たとえば、あやしいメールに悩んでませんか?

かつては、「インターネットって怖いんでしょ?」
なんて言われても、
「怖い場所に近づかなきゃ怖くないよ」なんて、
答えていればよかったんです。
でも、このごろは、
「安全な場所」と「怖い場所」の区別ができなくなった。

オレオレ詐欺のニュースなんか、
テレビで見ているぶんには、
どうしてだまされるのか不思議に思えるんでしょうが、
実際、「オレオレメール」と呼べるような悪質なものが、
ごくごくふつうの人のところに、毎日のように届くわけで、
また、うまいんですよ、そのだましのテクニックが。

「ほぼ日」が、インターネットのワナを発見したり、
ワナに巻き込まれた人を救い出すなんてことは、
ぜんぜんできないのですが、
「こんなことが起こってます」という事例を掲載して、
多少の助けになることはできそうです。
なんといっても、
みんながインターネットに不安を持ったら、
「ほぼ日」だっておおいに困っちゃいますからねー。



=
最近謎なのですが
送った覚えのないところから
「エラー」や「メーラーデーモン」が
届いてしまうのです。
今はサーバーの中身をチェックして
不明なメールは削除するようにしています。
こんな現象に会われている方、
他にもいらっしゃるでしょうか?
(ぐま)


=
毎日毎日多くの迷惑メールが届きます。
それも気持ち悪いことに差出人名は
全て私のアドレス名なのです。
送られてくる件名や内容はその都度違います。
その都度削除していますが気持ちが悪いですね。
(N)

こんなご報告をいただきました。

同じ迷惑メールでも、
第1回でお話ししたのは、
“あなたの知らない誰か”が
せっせと迷惑なメールを書いて無差別に送り、
うっかりひっかかってしまう人を
待っている、というものでした。

しかし今回のケースは違います。
なんと、このメールの送り主は、
“あなた”なのです。

先にお断りしますが、もちろんこれは、濡れ衣です。
では犯人は誰でしょう?
それは、“コンピューター・ウィルス”です。

「わたしのパソコンは、ウィルス対策ソフトで
 ちゃんと自衛しているんだけど?」

はい、わかっておりますとも!
ところが今回ご説明するケースは、巧妙なのです。


あなたのパソコンが
ウィルスに侵されていなくても、
起こりうる被害です!

あなたのパソコンが実際にウィルスに
感染していないにもかかわらず、
「自分の出していないメールがエラーで返ってくる」
ことや、
「あなたが誰かにウィルスを送ったことになっている」
ことは、起りえます。

原因はひとことで言うと、

「ウィルスは送り主を偽る」

からなのです。

“誰か”のパソコンが感染したとします。
たいていのウィルスは、感染したパソコン上で
自分(ウィルス)のコピーを作って、
勝手にあちこちへメールを送ってしまいます。
(つまり自己増殖する機能を持っています。)

同時に、ほとんどの場合、
送り主(メールにあるFromの欄)と
宛て先(メールにあるToの欄)に、
適当に選び出したアドレスをくっつけています。

アドレスは、感染したパソコンのアドレス帳から
選び出されることもあれば、
アルファベットなどをランダムに組みあわせた、
あてずっぽうのメールアドレスのこともあります。

この送り主(From)にあなたのアドレスが書いてあると、
どうなるでしょうか。

宛て先(To欄に書かれた相手)の人には、
 「○○さん(あなた)からウィルスが来た!」と
 誤解されてしまう。


まずは、受け取った人のパソコンが、
ウィルス対策をしていることを祈るばかりです!

もっとも近ごろは、たいていのプロバイダの
メールサーバーにはウィルス対策が施されていますから、
感染が広がることは少なくなっています。

宛て先(To欄に書かれた相手)が
 存在しない場合は、
 あなたにエラーメールが戻ってくる。


この場合は、“あなた”からあなたに、
エラーメールとしてウィルスメールが届きます!
その添付ファイルを開いたり、実行したりしたら、
あなたのパソコンがウィルスに感染してしまいます。

このときも届く前にプロバイダ側で
ウィルスを処理してあれば、感染は免れます。
でも、絶対に大丈夫ということはありませんから、
身に覚えのないメールの添付ファイルは
決して開いたりしないで、
メールごと削除してくださいね。

