宮沢賢治の
文学と宗教

  • 時間

    115
  • 音質

    主催者から提供を受けたもので、
    クリアに収録されている。

  • 講演日時:1989年11月2日
    主催:文京区立鷗外記念本郷図書館
    場所:文京区立鷗外記念本郷図書館
    収載書誌:コスモの本『愛する作家たち』(1994年)




宗教家としての宮沢賢治と、
芸術家・詩人あるいは童話作家としての宮沢賢治と
どちらを偉大だと思うかといえば、
僕は詩人・童話作家・芸術家としての宮沢賢治のほうを
偉大だと思いたいところです。
しかし宮沢賢治自身は、宗教家としての自分、
法華経の信者としての自分というものを
いちばん重要だと考えていたのではないかという
気がします。
法華経では、文学芸術を真っ向から否定しています。
「文学芸術のようなものに近づくならば
法華経の信者にはなれない」
といっています。
宮沢賢治は、思春期に法華経を
はじめて読んだときにこのことにぶつかり、
また死ぬまで文学芸術をやめられなかったわけですから、
何らかの意味でこれに対する考え方がなくてはなりません。