明日に向かって捨てろ!!
〜ボーズの脱アーカイブ宣言〜

第11回『半端ムック』



ボーズ ちょっと、本棚の整理、続けていい?
── どうぞどうぞ。
ボーズ このへんのものも問題あるんだよ。
なんつーの、この、
ムック(雑誌以上、書籍未満の、
写真が多く使われている本)?
── ああ、ムックかあ。わあ、微妙。
ボーズ 微妙だよね、これね。高級感あるし、
捨てるときに罪悪感がある。
── うんうんうん。
ボーズ なんか、情報がこう、かたまりになってて、
「とっといてよ」っていうつくりなんだよね。
週刊誌や雑誌とはぜんぜん違う。
── 週刊誌は、だから、その、
きっかけだけが問題だったんだよね。
いつ捨てるんですか、っていう。
ボーズ うん、そうだね。
── ムックになると、捨てること自体が‥‥。
ボーズ そうなのよ。
── あの、「保存版」とかって
わざわざ書いてあったりするじゃない?
ボーズ そうそう(笑)。
保存版もクソもないんだけどさ、
本自体に「保存版」って言われちゃうとねえ。
1年ごとの総まとめだったりね。
2000年版だったり2001年版だったり。
── うちにもありますよー。
なんかさ、時計のムックとかある。
ボーズ あー。グッズ関係ね。
ぜんぶ載ってるみたいなのがあるじゃん?
スニーカーとかさ。
── Zippoとかね。
ボーズ あれ、ずるいよね。
── ずるい。
ボーズ 「どうして欲しいんだ?」みたいな。
── で、永久保存版とか言うわりに、
しょっちゅう出んだ、ああいうのは。
ボーズ 出る出る出る(笑)。
「スニーカー大全」とかっていうのが、
何冊もあったりね。
へたしたら半年後ぐらいにまた出たりする。
── ちょっと、具体的に見ていきましょうか。
ボーズ ムックはね、このへんぜんぶそうかも。
── ああああ、
こりゃまた見事な半端ムックシリーズだ。
ボーズ 半端ムックだねえ(笑)。
「NBAスーパースター」とか。
読まねー、こんなの。見直さねー。
── 意外にクルマの本があったりしますね。
なにこれ? 「レビン」のムック?
すっげえ、似合わない感じ。
ボーズ あはははははは。これ、あれだ。
『グランツーリスモ』(レースゲーム)
やるためにわざわざ買ったんだった(笑)。
── あ、攻略用の資料だったんだ(笑)。
ボーズ 『グランツーリスモ』やってて、
「レビンってどんなクルマ?」って思って、
買っちゃったんだよね。
── こっちには、バイクの本もありますね。
ボーズ 原チャリにちょっとハマったときがあってさ。
── あ、そうなんだ。
ボーズ これ、自分が乗ってる原チャリなんだけどね。
カスタムのしかたとか、手入れのしかたが
詳しく書いてあるんだよ。
ま、ほとんど見やしないんだけど。
── でも、ときどき見たくなるんだろうなー。
ボーズ そうでしょ? なんかそそるでしょ?
でね、こんなふうに本格的に
バイクをカスタマイズする人には
俺は絶対ならないんだけど、
実際やってる人にはちょっと憧れるじゃん?
── うんうんうん、
エンジン、バラバラにしたりとかね。
ボーズ そそそそそそ。
俺自身はエンジン、バラしたりしないんだよ。
だいたいそんなことできないし、やる暇もない(笑)。
だけど、なんかその、こういう暮らしは、
やっぱり妄想というか憧れとしてあるわけ。
俺もいつかこういうことを、
自分ちのガレージで! なんて(笑)。
── あー、思う思う!
ボーズ あるよねえ。そういう思いの集合体みたいな本。
── あるある。うちにも、
「湘南に住む!」みたいな本がある(笑)。
ボーズ うははははははは!
住まないから、湘南!
── 実際、住むとなったら、
必要なのはそういうムックじゃなくて
住宅情報誌だよなあ(笑)。
ボーズ そうだよ(笑)。
── たしかに、ムックって困るよなあ。
‥‥しかし、この、
「チョロQ大図鑑ボリューム2」は
捨ててもいいんじゃないですか?
ボーズ ああ、これね(笑)。
でも、これも、思いの集合体なんだよ。
「憧れ本」の一種なの。
── あ、そうなの?
ボーズ なんかさ、こういうさ、
自分でぜんぶは集めやしないけど、
「集まってるところは見たい」
っていうのがあるのよ。
なんか、あの、スターウォーズのボトルキャップ、
ぜんぶそろいました、みたいなのと同じで。
── あー、そういう「憧れ」かあ。
ボーズ 見ると気が済むから買っちゃう、
みたいなのってあるんだよね。
それ買うと、もうそろえなくていい、みたいな。
── 疑似コンプリートだ。
ボーズ そうそうそう、疑似コンプリート。
── そっか、俺、フィギュアとか
あんまわかんないけど、そういうものか。
ボーズ うん、そうなの。
だから、これを見たら、もういいわ、
みたいになれるんで
買っちゃう的なところってありますよね。
── はははははは。
でも、いろんなカタログとかって
そういう側面はあるね。
「これ、いいなぁ」とか、
「これ持ってたらこうして」みたいな。
ボーズ うん、そうそう、もう妄想の世界ですよね。
