明日に向かって捨てろ!!
〜ボーズの脱アーカイブ宣言〜

特別取材 『The 9th Sense』のライムノート
その3〜幻の4番の歌詞〜




── つくっていくうえで、
違う方向に進みそうになったんだけど、
「やっぱこっちじゃねえな」っていうのは
けっこう多いんですか。
ボーズ わりとあるね。
こう、誰かが突っ走るんじゃなくて、
3人とも「おっ」と思って行くんだけど、
「でも違うか。やべえやべえ」みたいな。
そういうの多い。
途中でぜんぜん変えちゃったのもあるもんね。
『Shadows Of The Empire』とか、
もっとぜんぜんバカな話だったときあったもん。
アニ それはあったな。
── リリースされたバージョンは
どっちかというとシリアスですけど。
『Shadows Of The Empire』(※抜粋)

インビジブルな元帝都では 隙間なく飛び交う怪電波
高度資本主義のメッカ 敗者の肉を食らうハイエナ
出せ 払え さらに使え 迫りくる帝国の影
絶体絶命ゆえに覚醒 背中から飛び出す黒い羽
的なコミックスの原作 ガツンと当て 印税生活
やるべきか やらざるべきか 気さくに織りこむシェイクスピア
ロウ セカンド サードからトップギア 勢い余って変わる磁場
ベルを鳴らすもヤツはシカト 車道に流れ星ピカッと

デマゴーグ蔓延る東の魔都 未来世紀はとっくに過去
再発 ブート オリジナルなど 地下のディーラーが切るカード
張れ 乗れ 底をつくまで 拡大する帝国の影
足で掴んだネタと引き換え 巨悪フィクサーの秘密を暴け
的な 的な 的な 的な ドキュメンタリーなら見てみたい
ハイ! つーわけで次のナンバー 行く? ダメ?
そんじゃまだまだキープオン
時代を半歩リード People People 上げろスピード
こっそり破れ法定速度 追っかけろテールライト

リアルが歪んだ あの帝国絡んだとたんだ
経費はかさんだ 景色は荒んだ
リアルが歪んだ あの帝国絡んだとたんだ
事実をつまんだ ディティールはずさんだ
ボーズ 最終的には削られちゃったんだけど、
幻の4番っていうのがあって、
それは、ライムの真ん中のところで
「〜的なドキュメンタリーなら見てみたい」
っていうのが決めとしてできてたから、
じゃあ、こういうのが
おもしろいんじゃないかってつくったんだけど。
あ、ぼくのノートからは消しちゃったんだ。
アニ こっちにあるよ。
ボーズ ああ、これこれ。
もう読んでもらうとわかるんだけど。
『Shadows Of The Empire』(※幻の4番)

外交官の父 優しくてきれいな母に
日々何不自由なく育てられ 小中高から大学生
卒業旅行でパリロンドン 出会った男と即結婚
ジェットコースターのような急な展開 産んだ子供が述べ13人
的な 的な 的な 的な ドキュメンタリーなら見てみたい
── 帝国の影、どこにもねえ(笑)!
ボーズ ないじゃん! みたいな(笑)。
シンコ けっきょく子だくさんの話みたいな(笑)。
アニ これ、でも、歌は録ったんだよね。
ボーズ 録った録った。
アニ 仮歌まで録って、「やっぱこりゃねえな」って。
── あはははははは。
アニ 「話、飛びすぎ!」みたいな(笑)。
ボーズ 「話変わってんじゃん?」って。
アニ 変わりすぎ。もうちょっと前までの流れで
行ったほうがわかりやすい。
ボーズ うん。「こうじゃなかったはず」、
みたいなのでちょっとやり直して。
── なるほど(笑)。
ボーズ で、「デマゴーグ蔓延る東の魔都」
っていうフレーズになって。
── 戻った戻った(笑)。
ボーズ 戻りました(笑)。
── それはでも、よく決断したっていうか、
たいへんな作業でしょう?
歌入れまで済んだのをやり直すっていうのは。
ボーズ うん。でもね、そういう作業をしたから、
完成度が上がって、濃いものになってる。
── たしかに、『The 9th Sense』には、
いろんな選択肢をくまなく試したような
濃さがありますよね。
勢いにまかせて、というんじゃなくて。
ボーズ そうそう、ほんとにそういうことで。
ハメ外し過ぎたみたいな部分を抑えて、
変な部分は残しつつ、完成度を上げるっていう。
── これ、推測だけれども、
もしも昔のスチャダラパーだったら
この4番を歌録りしたときに‥‥。
シンコ そう! そのままで行ってたんですよ。
行ってたよね、これ?
アニ 行ってた行ってた(笑)。
ボーズ 絶対そのままだったよね。
しかももっとバカな感じにして、みたいな。
アニ わかるわ、それすごく。
シンコ ちょっと立ち止まって考えるぼくら(笑)。
ボーズ オトナです(笑)。
アニ 「ちょっと待て」って。
ボーズ うん。「ちょっと待て」。
── ふつう、企画会議とかやってると、
その「ちょっと待て」を言い出すと、
滞っちゃうっていうか、
場が煮詰まっちゃうっていうのが
ありがちなパターンだと思うんだけども、
スチャダラパーの場合は、
それが3人全員の「ちょっと待て」に
なってるんだろうなあ。
ボーズ まあ、でも前だったらできなかったね。
録って落として削る、みたいなのはさ。
── それは年齢もあるのかな?
ボーズ 年齢というよりは、経験っつーかな?
前やって失敗っつーか、ちょっとあれは
そっちじゃないほうに行ったほうが
よかったのに、みたいなのがあると。
「おもろい」っていうのも
残る強さとしてはあるからね。

(続きます!)

 スチャダラパー、4年ぶりの新作発売!
 『THE 9th SENSE』
 

 定価 : 2,800円(税込)
 ASIN : B0000C4GO3

スチャダラパーのニューアルバム、
会心の出来映えで店頭に並んでおります。
高品質な全14曲、あちこちで絶賛。
ヘヴィーローテーション決定の1枚。

ボーズさんへの激励や感想などは、
メールの表題に「ボーズさんへ」と書いて、
postman@1101.comに送ってください。

2004-07-21-WED

HOME
戻る