明日に向かって捨てろ!!
〜ボーズの脱アーカイブ宣言〜

第10回『5センチのNumber』



── さっきからボーズさんが溜めた
雑誌とかを見てるとね、
けっこう僕とダブってるんですよ。
それでちょっと思ったんですけど。
ボーズ なに?
── 「Number」(スポーツグラフィック誌)
って、捨てるの難しくないですか?
ボーズ あーー、難しい!
けっこうとってる、「Number」は。
── そうそうそうそうそう。
ボーズ あるあるあるある。
── 「まだ読み終わってないぞ」感があるでしょ?
ボーズ あるある。
── なんか、すぐには読まないけど、
「ラグビーのこの話、おもしろそうだから、
 置いとくか」みたいなことが。
ボーズ あるんだよー。
こないだの日本代表のとか、
いい特集だったでしょ?
だからいちおうとっといて、
で、やっぱストックされてて、
絶対読もうと思うんだよ。
── 思うんだよ。
ボーズ でも、読まないんだ(笑)。
── まさにそうなんだよなあ(笑)。
「Number」って、号によって、
特集されるスポーツが変わるじゃないですか。
サッカー、野球、格闘技って感じで。
で、僕なんかだと野球好きだから、
「あ! プロ野球来た来た」と思ってとっといて、
あとでじっくり読むぞと思いつつ、つぎのが出て。
つぎのは読みたいとこだけ読んで、
つぎのは捨てられるんだけど、
この「じっくり読むぞ号」が
じっくり読めないまま。
ボーズ はっはっはっは、ほんと、そう!
じっくり読むときっていうのは、
ほんとに来るのか? って話よね、だからね。
じっくり読むよって思ってキープされてるの、
あるある、たしかに。
── 読むつもりだから捨てられないんだよなあ。
ボーズ そういうのが本棚に場所とってるよ。
ちょっと見てみる?
── 見ましょう見ましょう。

ボーズ ええっと、このへんがほら。
── あーー。じっくり読めそうっすねえ。
ボーズ ねー。これ、ほら、NBAの特集。
このへんはサッカーだな。
── あ、これ、俺も持ってる。
ボーズ あ、でも、けっこういいな。
やっぱり、写真とかいいんだよな。
── うん、「Number」いいよね。
あー、これも、読んだなあ。
ボーズ けっこう地味な人の
インタビューがよかったりしてね。
(パラパラパラ‥‥)
── そうそうそう。
(パラパラパラ‥‥)
ボーズ (パラパラパラ‥‥)
── 読んでどうする!
ボーズ 読んでどうするっていう話だよ!
── どうすんですか。決めましょうよ。
ボーズ やっぱさ、この手の日本の雑誌って、
雑誌なのに、優れてるんだよ。
保存に耐えうるようにつくってある。
それが問題なんだよね。
── うんうんうん。偉い。
ボーズ 読み捨てるようなものじゃない、
みたいな雰囲気あるもんな、最初から。
── けど、これをいつまで
とっとくんだという話ですよ。
ボーズ うーん、そうだなー。
ええと、うーん、けっこうあるなあ。
考えてみたら、マジいらないかも(笑)。
ちょっと捨てていい?
── 「捨てていい?」ってなによ!
捨てるコーナーでしょ!
ボーズ いや、そうなんだけど、冷静に見て変だわ。
ほんっとに、とっときすぎだよ、
ほんっとに、とっときすぎだよ。
── 2回言わなくていいですよ。
ボーズ ちょっと、なんとかしなきゃ。
このへん、いったん出していい?
── あ、ほんとの掃除になってきた。
ボーズ ほんっとに、とっときすぎだよ。
── もうさ、選んだりしてないで、
「Number」はとりあえず、
総じてありがとうございました、
ってことにしちゃったら?
ボーズ そうだねえ。
あ、でも、「Number」、
やっぱ表紙とかかっこいいなー、だって。
── はっはっはっは!
ボーズ いいんだよなー。この表紙とかどうよ?
── ロドマンね。
ロドマンって、最近なにしてるんですか?
ボーズ たまにプロレスのニュースとかに
出たりとかしてたと思うけど。
最近、聞かないね。
ああ、いやー、そうだよ、こういうのなー、
捨てるのかなあ。捨てる?
── どっちなのよ(笑)。
ボーズ 見るとやっぱ捨てらんないよね。
ああ‥‥見るとやっぱり無理だわ。
── くだらない(笑)!
ボーズ サッカーなんかとくになあ。
「このときこいつが代表か」
みたいな話があって。
こーれ、きっついなー。
── あ、この号、俺も持ってる。
ボーズ これはみんな買ったでしょ。
めっちゃくちゃ売れてたと思うよ、
この号の「Number」。
ワールドカップのときの
いちばん分厚い特集だからさ。
── で、どうなの?「Number」?
ボーズ うーん、「Number」。
── 難しいなあ、「Number」。
ボーズ 難しいよ、「Number」。
── これさ、「この号はキープ」とかいう
話ではないのかもしれないね。
ボーズ まとめて「どうする?」ってことだよね。
だってさ、ここにある「Number」って、
すでに淘汰されてるんだよ。
過去に捨てるもの捨てて、
捨てられない「Number」が
こんだけあるんだよ。
── ああ、そうね。幾多のハードルを越えて
生き残ってきた「Number」なわけね。
ボーズ そうそうそう。
たとえばこれはジョーダンが最後のときでしょ。
── ブルズのときのやつだ。
とっときたくなるなあ。
ボーズ だってこのワールドカップ特集だって、
フランスのときだからね。
ってことは、もう5年前でしょ?
だいたいサッカー熱もそっから始まったんだよ。
この、最近のは、いらねーなー。
あ、でも、ワールドカップだもんなあ。
うわー! わかんなくなってきた!
これ、どうなの? これ。ね。どうなの?
── 抱きあってますな、宮本、中田‥‥。
ボーズ まだ、去年のことですが。
── でも、「10年後に読むと‥‥」とか
思っちゃうんだよね。
ボーズ 読みゃしないんだけどね、べつにね。
でもさあ、これこそ、
「俺が持っとくべきかぁ?」
っていう感じするよね。
こんなん、友だち全員、買ってるから!
── あはははははは。
でもさ、たとえば20年後とかにさ、
親戚の子どもとかがさ、
サッカーやってるとするじゃないですか。
ボーズ 20年後(笑)。遠い話だなー。
── 甥っ子だかなんだかが、
おじちゃんちに遊びに来るわけですよ。
そんで、こう、本棚をごそごそしてると‥‥。
ボーズ 「わー、すごい本がある!」なんつってね(笑)。
で、「このときの中田はなあ」なんつって。
そのときにもう中田は総監督になっててね。
── そうそうそうそう。
ボーズ もう、表紙とかボロッボロの「Number」。
── 「とっといてよかったなあ!」だって(笑)。
ボーズ ‥‥どうすりゃいい?
── ‥‥それはキープ‥‥でしょう‥‥薄いし。
ボーズ 「薄いし」とか、そういう問題(笑)?
── ああ、ダメだ! またしても担当者失格。
ボーズ でも、たしかに、
全部で5センチぐらいなんだよなあ。
── だから、「5センチ」とか
言ってる場合じゃないんだから(笑)。
ボーズ ‥‥捨てます。
── 捨てますか。えっ! 捨てますか!
ボーズ 捨てます。5センチの「Number」を。
── おお。大きいですね、その決断は。
連載始まっていらいの大英断かも。
ボーズ うん。これは大きいね。
「Number」っていう、
この、ひとつの時代を捨てるわけだよ。
── 「雑誌捨てるだけで大げさだ」とか
言われそうだけど(笑)。
ボーズ さよなら「Number」!
── ありがとう、5センチぶん!

(まだまだ続きます!)

2003-12-07-SUN

HOME
戻る