文学の戦後と現在
──三島由紀夫から村上春樹、村上龍まで

  • 時間

    198
  • 音質

    恒例で参加していた
    「近代文学館・夏の文学教室」
    での講演。この年のテーマは
    「戦後50年の文学」。客席は満席。
    音源は主催者提供。聞き取りやすい。

  • 講演日:1995年7月24日
    主催:日本近代文学館 後援・読売新聞社
    場所:有楽町・よみうりホール
    収載書誌:朝日出版社『埴谷雄高・吉本隆明の世界』(1996年)




文学作品はいつもある時代の作品です。
『源氏物語』は別な面から見ると
ものすごいジャーナリズム小説なんです。
当時の誰それが失恋して失踪したとか、
そういう風俗的な事件がとてもよく入っているんです。
いま読むとその面が沈んで
僕らもよくわからなくなっているけど、
よくよく見れば当時あった人が騒いだ事件は
ことごとく作品のなかにおさめられています。
そのように、ある作品が長生きするかどうかということは
偶然性にもよりますが、いずれにせよ時代の風俗性と、
永続性みたいなものが両方ないと、
長生きはしないということがいえそうな気がします。