親鸞から見た未来

  • 時間

    69
  • 音質

    客席から録音されたものだが
    クリアに収録されている。

  • 講演日時:1988年10月13日
    主催:大谷大学
    場所:大谷大学
    収載書誌:東京糸井重里事務所『吉本隆明が語る親鸞』(2012年)




現在起こっている社会現象に特徴があるとすれば、
一見すると「緊急な事柄」のように見えるもののなかに、
本当は「永続的な問題」が混ざって、
一緒に出てきていることだと思います。
こういう考え方にたいへん示唆を与えてくれたのは、
親鸞の「再び還ってきて、自在なる慈悲を発揮すべきだ」
という考え方です。
ある社会的な事件があったら、
親鸞的ないい方をすれば──時間的にいえば
未来から──「浄土や死からの光線で
照らしだしてみなければわからない」
という永続的な課題が、
あらゆる社会現象のなかに見られるようになったことが、
とても重要なことではないかと思われるのです。