寺山修司を語る
──物語性のなかのメタファー

  • 時間

    114
  • 音質

    周辺のノイズが入っており、
    音質はあまりよくない。
    『寺山修司の世界』には
    「物語性のなかのメタファー」
    として収載されている。

  • 講演日時:1993年4月10日
    主催:風馬の会
    場所:早稲田奉仕園 レセプションホール
    収載書誌:情況出版『寺山修司の世界』(1993年)




僕は自分のことも
そういうふうに思うことがあるのですが、
寺山さんというのはたいへん孤独な人だったと思うのです。
たとえばインディアンに囲まれたアメリカの騎兵隊とか、
騎兵隊に囲まれて砦にこもったインディアン、
比喩でいうとそうなると思います。
砦のなかに本当はひとりしかいないのに、
こっちの銃眼から鉄砲を撃ったかと思うと、
また違う窓から鉄砲を撃つ。
そうやって、たくさんいるかのごとく
見せ掛けなくてはならなかったのです。
寺山さんは、短歌や俳句から、詩、散文、小説や戯曲まで、
あらゆることに手を出しています。
砦にこもった単独者のとても大きな特色だと思います。
色々なことに手をつけて、色々なところで
色々な弾を撃たなければならないというところは、
寺山さんのいちばんいいところだという気がします。