プロバイダからの“警告メール”が
 宛て先(To)やあなた(From)に届く


ほとんどのプロバイダのメールサーバーは、
ウィルスメールを受け取ると、
宛て先(To)に
「○○さん(From欄のあなた)から
 ウィルスメールが届いたので、
 ウィルスを削除しました。」
などという通知をする設定になっています。

また、警告メールとして、
「○○さん宛てのメールにウィルスがありました」と
送り主に通知することがあります。

これがその例です。
postman@1101.comは、ほぼ日のメインアドレスです。


この警告メールや通知メールが届くのは、
ほんとうにウィルスメールを送った
パソコンではなく、メールのFrom欄に書かれた先
つまりこの場合、“あなた”です。


下はこの流れをごく簡単にイラスト化したものです。
※実際には、メールはたくさんのサーバーを経由します。

(クリックすると大きな画面で見られます。)


濡れ衣をかぶるおそれは、
あなたにも、
他の人にもあります。

以上のようにして、あなたのまったく知らないところで
送られたメールが、エラーメールや警告メールとなって
あなたも他の人も悩ますことになります。

もしだれかから、「ウィルスに感染していませんか?」
などの問い合わせがあったら、
自分のパソコンがセキュリティを管理していることを
説明しましょう。

また反対に、誰かからウィルスメールが届いたり
プロバイダから警告の通知を受け取っても、
相手に対して何も聞かずに
怒ったりしないようにしてくださいね。

濡れ衣を着せられるのもいやですが、
誰かに着せてしまうこともないように、
気をつけたいところです。

じつは「ほぼ日」にも、
毎日たくさんのエラーメールや
ウィルス警告メールが届きます。

つまり「ほぼ日」のメールアドレスをかたって、
ウィルスメールが送られているようなのです。

これらのメールは、
宛て先も勝手に選ばれています。
こういった現象についてまだご存じない方には、
「ほぼ日」からウィルスメールが来たと、
お問い合わせをいただくこともあります。

もちろん「ほぼ日」では、
ウィルスを送信してしまわないよう、
システムを厳重に管理しています。
もしもエラーメールや警告メールが、
postman@1101.comなどの
「ほぼ日」のメールアドレスから
あなたのところに届いたとしても、
まずは「ほぼ日」から送られたとは
考えられないのです‥‥。



大切なことは、
各個人が日々対策することです。

ウィルスメールに対して
100パーセント完璧な対処法は
まだどこにもないというのが現実です。
わたしたちにできるのは、
パソコンにウィルス対策ソフトを
インストールし、
必ず最新の状態に保つこと。


それが、インターネットをよりよく使うために
最低限気をつることです。
単純に考えれば、対策はこれだけでよいのです。
(ウィルス対策ソフトについては
 第一回で紹介しましたので、見てみてくださいね!)


さらにウィルスにまつわる面倒を避けるために、
知っておいていただきたいことがあります。
これは、まずはあなたがウィルスに感染しないための
注意点です。

エラーメールを装ったウィルスメールがあります。
巧妙になってきたウィルスメールは、
件名を「failure notice」、
「Error Mail」などとして
エラーメールを装っていることがあります。

ウィルスを警告するウィルスメールがあります。
「『*****』という件名のメールに注意!
 詳しくは添付の書類を見てください。」
という内容で、実はこれこそがウィルスメール、
という悪質なものがあります。

携帯電話のアドレスからもウィルスメールが来ます。
これまで、携帯電話からパソコンへの、
破壊力のあるウィルスは特に知られていません。
そのため、携帯電話からのメールは安全、
と思われていました。
しかし、送り主の欄は偽装されますから、
携帯のメールアドレスでも安心しないようにしましょう。



ウィルスメールの被害について問題が起こったら、
 以下の機関に相談しましょう


警視庁
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp
/haiteku/haiteku/haiteku44.htm


情報処理推進機構セキュリティセンター
http://www.ipa.go.jp/security/virus/faq/qa_5.html




ご意見・ご感想は、ぜひこちらまで!
postman@1101.com





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表題に「インターネットのワナ。」と書いて、
postman@1101.comに送ろう。

2005-06-22-WED

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