アジア的と西欧的

  • 時間

    127
  • 音質

    ライン録音。
    たいへんクリアだが、
    ところどころに
    音が割れるように聞こえる
    個所がある。

  • 講演日時:1985年7月10日
    主催:リブロ 西武池袋本店
    場所:西武百貨店 池袋店 スタジオ200
    収載書誌:弓立社『超西欧的まで』(1987年)




日本は現在、西欧型の先進的社会に突入しています。
ただ、複雑なことは、〈アジア的〉という概念が
一枚加わらないと、日本社会の完全なイメージが
描けないということです。
日本の現在の社会のなかに〈アジア的〉意識が
どんなふうに〈手段〉の分野で存在しているか、
どういうふうに産業・芸術・文学の分野で
存在しているかという問題が残されているのです。
日本の社会は、西欧における
「西欧的思考の解体作業」にも参加せざるをえないし、
ある場合にはそれを推進せざるをえないというところに
おかれています。しかし同時に
〈アジア的〉意識というもののあり方を、
二重性として勘定に入れなければなりません。
こんなことは西欧社会では不要なことでしょうし、
西欧社会が日本の社会を見る場合に
誤解しているところかもしれません。
また、そこに、日本の社会が西欧の社会にとって、
大きな意味をもって浮かび上がってくるように
見える理由があるのかもしれません。