障害者問題と
心的現象論

  • 時間

    55
  • 音質

    客席から録音されているため
    周辺のノイズが入っており、
    音質はあまりよくない。

  • 講演日時:1979年3月17日
    主催:富士学園 労働組合
    場所:小金井公会堂
    収載書誌:弓立社『心とは何か』(2001年)




身体とは何か、身体の障害とは何か、精神異常とは何か、
それはどうすればいいのかということは、
人間の歴史が最後まで解決を残すだろう問題です。
〈肉体としての身体〉は、何十万年後になっても、
「どこが進化した、どこが退化した」と
変わることはそんなにないと思います。
しかし〈身体の像〉は時代によって
刻々と変わっていきます。
身体に関する障害や精神障害には、
神様に近いと崇められた古代から、
働けないから人間以下だと蔑まれた
近代社会に至るまでの、
目もくらむような価値観の変遷というものがあります。
けれども現代、精神障害、身体障害は
「神でもなければ人間以下でもない、それは人間なんだ」
という概念が少しずつ闘いとられてきつつある
ということが、
唯一の解決の糸口なんじゃないかと思われます。