文学の原型に
ついて

  • 時間

    131
  • 音質

    高知県教育委員会などの主催による
    「夏季大学」での講演。
    終戦記念日である8月15日の夜に行われた。
    音源はたいへんクリア。

  • 講演日時:1980年8月15日
    主催:高知県教育委員会/高知新聞社/高知放送 後援・NHK高知放送局/高知県教職員組合/高知県文教協会
    場所:高知市立中央公民館
    収載書誌:未発表




文学の原型、あるいは物語のはじめは、
人間の生死と関わりがあります。
人間の生と死についての考え方が
どうなっているかということと、
物語あるいは文学の原型がどうなっているかということとは
パラレルな関係にあるということです。
人間が生きて、死んでいく、そして
死んだあとにどうなるんだという考え方のなかに、
物語あるいは文学を成立せしめている基本的な構造が
あると思います。
現代の文学でそういうことを
典型的に見ることのできる作家は、たとえば堀辰雄です。
堀辰雄の死についての考え方は、ハイデッガー的でもなく、
サルトル的でもなく、単独に、
文学作品の構造と死に対する考え方の構造を
追い詰めています。