OK! Yeah! ─── 『風が吹けば、桶屋が儲かる』
No.10
風が吹けば、
カツラが飛ばされそうになる
飛ばされないように、カツラを強めに押さえる
強めに押さえると、手に力が入る
手に力を入れ続けていると、手がマッチョになる
ハゲてて、手だけがマッチョな人になる
恥ずかしくて、外に出られなくなる
ひきこもる
このままじゃダメ人間だ
いつからこうなっちゃったんだっけ?
カツラを押さえたからだ
そもそもハゲだからだ
少しでも髪にいいことをしないと、
ひきこもりのままになってしまう
髪にいいこと
頭皮の脂を落として清潔にしよう
たくさん頭を洗う
なんだかサッパリして気分がよくなる
外に出たくなる
あまりにサッパリしたので、
ついカツラをつけずに外出してしまう
なのに意外にも、綺麗な女性に好感を持たれる
その女性と恋におちる
このあたりから彼の人生が好転してゆく
なんだか何をやってもうまくいく
その女性はいわゆるあげまんだったようだ
彼女のために働こう
そうだ!マッチョな手を活かした仕事はないかな?
大工仕事でなにかつくって売ろう
とりあえず桶でもつくるか
彼は桶屋になった
あげまんの彼女のパワーで次から次へと、
つくるそばから桶が売れる
桶屋がもうかる    廣瀬正木(ほぼ日乗組員・デザイナー)
 
 
風が吹けば、
飛来物のため電車が止まる
駅員への苦情、暴力が増える
屈強で苦情対応のできる駅員が各駅に配備される
駅マナーが向上し、トラブルが激減する
メディアで報道される
海外からも注目される
日本に来る留学生が増える
一般家庭にホームステイする留学生もどっと増える
留学生が日本のお風呂文化を気に入る
自国に帰った留学生たちがお風呂文化を広める
世界各国で日本製のお風呂が流行す
日本製風呂桶の需要が高まる
桶屋がもうかる  小野佐織(ほぼ日乗組員・カスタマーサポート)
 
 
風が吹けば、
髪がボサボサになる
こりゃ困ったとブラシを買いにコンビニに入る
おでんがおいしそうに見えてつい買っちゃう
みんながおでんを買って深刻なつみれ不足に
漁師たち、あわてて海に出てイワシを乱獲
急に仲間が減ってイワシたちは大さわぎ
それを見たアンコウ「だから俺は海底に住んだ」
という自伝を出しイワシ界のベストセラーに
印税が入ってアンコウお金持ちになる
「このお金で、みんなで提灯につける
 LEDライトでも買いに行こうぜ」
と浜の近くに大集合
海辺にアンコウの提灯が集まり美しい光景に
「アンコウの光を見ながら温泉で日本酒を一杯」
を売りにする海辺の旅館続出
とっくりを温泉に浮かべる桶の需要が急増
桶屋がもうかる   御手洗瑞子(気仙沼ニッティング)
 
 
風が吹けば、
スカートがめくれる
下着が見えなくたって、男は喜ぶ
男が喜べば、リポビタンDが売れる
リポDが売れれば、ケインコスギが燃える
ケインが燃れば、インターネットまで炎上する
ネットが止まるから、メールができなくなる
メールができなきゃ、カップルがどんどん別れる
それを聞いてマツコデラックスが、
「男と女なんてそんなもんよ!」
それを聞いて、ネットが炎上するかと思ったら、
ネットはできない
つぶやけないイライラで、やけ酒を飲む
酒がドンドン売れる、樽がなくなる
桶屋が儲かる   JP(ほぼ日アルバイト)
 
2013-05-11-SAT
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illustration:Toshiyuki Fukuda (c) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN