農村の終焉

  • 時間

    211
  • 音質

    音源は主催者提供だが、
    客席から録音されたもの。
    世の中ではこの講演の前年
    1986年から開かれた
    ウルグアイラウンドの
    農業貿易自由化をめぐる
    議論があった。

  • 講演日:1987年11月8日
    主催:雑誌「修羅」同人
    場所:長岡市北越銀行ホール
    収載書誌:弓立社『吉本隆明全講演ライブ集 第5巻』(2002年)




農村を守るという論議のなかには、
非常に切実な問題が含まれているのです。
一種の文明の必然、文化の必然、科学の必然というもの、
そういう必然はいかようにも止めようがないんだけど、
それにも関わらず、
理不尽な絶滅のしかたはしたくないとか、
理不尽な交代のしかたはしたくない、
そこにどういう活路を求めたらいいのかという問題は、
ものすごく切実な問題だし、
当事者だったらなおさらそうなのです。
だからその問題は、もう完全に問題としてあるので、
それは大いに論議されるべきだけど、
「都市の野郎があんなこというのは
むちゃくちゃじゃないか」
「とんでもねえ野郎だ」とか
「農村を知らないんだ」とか、
そういういい方での対立のしかた、
論議のしかたはあまり意味はないと思います。