のとのこと。


──	新しい写真集を見ていると『うめめ』『男子』の流れとは明らかにちがうし、かといって『じいちゃんさま』のときに思った「だいすきだーっ！」って思いが溢れた作品ともちょっと別の感じを受けました。
梅	でも、わたしとしては、急にすごく心境が変わったわけでもなくって。発表したってことは、まあ、少しは変わったのかもしれんけど、でも、こういう写真、ずうっと前から、いっぱい撮っとってん。
──	発表してなかっただけで。
梅	おもしろい写真のほうが、出したかったから。
──	おもしろ写真を撮ってるだけでは、なかった。
梅	そのとおりです。
──	どっちの写真も、おんなじ梅佳代さんが撮ってるわけですもんね。
梅	そう、撮りたいもんを撮っとる。それだけ。

──	さきほど、「今日のテーマはオ・ト・ナよっ！」っておっしゃってましたけど、たしかにそのとおりかもしれないですね。今回の『のと』って、これまでの「おもしろ路線」もありつつ、なんだか、全体的には「視線がオトナっぽい」気がしたので。
梅	オトナっぽいですよ。
──	オトナっぽいですか。
梅	オトナっぽいです。わたし最近、めっきりオトナっぽくって。
──	それは、なにかきっかけが？
梅	やっぱり、「韓流ドラマ」を観るようになったんがそうとうデカいです。

──	‥‥そこですか。
梅	韓流ドラマのせいで、わたし、本当に、いろいろ大変なことになっとる。
──	詳しく教えてください。
梅	いや、もう、あのね、女をね、すんごい取り合いするんですよ。ハンサムな男ふたりが。なんか、えらい金持ちのハンサムと貧乏やけど、これからのし上がって行くっていう気の強いハンサムとが。
──	ははあ。
梅	はじめ「え、どっちもいいじゃん」みたいなうらやましい思いをしながら観て、そのまま結局、全18話を観ちゃったりしてる。「やっぱり、そっちかぁー。　わたし的には、あっちでもよかったけど、　でもまぁ、こっちだよね」みたいな、なんていうの‥‥そういうきもちになる。
──	それ、テレビで観てるんですか？
梅	BSとか、J：COMにも入ってるから。
──	お忙しいのに。
梅	だから、この『のと』をつくっとるときとか、本気で、マジ地獄だったもん。わたし、最低８時間は寝ないと調子悪いのに韓流ドラマのせいで眠りをちょっと削った日もあったし。
──	寝不足になりながら、韓流ドラマを。
梅	観ながら、こうまでして観るなんてわたし、バカなんじゃないかと思っていたし、おばさんすぎるとも思ったし。
──	ハマったきっかけは？
梅	キム・スヒョンのせいなんですけどね、ちょっと見ます？
──	有名な人ですか。
梅	見たらスグにわかりますよ。この人ですよ。

──	‥‥‥‥‥。
梅	あ、うそ、わからない？　マジ！？キム・スヒョンは誰でも知っとるよ。おばさんじゃなくったって、誰でも。
──	すみません、覚えておきます。
梅	でもやっぱり、ハンサムもいいんだけどドラマの内容がおもしろいんや。
──	ベタベタな展開をしていくところが懐かしい感じでよかったりするんですか？
梅	いや、ベタっていうか‥‥夢のような展開。
──	夢のような（笑）、失礼しました。
梅	だいたい、女がドジッ子で、なんとなく、わたしくらいの年齢なの。妹のハルカも「え、あれ、かっちゃんじゃない！？」とかって言って盛り上げてくるし。

──	かっちゃんというのは、梅佳代さん。
梅	そう、最近、ハルカに「かっちゃん」って呼ばせてるんやけども、だんだん「女」が自分に見えてきて。
──	思う壺ですね。
梅	「わたしも、こういうミスする！」って思うと、だんだん、だんだん、「わたしも、こんな目に遭いたい！」とかって。
──	完全にハマっちゃって。
梅	いや、だから、もう！観てないから、そんな目でわたしを見るんや！観ればわかるよ！　観てください！
──	すみません、ほんとそうですよね。観てもいないのに、失礼しました。
梅	まずは『美男（イケメン）バンド』とかから観てみいや、超ヤバいから。出る出る人、マジハンサムやから。
──	そういう名前のドラマなんですか？
梅	『美男（イケメン）バンド』に『美男（イケメン）青果店』に『美男（イケメン）ラーメン店』に‥‥。
──	青果店？　‥‥に、ラーメン店？
梅	美男（イケメン）シリーズ、超キテる。
──	それぞれ、バンドの話、青果店の話、ラーメン屋の話？
梅	うん。
──	それぞれ、イケメンがやっている？
梅	メッチャいいでしょ、その時点で。
──	梅佳代さんは、それらを、ことごとく観てるんですか？
梅	うん。ユチョンの『屋根部屋の皇太子』とかも最高や。
──	はー‥‥。
梅	ん？　大丈夫？今、気絶しそうじゃないよね、この話で？
──	はい、ええと、大丈夫です。つまり、最近、そのあたりにご自分の「オトナっぽさ」を感じている、と。
梅	そう。だから、結局は韓流ドラマのせいです。わたしが、オトナっぽくなったのは。
──	「おもしろ」だけじゃなく「いい写真」の本をつくってみようと思った、梅佳代さんの「オトナ」の部分は「韓流ドラマ」にハマることで、培われたと。

梅	それしかない。それしか思いつかない。

梅佳代『のと』より。

＜つづきます＞

2013-07-15-MON