明日に向かって捨てろ!!
〜ボーズの脱アーカイブ宣言〜

第12回『薄いもの』


ボーズ あのさ、さっきから本棚片づけながら
気になってるものがあるんだけど。
── なんですか。
ボーズ なんかね、隙間にいろいろと、はさまってるのよ。
── は?
ボーズ こう、なんていうの?
たぶんいらないんだろうなあっていうものが
あちこちの隙間に入ってるのよ。
薄いのをいいことに。
── なに言ってんのかわかんないな。
ボーズ たとえば、こういうものよ。

── あああ、映画のパンフとかね。
ボーズ いるの? これ?
いや、好きな映画だから買ったんだと思うけど。
いるの? これ?
── いらないよね。
というか、そもそも、
とっといてるつもりがあるの?
ボーズ そこだよね、問題は。
たとえばムックとか「Nummber」は、
いちおう、淘汰されて、
生き残ってきたわけじゃない?
でもね、このへんのパンフは違うでしょ。
── なぜそれらが残っているかというと‥‥。
ボーズ 「薄い」から!
── なんだそりゃ。
‥‥いや、でも、わかるわ。
ボーズ あるよね、こういうの(笑)。
── ありますねえ(笑)。
ボーズ なんかさ、こういう隙間にさ、
自分が見なかったことにして、
ポイッて入れていく感じ?
── あえて意識せずにね。
ボーズ なんかもう、「んー、んー!」って、
もう、「んー」って、隙間に入れる。
── そうそうそう。
捨てるのかどうかの決断すら、
したくないんだよね。
いや、ここだけの話ですけどね、
‥‥俺、領収書とかそうなんですよ。
ボーズ うははははは。薄いもんね、領収書。
こういうところにスッと(笑)。
── そうそう。なんかこの領収書、
処理したらお金が戻ってくるんだよな、
と思いつつ‥‥隙間にスッと。
ボーズ めんどくせぇと思ってね。
で、隙間に入れときゃ、
なんか俺はべつに、捨ててないし、みたいな。
── そうそうそうそう!
で、そのままにして、期限切れたら、
「あ、期限切れてら!」っていう名目もたつし。
ボーズ そういうものが隙間にけっこうあるわ。
この、アイドルのシングルはなんだ?
人からもらったんだな。
もう、完全に忘れてるもんね。
ん? こりゃなんだ?
── ‥‥ド、ドラえもん?

ボーズ あー、これ、コロコロの付録だ。
ワールドカップのときの(笑)。
── あはははははは。
これさ、ボーズさん的には、
地味なトリプルネームなんでしょ?
「ドラえもん」と「コロコロ」と
「ワールドカップ」っていう(笑)。
ボーズ 「すーげぇ、いい!」って
思っちゃったんだよ、一瞬だけ。
── ここに日付とかが書いてあるしね。
日本対アルゼンチン、何日とか。
そこはかとなくオフィシャルな感じもして。
ボーズ 「あ、ちょっとレア?」みたいなね(笑)。
── でも、絶対保存するっていうほどの
ものでもないし‥‥。
ボーズ それで隙間にスッとね、入れたんだろうなあ。
── 「隙間もの」おもしろいなあ。
まだ誰も言及してないんじゃないかな、
この「薄い」から、
捨てられずに残ってるものに関しては。
ボーズ 意外に、みんなあるよね、きっと。
ほら、なんか、こういうのも
入れてあったりするんだよ。
── あー、カタログね。
あるわあ、こういうの。
ボーズ このカタログなんて、
いまここで発見してびっくりしたよ。
どこの店のどんなカタログだか、
まったくおぼえてないもん。
── もっと隙間をさがしてみよう。
ボーズ うん、薄いもの、薄いもの。
これ、なんて定義したらいいのかな?
こういう薄いもの。
── 「薄いもの」としか言えないんじゃないすか?
保留する以前に、隙間に入れて、
意識的に忘れてしまうようなもの。
ボーズ 忘れることが、すでに目的なんだよね。
忘れたいから隙間に入れる「薄いもの」。
ああ、クルマのパンフレットだ。
── 半端な時期のやつだなあ。
情報としては役に立たないし、
価値があるほど古くもない。
それは、「薄い」わ。
ボーズ 「薄い」ねー!
あ、こんなの出てきた。
これ、ドリームキャスト
(1998年に出たセガのゲーム機)
の発表会でもらったプレスキットだ。
── うわ、懐かしい。
ていうか、その現場に俺もいた。
最初の発表会のやつだよね。
ボーズ そうそうそう。
なんかほら、こういうのこそ、
もらって帰ってきて捨てられないけど、
なんかこう、使い道もなくて、
保留以前の段階で隙間に、っていうものの、
ま、最たるもんだよね、これね。
── それ、捨てるの?
ボーズ いや、これは捨てない。
── うん、それはキープでしょう。
あ、またこういうこと言うから、
「担当者を変えたほうがいいのでは?」
とかいうおしかりのメールが来ちゃうんだ。
ボーズ ほんとだよ(笑)。
あ、また、いいの出てきたよ!
「巨人、奇跡の優勝」
なんで? なんでこんなのあるの?
メイクドラマが気になったのかなぁ。
── え? これ、いつ? 96年だ!
うーわ。え? ボーズさん、巨人ファン?
ボーズ ううん、べつに。
── あはははははは!
ボーズ まったく(笑)。悪いけど。
── 巨人ファンじゃないのに、
96年から巨人優勝の号外とってるのは、
ちょっとすごいわ(笑)。
ボーズ これは、だから、とっといたんじゃなくて、
隙間に押し込めただけなんだよ。
しかも、引っ越しのときに、
隙間ごと抜き取って移してるから、
奇跡的に残ってるわけよ。
── あー! 隙間ごとノーチェックなんだ。
さすが、「薄いもの」。
ボーズ 「薄いもの」、やっかいだなあ。
あ、これは? これはどうなの?
── なにそれ?
ボーズ ‥‥電子レンジの取扱説明書。
── うわ、微妙ぉ〜。
ボーズ こんなとこに入ってるのなんて、
いままで知らなかったよ。
── 家電の取扱説明書って、
すっごいたまーに、必要なときないですか?
ボーズ ある。どうしよう。
── あとさ、最後の最後で必要になるんだよ。
ボーズ どういうこと?
── その電子レンジを人にあげるとき。
ボーズ あー、必要だね!
でも、まあ、電子レンジなんてさ、
取扱説明書なんて見ないでしょ?
── うん、自分だったら絶対いらない。
けど、「捨てるんだったらくださいよ」っていう
人が現れたりするじゃない?
「ちょうど欲しかったんスよ!」みたいな。
ボーズ ああ、そういうときにトリセツもいっしょに
渡したほうがいいよねえ。
ん? そうかな? え? いるのか?
じゃあ、これはとっといたほうがいいのか?
電子レンジの取扱説明書はどうすればいいのよ?
── ‥‥わからん!
ボーズ 「わからん!」じゃないだろう!
── ‥‥わからん!

(続きますよー!)

2003-12-11-THU

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