25年目の全共闘論
──『全共闘白書』を読んで

  • 時間

    60
  • 音質

    『全共闘白書』(新潮社)の
    刊行を機に開かれた
    シンポジウムの講演。
    この講演のほか、小坂修平氏や
    切通理作氏らによる討論があった。
    反響音や手元ノイズがあるが、
    比較的クリアに収録されている。

  • 講演日時:1995年1月18日
    主催:プロジェクト猪/『全共闘白書』編集委員会
    場所:永田町・星陵会館
    収載書誌:プロジェクト猪『いのししブックレット2 25年目の全共闘論『全共闘白書』を読んで』(1995年)、弓立社『吉本隆明全講演ライブ集 第9巻』(2005年)




『全共闘白書』の最初のところに
72項目のアンケートがあります。
僕が読んでいちばん関心を持ったのは
このアンケートでした。
こういうアンケートの設問のしかたは、
「社会的なこととか公共的なことは重要で、
個人的なことが最重要課題だということは
情けないことなんだ」
というような観点が、
無意識のうちにあるような気がします。
僕はそれは絶対にやめたほうがよいと思います。
そういう発想をしている限り、
「おれは大衆の前衛であって、みんなついて来い、
おれが啓蒙してやる」
みたいな勢力にかなわないんです。
そうじゃなくて私のこと、自分のこと、
それから子どものこと、家庭のことが大切なんだ、
それが最緊急課題なんだという観点を根本に据え、
それを基盤に政治的なこと、
社会的公共的なことを考える考え方に
転倒しないとだめなんです。