| ジョージ |
僕の場合は、家業だったから。
それと、一緒に住んでたしね。
家族みんなが。
プライベートがないんだよ。
晩飯食ってても
仕事の話してたりとかするし、
もう嫌で嫌で仕方がなくって。
仕事が嫌いなわけじゃないんだよ。
でも、今のまんまだと、
もう自分の将来わかっちゃうし、
つまんないなぁ、って思って。
そういうのって、どんどん態度に
出てくるんだろうね。
やがて大喧嘩になって、
長らく殴られたことがなかったんだけど、
オヤジに殴られたんだよ。
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| ノリスケ |
いい歳して（笑）。
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| ジョージ |
そう。そしたらね、おふくろ曰くね、
僕、ぜんぜんそんな憶えないんだよ？
オヤジに殴られたときに、
僕、ニタって笑ったんだって。
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| つねさん |
いやっ、こっわ〜。
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| ノリスケ |
あ、それを待ってたんだ（笑）。
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| ジョージ |
で、そのときに、おふくろは、
あ、この子、会社辞めるわ、
って思ったんだって。
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| ノリスケ |
その機会をうながしてたんだね。
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| ジョージ |
そう。それで、その晩に、
僕は家出したんだもの。
僕は、知らず知らずのうちに、
そっちのほうに向かってたんだよね。
で、オヤジは、まんまと策略に
のったんだよ。
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| つねさん |
引っ掛かったんだ。
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| ノリスケ |
使われちゃったんだ。
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| ジョージ |
オヤジの線路に乗っけられた僕が、
逆の引き込み線に
オヤジを乗せたようなもんだよね。
それでもボクは帰ってきて、
やっぱり一緒に仕事してる。
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| ノリスケ |
そして今は？
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| ジョージ |
今はもうぜんぜん
わだかまりなし。
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| ノリスケ |
プライベートがないっていったら、
ジョージさんの生活は、
ぜんぶ仕事に繋がってるでしょ？
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| ジョージ |
そうそうそう。つねさんまで
仕事にちょっと半分加担させたりとか。
オヤジとおふくろが、一緒にメシ食いながら
仕事の話してるのとおなじようなことを、
自分もしてるんだなとかって思うもん。
だから、だから、なんか、面白い。
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| ノリスケ |
うん。
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| ジョージ |
会社で辞めて行く人たちとかって、
けっこういるでしょ？
ウチはこの前、女の子ひとり辞めた。
この子がね、すんごい良家の
お姫さんだったの。
堅〜い家庭でね、
彼女の前では
エッチな話ができないのよ。
今年30になってもそんなで、
やっぱり心配だから、今まで、
いろんな男の子くっつけようとしたり、
ブラインドデート仕掛けたり、
彼女を解きほぐそうとしたんだけど。
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| ノリスケ |
免疫力を高めていこうと（笑）。
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| ジョージ |
でも、ダメなんだよ！
ところがこの前ね、辞表が出て。
理由を訊いたら、
「いい子であることに疲れました」って。
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| つねさん |
ありゃ？
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| ジョージ |
私は今まで、家庭の中でも会社でも、
学校でも友だちの中でも、清廉潔白で、
いい子だということを演じていたけれど、
もう疲れたって。
ストレスにストレスが溜まったんで、
リセットさせていただきたく、って。
これからの人生は、
今までの自分と関係のないところで
挑戦しようと思うから、っていうんで
辞めていったの。
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| ノリスケ |
へぇ〜。
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| ジョージ |
そういうこともあるんだな、って思った。
新しい自分を探すために、
半年ぐらい何もしないって言ってた。
見つかるかどうかわからないけど、
でも、人が会社を辞めるっていうのは、
そういうことがほとんどなのかなって
思うよね。リセットっていうのが
多いんじゃない？
学校だと転校みたいなもので。
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| つねさん |
あぁ〜。
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| ノリスケ |
チャラにしたいんだよね。
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| ジョージ |
で、何をリセットされたいかっていうと、
やっぱり自分に対する期待を
リセットしたいんだろうね。
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| つねさん |
うんうん。
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| ノリスケ |
チャラになるって、常に思い続けてるのは、
いけないかなって気もするよ。
