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香りに溺れて。その1




ノリスケ おはようございまーす。
ふたり おはようございま〜す。
ノリスケ 珍しく朝ご飯前に集まってまーす。
ジョージ あら、朝ご飯食べてないの?
ノリスケ だっておふたりと
お昼ご一緒しましょうっていうから
朝ご飯食べずに来たのよ。
ジョージ 今日は何の話しようって言ってたっけ?
ノリスケ 今日はね、香り。
ジョージ 何でだっけ?
ノリスケ あのね、たまたま1年前に
パリで香水を買ったのね。
いつもはお土産みたいにして
免税店で何か名の知れた香水を買うんですけど、
そのときは、ショップオリジナルの、
とても、何て言うのかな、甘く、
ちょっとキャンディーみたいな香りの、
でも男の子っぽい香りを買って来て、
それを忘れてて飾ってあったのよ。
で、久しぶりにつけてみたらね、
一日じゅう、すっごい怠け気分に
なってしまって、だらだらになって。
最初それが香水のせいだって気がつかなくて。
ジョージ 分かる‥‥(笑)。
ノリスケ 何か今日やる気な〜い。
やる気ないっていうか、
前向きに積極的に怠けたいくらいの気分。
つねさん ああ。
ジョージ 朝からアンニュイな。
ノリスケ アンニュイなの。そうそう。
まさしくアンニュイとしか言いようがない
気分に襲われ、
アドリア海が見たいくらいの気持ちに、
意味もなく、なるわけよ(笑)。
つねさん 突然(笑)。無意味(笑)。
ノリスケ ちょっとビスコンティな気分? みたいなね。
つねさん ビス様ですか。
ノリスケ そういう退廃的な気分にすらなった理由は‥‥。
つねさん 何だろうと。
ノリスケ 香水だったのよ!
つねさん なるほど。
ジョージ いま、つねさんね、
さも興味があるかのごとく
「なるほど」とか言ってるけどね、
昨日の夜から、
自分は今日の話に関係がないって、
実は傍観者なの。
つねさん でへへへ。ばれた。
ノリスケ そうよね、つねさん、
匂い系、まったく興味ないのよね。
「匂いは好きじゃないの?」って
訊きたいくらい。
ジョージ それはね、今朝も車の中で
言ってましたけど。
つねさん 「それ言うな」って言われたの。
ノリスケ え? 匂いは言っちゃダメなの?
‥‥あ、わかった。
「男の匂いなら好き」とか
そういうことをいきなり言いだすんでしょう。
ジョージ ま、そのうち話の流れでね、
言うかもね。
つねさん むふふふふふ。
ジョージ (つねさんに)匂いものは
どのくらい持ってるの?
つねさん ゼロ。
ジョージ ゼロ!
ノリスケ へえ!
ジョージ ゼロなのよこの人。
つねさん ゼロでーす。
ノリスケ まったく興味ないの?
つねさん ない。
ジョージ オカマなのに!
ノリスケ へえーーー!
つねさん ほんとにない。
ノリスケ うち棚一つ、全部匂い系。
つねさん うん、知ってる。
玄関にもあるもんね。
ノリスケ そう、玄関の脇にずらーっと。
買ったのも、もらったのも含めて。
つねさん 友達からもらったら人にあげるな。
ノリスケ 興味もなかった?
つねさん ないよ。
ノリスケ 大人になったら、みたいな。
つねさん ないっ!
ノリスケ すごいハッキリした
即答ありがとう(笑)。
つねさん いいえ(笑)。だって、なんだろうね。
でもつきあった人で、
匂いの好きな人、けっこういたよ。
ノリスケ つきあった人でそういうのが好きだったら
影響されたりとか‥‥、あ、しないんだよね。
あなたはいっさいそういうことがないのよね。
ジョージさんにすら、染まらない男。
つねさん うん。つきあった人がたばこが好きでも、
俺は吸わないし。
ノリスケ そうだよね。
つねさん うん。
ノリスケ けっこうオカマ的な心持ちってさあ、
染まりたいみたいなさあ。
つねさん ああ、あなた色に染めてみたいな。
ノリスケ そうそうそう。
そういう気持ち、ないの?
つねさん ないっ!
ジョージ ‥‥。
つねさん ははは。
ノリスケ ジョージさんが、ちょっと遠くを見ている。
ジョージ ‥‥どうしようかなぁと思って。

あしたに、つづきまーす!

2007-03-01-THU

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