あ、ペットボトルね。
これさあ、猫よけでしょ? もとは。
── うん。おそらく。
ボーズ 猫がオシッコしないってやつでしょ?
── うん。効くの? そもそも。
ボーズ いや、あれ効かないでしょ。
だってあれピカピカして嫌だとかいうけど、
よけてる猫見たことないよ。
じゃれててもおかしくない。
ゴロニャーンみたいな。
── でも、効くからやってるんじゃないの?
ボーズ って思うけど、少なくとも、
犬はあれ見たらオシッコすると思うよ。
シャーって。
── コパン(ボーズさんの愛犬)は
嫌がったりしてない?
ボーズ いや、ぜんぜん。
── ぜんぜん(笑)。
ボーズ こんなガブガブ噛みまくるよ、きっと。
── あははははははは。そうだね。
ボーズ あり得ないと思うんだけどなあ。
迷信っていうかもう、誰かが言い出して、
もうなんにもやらないよりは
ましかっていう程度じゃない?
この家にしても、均等に置いてたりして、
猫よけというよりは、
ちょっとしたインテリア感覚だし。
── うん、デザインして置いてある(笑)。
でもさあ、この家、客観的に見ると、
つつじはきれいに咲いてるし、
置かないほうがいいんじゃないかっていう。
ボーズ あのままにしときたいよね。
いきなし異物じゃん、みたいな。
── 均等には置いてあるけどさ。
ボーズ そうだよね。でも犬猫よけには
絶対ならないと思うよ。
── でもさ、飼い主がペットボトルがあると、
「あ、ここは」って、よけない?
そっちの方が重要じゃない?
ボーズ そうか。その意志表示だ。
── ここんちはうるさいぞ、
怒られるぞ、ってことだよね。
ボーズ もうペットボトル置いてあるってことは
「オシッコすんな」とイコールだからね。
だからもう、気持ちの問題だ。
── 気持ち、意志表示。
ボーズ うん。するなよっていう。
── まあ、当然のこととして、
オシッコはしてほしくないんだけど、
わざわざ書きたくないじゃん。
「フンをさせないでください」とか。
ボーズ そうかそうか。ペットボトル置いときゃ
置いてんの分かってるだろみたいな。
── うんうん。
ボーズ でもさ、だとしたらさ、
そりゃ日本人にしか通用しない言語でさ、
外国人から見たら不思議な風景だよね。
── うん(笑)。
ボーズ アートだよね。なんで日本人は
こんなものを玄関先に並べてんだ、みたいな。
それは不思議だろうな。
── こう、いまの文明が途絶えて、
遺跡みたいになったとすると、
考古学者はなんて解釈するかね。
あの、ポンペイみたいに、
火山灰がガーッと降って
街が埋まっちゃったりすると。
ボーズ 均等に並べられたペットボトルをね(笑)。
あちこちの家の前に
タッタッタッタッてペットボトルが。
「これはいったい?」って。
── なにかのまじないでしょ、みたいな。
あながち間違ってもないみたいなことを。
ボーズ 「動物の墓である!」とかね。
── でもさ、家の中にもあるわけじゃん。
ボーズ うん。
── 風呂場に入れたりするでしょ。
ボーズ ん? なにそれ。
── 浴槽にペットボトルをいくつか入れとくと、
水道代節約みたいな。
ボーズ え? 何で? 水かさを?
── そうそうそう。
ボーズ あはは。小っちぇー(笑)。
── そんなのもあるから、考古学者たいへんだよ。
ボーズ あちこちで、謎の使われかたを
されてるわけだからね。
もう、なんとか土器、みたいな扱いだよね。
「この土器は、飲み物の器だけでなく‥‥」
── 「あらゆるものに使われ‥‥」
ボーズ 「飯を食ったり‥‥」
── 「祭りに使ったり‥‥」
ボーズ そうか、いまは、
「ペットボトル文化」なんだ。
── 「ペットボトル文化」(笑)。
ボーズ ていうか、根本には、
ペットボトルが余ってるという
状況があるんだよね。