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| ジョージ |
たまにはいいと思うの。
人生のうちで、２、３回くらいは
リセットがあってもいいかな、
って思うんだけどね。
80歳まで生きるとして、
20年おきにリセットあったとして、
３回あるわけでしょ？
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| ノリスケ |
そうね。
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| ジョージ |
いちばん最後のリセット、
４回目が死んじまうって
ことかもしれないけどね。
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| ノリスケ |
３回使えるくらいに
思ってたほうがいいかもね。
なんかね、何度も何度も、
リセット癖がついちゃうのは
こわいかな。
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| ジョージ |
リセット癖がついちゃうのもこわいし、
そろそろリセットすればいいのにって、
周りみんな思ってるのに‥‥。
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| つねさん |
しない。
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| ジョージ |
しないで、過去を引きずって、
ほんっとに重苦しそうに
生きてる人いるでしょ？
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| ノリスケ |
うん、いるいる。だから、
もっと明確にね、
リセットカードっていうのを持ってれば、
いいのかなって気がする。
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| つねさん |
あー、面白いね。
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| ジョージ |
アメリカがそう。
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| ノリスケ |
えっ？
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| ジョージ |
たとえば、日本で、会社倒産させると、
もう立ち直れないとかって言うじゃない。
だけど、アメリカで会社倒産しても、
それは経営を失敗したわけであって、
その人の人生とか、
キャリアとかが失敗したわけじゃ
ないんだよね。
リセットがきくんだよ。
ただし、２回までのリセットは
許されるけど、３回失敗してしまうと、
やっぱりこの人は、
そういう癖があるんだ、
っていうふうに思われる。
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| ノリスケ |
日本って、それなさそうね。
夜逃げよ、夜逃げ。
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| ジョージ |
日本の破産法は、人生のリセットを
手伝ってやろうっていう感じだけど、
昔の人は失敗してしまうと、
もうそれでぜんぶダメになってしまうような
感じがしてしなかったのよね。
逆に最近の若い子を見てると、
リセットするのが当り前みたいに、
なんかブチブチブチブチ
やり直したりとかするから、
ちょうど中間くらいがいいんだろうと
思うんだけどね。
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| つねさん |
ま、人の付き合いもそうだよね。
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| ジョージ |
だから、３回くらいは
リセットできるんだと
思ったほうがいいよね。
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| ノリスケ |
そうすると、会社辞めたときに
１回使ってるな（笑）。
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| つねさん |
じゃ、俺、２回使ってるよ。
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| ジョージ |
１枚しか使えないって思ったら、
使えないと思うのよ。
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| つねさん |
３回とかだったら、
とりあえず１回使っとこう、って。
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| ジョージ |
うん、まず１回目はね、
わりと気軽に使ってもいいかなと思うんだ。
それで、２回目３回目は、
絶対その１回目よりは
大切に使わないといけないんだよね。
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| ノリスケ |
そうね。うん。３枚だね。
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| ジョージ |
うん、そんなもんだと思うよ。
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| ノリスケ |
で、１枚２枚で済んだら、
良かったかなって思うような
人生でありたいかな（笑）。
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| つねさん |
べつに３枚とも出さなくてもいいんだよね。
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| ジョージ |
そうだよね。うん。で、最後はね、
それこそ仕事を辞めて、
老後の生活に入るときに
大切に使いたいよね。
若いときに、社会人としての自分を
もう１回やり直すみたいな感じのが
１回あって。
もう１回は、あるかないかだろうね。
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| ノリスケ |
大きな恋愛をやめるみたいなときも、
リセットカードが必要かもよ？
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| ジョージ |
うん、必要なんじゃない？ ね？
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| つねさん |
な。
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