戦後詩とは何か

  • 時間

    57
  • 音質

    客席から録音されているため
    周辺のノイズが入っており、
    音質はあまりよくない。

  • 講演日時:1967年11月5日
    主催:早稲田大学 早稲田祭実行委員会
    場所:早稲田大学 大隈講堂
    収載書誌:徳間書店『情況への発言』(1968年)




戦後詩というものは、
ひとたび再建された戦後資本主義社会という軌道に
戦後詩人が乗ったとき、自ら終結してしまったと
僕は考えています。そしてそれ以降、
「いかにしてどこに詩を創造する凝縮力の核を求めるか」
という問題についてのモチーフを喪失したのです。
現在、詩人が自らの創造の核というものを
どこに求めるかを考えると、
〈原型として考えられる大衆〉、あるいは
〈沈黙の意味として存在している大衆〉との
対話によってしか、詩の創造の核は
回復することができないと思います。
詩というものが、戦後すぐの無権力状態における混乱と
無秩序のなかから手探りで見つけた創造の核を、
きわめて秩序を回復しているかに見える
現在の資本制社会のもとで獲得していく唯一の根拠と、
現在における詩人の存在理由は
そういうところにあるだろうと考えます。