で、日本はいまそれ、
すっごい進んでんじゃない?
雑誌でも、なんでも。
── うんうんうん。
ボーズ みんな、やった気、やった気、みたいな。
── もしくは、いつかやるぞ、とか、
いつか手に入れるぞ、みたいな。
ボーズ この「チョロQ大図鑑ボリューム2」は
まさに、そういうものなんだよねえ。
だから、あながち不必要ともいえない。
── ‥‥でもこれ、
「ボリューム3」が出たら買うの?
ボーズ ‥‥わかんない。
── ははははははは!
ボーズ わっかんないな〜、それは。
これ、「ボリューム2」の時点くらいで、
もう飽きてた感じはあるね。
── 半端だなあ(笑)。
ボーズ あと、このへんの「犬ムック」も微妙だね。
── ああ、犬の本。
けっこうありますねえ。
ボーズ もう、ほかの犬を飼うつもりないから、
いらないっちゃいらないんだけどね。
「犬のカタログ2000」、
「愛犬ファミリー2001」。
── 「2002」はないね。
ボーズ 「2002」はね、もうね、飽きたんだよ。
さすがにもう同じだから。年ごとに犬が
めちゃめちゃ新しくなるわけじゃないし(笑)。
── あのさ、さっきから本棚見てると、
法則があるんだけど(笑)。
ボーズさん、ムックのシリーズって、
「1」と「2」までは買ってるのよ。
で、「3」が出るころには飽きてる(笑)。
ボーズ あー! そうかも!
「3」は、もういいかな? って(笑)。
── で、飽きてんだったら、
そこで「2」も「1」も捨てればいいじゃん。
でも「1」と「2」は持ってるんだよ(笑)。
ボーズ そうだね。うんうん、そうね。
あと、「3」が出るころには、
ムックじゃなくて
ちゃんとした書籍を買ってたりね。
犬も、図鑑を買ったから、
もうムックはいらないんだよ。
── ああ、それがあれば、
ムックは必要ないもんね。
ボーズ あ。キレイに結論が出たね。
これ、いらないわ、いらない。
「犬のカタログ2000」は捨てよう。
── ちょっと待ってよ、「2000」だけ?
ボーズ そう「2000」はいらない。
あっ! 「2001」もいらないわ!
── そうそうそう(笑)。
ボーズ おお、なんだか調子出てきたぞ。
納得しながら捨てられる。
── ようやくこのコーナー本来の趣旨に。
ボーズ だね、だね。
── そのへんのスポーツ関係のムックも
整理しちゃいましょうよ。
「Number」も捨てるわけだし。
ボーズ そうだよね。こういうのね。
「スーパースターとその時代」みたいな、
いかにもあとで読み返せそうなものね。
── 「Number」の法則に従うなら、
読み返せそうなものほど‥‥。
ボーズ 読み返しゃしないんだ。
「あとはあとで読むぞー」とか思うけどね。
── そうそう。2、3コつまんで読んでね。
「お、これはじっくり読めますね」っていって、
棚にしまって忘れてしまう、と。
ボーズ そのとき読んだのしか、
読んでないんだよ、やっぱり。
ジョーダンとマラドーナはそのとき読んで、
「あ、ベーブ・ルースとグラフは、今度読もう!」
って思うんだけどね。読んでないわ、実際。
うわ、中田が若いなー、これ。
── ほんとだ。何年ですか?
ボーズ これ、2000年ぐらいじゃないかな。
捨てよう、捨てよう。
「NBAイヤーブック2000」、
「NBAイヤーブック2001」、
このへんも怪しいなあ。
── なんか地層みたいになってるね。
‥‥ん? 
2000年とか2001年とかって、
この手の本、ずいぶん買ってるね。
ボーズさんのなかの「アーカイブ力」が
強かった時期なのかな?
ボーズ あー! そういう時代だったかも。
── 今年はそういう本が‥‥。
ボーズ あんまりそういうもん買ってないね。
── 「2002」も少ない感じがするよ。
ボーズ うん、このへんが最後だったのかも。
だってさ、このへんの時期って、
めちゃくちゃ出たわけじゃない?
「なんとか2000」とか「なんとか2001」が。
── あ、そっかそっかそっか!
「2000年だ!」とかっていってね。
20世紀最後の、とか。
21世紀最初の、とか。
ボーズ そうそうそう。
で、それで、たぶんそういう、
まとめたものが出やすかったんだと思う。
で、ぼくみたいな人が「おお!」と思って
出るたびに買って、3年経ったいま、
ガクッと気持ちが萎えてきてるんだよ。
「このまま溜めてどうするんだ?」
っていうことに、3年目だか、3冊目で、
ようやく気づいてきてるというか。
── はっはぁ〜。
「2000年のアーカイブ・ラッシュ」が
「2003年のアーカイブ地獄」になって。
ボーズ そうそうそう。
そういうことがね、ひいては、
この連載が始まったきっかけ、みたいな。
── そっか。端を発してんのはそこか!
ボーズ そこだよね。
「2000年問題」だったんだね。
── 「2000年問題」だったんだ、この連載(笑)。
(続きますよー)

2003-12-09-TUE

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