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香りに溺れて。その5




ジョージ ばあやさんの
化粧水の匂いとか大好きだったな。
ノリスケ ヘチマコロンみたいなの?
ジョージ ヘチマコロンとかねえ、オイデルミン?
ノリスケ オイデルミンって何? 薬?
ジョージ 資生堂が日本で一番最初に作った化粧水なの。
ノリスケ へえー。
ジョージ 化粧水っていうか、香りつき化粧水?
当時日本の人といえば、香りだけを身にまとう
習慣もあんまりなくって、
化粧水の匂いがほんのりしたの。
どう言えばいいのかなあ、
ちょっとお仏壇臭くもあるんだけど、
西洋っぽい匂いで好きだったよ。
ノリスケ へえ。
ジョージ 赤〜いボトルに入っててね。
ノリスケ ふたりは女性の匂いは苦手?
ぼく、女性の汗っぽい匂いは苦手です。
世の男性諸氏はセクシーと感じるのかな
と思いつつ。
ジョージ 女臭さと女性の香りと女の匂いって
ぜんぜん違うと思わない?
ノリスケ 違う、違う。
つねさん 香水を過剰に振ってる人はすごく嫌。
ジョージ ボクも寿司屋の女の香水の匂いは大嫌いよ。
でも「香り立つ女性」大好きだよ。
ノリスケ それは大丈夫。
ジョージ うちの例の女秘書ね、
やっぱり戦いの前にはね、
シュッシュッと足元に振っていくわけですよ。
ああ、この女は今から戦いに行くんだなと
思うよね。
つねさん へえ。
ジョージ それで1回、今日もやってるって思ったら、
サロンパスみたいなやつだった時があったですよ。
ノリスケ いやん、おばあさんの匂いになっちゃう。
ジョージ でも香り立つ女性は好きよね。ね?
女性がある印象を残すために使う
匂いっていうのは、知らず知らずの確信犯。
ああいうのは大好き。
例えばほら、実名はあれだけど、
私たちが知ってる女性編集者のTさんって、
あの人けっこう匂いを使うんだよ。
ノリスケ あ、使うね。
ジョージ 甘〜い匂いを使うの。すっごい印象的なの。
で、彼女にしてみたらたぶん、
男の中でも一番扱いづらい、
しかも知性というものを。
つねさん まとってる。
ノリスケ ビジネスに。
ジョージ うん。ビジネスにしている人。
だから甘やかな香りで
バランスを取っているのかなあとか
思ったりするよね。
ノリスケ うん。
ジョージ で、そのくせして、例の
バリバリの営業をやっているムダな巨乳の女だよ。
あの女からは匂いが全然しないんだよね。
彼女はね、無臭の女性なんだよ。
たぶん彼女が甘やかな匂いをまとうと
トゥーマッチなんだろうと思うんだよね。
つねさん うん。
ノリスケ ジョージさんタイプ。
ジョージ そうね。
つねさん 同じ、匂わない匂いがするんだ。
ノリスケ するする。あの人、すごくジョージさん。
つねさん ああ、女ジョージ。
ジョージ あ、そう。あのー、
狩人なんだよね(笑)。
ノリスケ 狩人。2人でデビューしたら?
つねさん わはははは。
ジョージ しかも群れをなさずに
一人でもってサバンナに出ていって、
槍一つで大物を仕留める類いの狩人なんだよ。
そういう人は香りを発散させては
獲物に気づかれるから
ダメなのかなあと思ったよ。
つねさん ああ。隠すようにしてるのかしら。
ジョージ まあ、いつも僕らと会う時には
朝寝坊をしてたり、
忙しくって匂いを
つけ忘れてるのかもしれないけど。
ノリスケ 単に(笑)。
でもほら、シチュエーションを
選んでるのかもしれないし
ジョージ でも彼女のありとあらゆる行動パターンの中に、
匂いというものを感じないでしょう。
ノリスケ 感じない。狩人は感じるけど。
つねさん 狩人だね。
ジョージ そう。話をもどすとね、
女性の「香り」は好き。
女性の「匂い」は、たぶん僕は
シャットアウトしてると思う。
匂わないように。
ノリスケ 感じないように。
ジョージ だから例えば、こういうとあれかな?
女性は汗をかいていてほしくはないという
ファンタジーがあるの。
よくね、映画なんか見てると、
暑〜い夏の昼下がりかなんかに、
情事が起きる直前って
必ず女性がほつれ毛になって。
ノリスケ ちょっと汗ばんで。
ジョージ それが額かなんかにぴたっと張りつくわけよ。
ノリスケ ちょっとイメージでいうと
昔の佐久間良子みたいな。
ジョージ そう。で、脇の下かなんかに
汗じみができているのがばーっとアップになって。
ノリスケ セクシーな表現?
ジョージ サッと引かれた瞬間にガバっみたいな
感じがあるでしょう?
あれは絶対ダメなんだよ、僕の場合はね。
ノリスケ 僕もダメですね。
表現としてはとってもよく分かるんだけど、
目を背けてしまうの。
普通の男は「おおおおーーっ」って思うのかしら、
って思いながら。
ジョージ そういうところに色気を、ああ、
男は感じるんだなあというふうに思うよ。
逆にね、アメリカなんかに行って
道路の端でもって、ランニング一つでもって
道路工事をしているおじさんの脇の下かなんかに、
ああ、すごい、なんて
欲情する自分はいるのかもしれないけれど(笑)。
ノリスケ こっちはこっちで、逆に理解されないわね。
でも、女性たちには分かる‥‥人もいる、
んじゃないかなあ?

つづきまーす!

2007-03-06-TUE

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