こんだけ世の中にペットボトルあるとさ、
やっぱ、余るじゃん。
捨てるとか、リサイクルとか言っても、
それだけじゃなんかもったいないって
思えるくらい日常で余ってるからさ。
そういう意味では、いいアイデアだったんだよ、
「猫よけになる」っていうのは。
── ああ、なるほどね。
「じゃあ、さっそく並べよう!」ってことに。
ボーズ なったんだよね。猫に困ってなくても。
── この余ったペットボトルに
使い道があるなら、ってことで。
ボーズ 使い道できた、みたいな。
── うんうん。浴槽に入れるっていうのも、
そっちが先っぽいよね、どっちかっていうと。
ボーズ そうそうそうそう。
── 「ペットボトルが余ってる」
っていう意識が、先にありきなんだ。
ボーズ だってさ、ペットボトルって、
余る量が大きいじゃん。
ぐびぐびぐびって飲みきったとしたら、
この空間が余ってしまったってことだからね。
2リットル飲んだらさ。
── え、なに? 2リットル飲んだら、
2リットルぶんの空間が
余ってしまったっていう考えかた?
ボーズ そうそう(笑)。
── あはははははは!
それは、すげえ(笑)!
ボーズ この狭い部屋の中に
2リットルの空間はデカイ、みたいな。
── 2リットルの空間か。そうか。
ボーズ ゴミとしてもペットボトルの
ゴミ袋ってすごくなるじゃん。
── なるなる(笑)。空間の余剰感、あるある。
そうかそうか。潜在意識としてそれがあるから、
人は、「ペットボトルの再利用」に
飛びついちゃうんだ。
ボーズ そうそう。
── じゃあ、あれかな。
ボトルシップとかもそういう発想なのかなあ。
ほら、ビンの中に
船の模型作っちゃったりするやつ。
ボーズ ああ、そうだね。ビンも同じだよね。
ビン全盛期は、いまのペットボトルと
おんなじ感覚があったでしょ、きっと。
── 「この空間余っちゃったよ」っていう(笑)。
ボーズ そうそう。じゃあ、なかに船つくって、
ちょっとしたアートにしちゃえと。
あと、ペットボトルロケットってあるもんね。
── ああ、あるあるある。
ボーズ あれはまさにそうだよね。
とにかくペットボトルを使いたいんだよ。
── 空き缶も昔はいろいろあったよね。
空き缶を使ってなんとかしようとか。
ボーズ あったね。空き缶。
あと、タバコの箱で傘作るとかね。
なんか、どんどんオカンの話とかに
なってくるんだけど。
── はははははははは。
ボーズ そういうことになってくると。
根本的にリサイクルって
そういうとこあるからな。
── つまり、リサイクルって、元に戻したり、
トイレットペーパーにする
だけじゃないっちゅうことだよね。
猫よけにしてみるっていうのも
観念的にはリサイクルじゃん。
ボーズ うん、そうね。そのまま使えるリサイクル。
フリースになるとか聞くと
意味なくうれしいのも、
そういうことなんだよな。
── 実際はけっこう、
リサイクルされてないっていう
話も聞くけどね。
ボーズ あ、そうなの
── ペットボトルをリサイクルするお金と、
捨てるお金じゃ、
リサイクルするほうが圧倒的に高い
っていう話を聞いたことがあるよ。
だから、リサイクル用に集めたはいいけど、
けっきょく捨ててるとか。
ボーズ わー、ひどいねえ。
── あ、いかん、
ハンパに社会派のコーナーになってる(笑)。
ボーズ 『東京なんとか』みたいになってるね。
やばいね。そういうコーナーじゃない。
── おかんの話から、オヤジのうんちくに。
ボーズ あはははははは。

(続きます!)

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2004-11-24-WED

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