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ジモティーズ観光案内
こんなにいい場所に来ないのはバカだぞ!

おらの大仏じまん。千葉県鎌ヶ谷市から

みうらじゅんさんへ

こんにちは、
ほぼ日刊イトイ新聞スタッフの金澤です。
仏像愛好家としてフェイマスなみうらじゅんさんに
ぜひお知らせしたいことがあり筆をしたためております。
とゆーか、おらが村の大仏じまん、を聞いてください。

見仏旅行と称して、国内はもちろんのこと、
タイ、インド、韓国に行かれて
「見仏記」という本まで出版されていますが、
おそらくこの度紹介する大仏は、
ご覧になっていないはずです。
いえ、根拠なき断言、お許しください。

その大仏がどこにあるかと言いますと、
東京から電車で1時間ちょっと、
千葉県の鎌ケ谷市という街にあるのです。
“なし”の産地でして、
今までお食べになった数多くの“なし”のなかには
鎌ケ谷でとれた“なし”がぜったいに含まれています。
重ねて根拠なき断言、お許しください。

あと、“ぶどう園”も多かったですね、昔は。
“なし狩り”は今でもやってるみたいですが、
子供のころから「“なし”は狩るもんじゃないだろ、おい」
と思っていたことは、ここでは余計なことでした。

今から約28年前、葛飾区で生まれてすぐに
この街に移り住んだ私は、物心ついたときから、
「家どこ?」「最寄り駅は?」と聞かれると、
「鎌ケ谷大仏」と答える少年でした。
地元の県立高校を卒業して、東京の学校に通う年ごろには、
さすがに私も色気づいたのか、同じ質問にたいして、
「船橋」などと、西武デパートがあったりする
ちょっと知られたとなり街の名を答えるようになりました。

えー、ムダな説明が長くなりましたが、
最寄り駅は「鎌ケ谷大仏」なわけでして、
つまり、じまんの大仏は“駅名”になるほど
街の暮らしに溶け込んでいるというか、
暮らしにかかせないものになっている、
ということを強くアピールしたかったのです。

暮らしにかかせない、だなんて、
どーしてそんな大げさなことを平気で言えるのか、私は。
それには、ちゃんと証拠があるのです。
駅名が「鎌ケ谷大仏」であることは、
さっき申し上げましたが、
バス停の名前も「鎌ケ谷大仏」です。
千葉県民が都内に通勤するために、バス、鉄道は
かかせない生命線です。まさに生活に密着!



下の写真もご覧ください。
「大仏不動産」に「きそば大仏庵」。
お部屋さがし、そして生きていくための食事。
衣食住の住と食ですよ。大事だなぁ。



人間ですから、怪我も病気もするじゃないですか。
そこで登場するのが、
「大仏整形外科」そして、「大仏内科クリニック」。
どーですか、この安心感。
陸上部で燃えていた中学時代、
ヒザ下の軟骨が出てくる成長痛を癒してくれたのは、
大仏整形外科の電気でピリピリする治療でした。
 

しかし、衣食住と、怪我や病気したときの安心感だけで、
人間らしい暮らしができるでしょうか?
鎌ケ谷大仏に暮らす人たちは、おしゃれにも気を使います。
「ヘアーサロン大仏」は私の弟も世話になりました。
散髪がおわって支払いのとき、さりげなくセブンスターを
1本すすめてくれるサービスに、少年時代の私は、
ちょっと大人の気分を味わったものです。



さて、よーく考えると、今まで紹介した
数々のアイテムには、ひとつの共通点があります。
もうお気づきでいらっしゃることでしょう。
“大仏”です。わっはっは。

「鎌ケ谷大仏駅」の改札を出て、階段をおりると、
目の前に2車線の街道がとおっています。
木下街道(きおろし街道)といって、市川市の八幡と、
あの印旛高校のある木下の街をむすんでいます。
江戸時代、銚子の漁港で水揚げされた海産物などは、
利根川の水運で木下まで運ばれ、
この木下街道をとおって江戸に運ばれたらしいのです。

鎌ケ谷大仏のある鎌ケ谷という街は、
当時は木下街道にいくつかある宿場のひとつでした。
小学校の社会科の授業では、
「宿場街のおもかげが残る……」と教わったものですが、
それはウソだと思いました。
カラオケはあるわ、ファミレスはあるわ、
モスバーガーはあるわで、宿場の雰囲気はありません。

しかし、大仏は健在です。
駅を出て木下街道を渡ろうと、街道の向こう側を見ると、
大仏さまのお姿が見えることをお約束します。
見るだけなら、駅から徒歩0分。
触るなら徒歩1分です。


鎌ケ谷大仏は、部屋の中でじっとしていたりはしません。
屋根や囲いのない屋外に、堂々と座っておられるのです。
雨にもマケズ、風にもマケズ、でございます。
威風堂々! とはこのことでしょう。

みうらじゅんさん、見仏旅行の1ページに
ぜひ鎌ケ谷大仏をくわえてください。
不動産屋をひやかし、そばを食べ、
関節を治療、内科検診で健康をチェックして、
理容店でヘアースタイルもばっちり、
そんな大仏づくしの旅、いかがでしょうか。
大仏のある街、鎌ケ谷大仏駅周辺を
じまんさせていただきました。




場所
JR常磐線の松戸駅と、JR総武線の津田沼駅をむすぶ
新京成電鉄という私鉄があるんですよ。
大仏は、新京成電鉄の「鎌ケ谷大仏駅」から徒歩1分。
JR秋葉原駅からは、松戸経由で約1時間、
津田沼経由で1時間10分くらいですね。
最近では、地下鉄東西線「西船橋駅」から
そのまま延長された東洋高速鉄道が便利ですよ。
東洋高速鉄道「北習志野駅」で新京成線にのりかえると、
10分くらいで「鎌ケ谷大仏駅」につきます。


鎌ケ谷大仏とは?
むかーし、むかし、安永5年(1776年)11月に
鎌ケ谷宿の大国屋(福田)文右衛門が先祖供養のために、
江戸神田の鋳物師、多川主膳に鋳造させた、
青銅で作られた露座の大仏です。
開眼供養の時は、福田文右衛門の家から大仏にいたる
約3町(約300メートル)の道に琉球産の畳を敷きつめて、
供養を行なう関係者が歩きやすくしたそうな。
僧侶を50人も招いて、楽人入りの稚子の練り供養
(ってなんだかわからないのよ。音楽系か?)を
したといわれてます。はい。
参考文献:「大仏の横にある看板」



高さ1.8メートル!
この小ささがキュートなのよねー。
しかし、スポーツ選手とかだと身長1.8メートルって
けっこうフツーだよね……。
大仏の定義って、どういうものなんだろう?
この小ささでも、昔から大仏と呼んでいるんだから、
いまさら現代人が
「小さいから大仏じゃない」とかいうのは、
伝統に弓をひく、歴史を冒涜するような発言なのだろうな。

というわけで、
第1回目は、ほぼ日スタッフが
地元の大仏をじまんしてみました。
投稿するときの参考(踏み台)にしてくださいね。
手紙形式にしてということじゃないですよ。
案内の方法は自由ですよ。
ぜひ写真や、地図を送ってくださいね。
写真や地図、イラストなどの画像は
添付ファイルにしてメールで送ってください。
みなさんからの観光案内(地元じまん)待ってまーす!

(おわり)

2000-02-29-TUE

TANUKI
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