徳光 ただ、糸井さんって、
姿形がよくておしゃれだからさ、
なんとなくそうじゃないふうに
見てしまうんですよ。
しかも、自分で「姿形よく」とは
思ってないと思うんですよ。
でも、小憎らしいほど、姿形もいいわけですよ。
糸井 それはちょっと勉強しておきます(笑)。
徳光 まぁ、努力もされてるんでしょうけど。
だってさ、62でこの頭はないだろう?
一同 (笑)
徳光 その頭は、そうとうおしゃれです。
糸井 これは床屋のせいですよ。
違う床屋に行ってたら
違う頭をしてると思います。
ぼくは、得意な人に
「委ねる」ということが
好きなわけですから。
徳光 ていうかね‥‥その床屋さんが、
糸井さんを好きなんだよね。
糸井 あぁ。
徳光 だから、糸井さんを
よく見せるにはどうしたらいいかを
考えておられる。
そんな味方がいるっていうことはすごいよ、
糸井さん、それは。
糸井 徳光さんも、
うまいこと言いますねぇ(笑)。
徳光 それはすばらしいよ。財産だよ。
糸井 すっかりいま、
天にも昇るような気持ちです。
一同 (笑)
糸井 それは、ぼくが言われて
いちばんうれしいことかもしれません。

自分は特に何ができるわけじゃないけど、
「『よかれ』と思って
 何かをしてくれる人がいますね」
ということがいちばんいい。
その褒められ方、
こんなにうれしいことないです。
徳光 そういう人が周辺にいらっしゃるんだな、って
お話ししていてわかります。
糸井さんもそれを、
気づいてらっしゃるわけですもんね。
糸井 みんながそうしてくれてると思うんですよ。
それは、ユートピアだと思っています。
徳光 そうですよねぇ。
だけど、ユートピアを持ってる人は
そんなに多くはいないんじゃないでしょうか。
今日ね、実はここに来る前に、
谷啓さんのお別れ会の司会を
つとめさせていただきました。
ぼくは、谷さんにとてもお世話になりました。
実は谷さんも、そのユートピアを
持っていた人だったんですよ。
糸井 そうなんですか。
徳光 かなり、糸井さんに近いところが
あったと思います。
谷さんは饒舌ではないし、
シャイな人でした。
糸井 はい、はい。
徳光 谷さんのポツンポツンとおっしゃる
その言葉は、
実に輝きを持っていました。
若いタレントさんたちに伺うと、
谷さんがくれた言葉は、構えた優しさとか、
わざとらしい優しさではなかったそうです。
おそらく、彼が演奏する
トロンボーンのあの音色のようにね。
糸井 そうかぁ。いいですねぇ。
徳光 トロンボーンのテクニシャンは
たくさんいるかもしれませんが、
谷啓さんのあの音色は出せないと聞きます。

ここのスタッフのみなさんも、
つまり、そういうものを、糸井さんに
感じているんでしょう?
たぶんそうだと思うんだよね。
糸井さんが持っている、
わざとらしくない、
つまり、「これが優しさなんだ」とかですね、
「これがかっこよさなんだ」とか
言わない部分に
おそらくみなさん惹かれて、
「かっこいい」と思ったり、
「優しい」と思ったりしている。
そうやって、
ついていってるんじゃないかなとも
思うんですよ。
‥‥違うかな? ねぇ?
一同 (拍手)
糸井 この先、ぼくが結婚式とか
するようなことがあったときには、
徳光さんにいまの話を
もう一回して欲しいです。
徳光 列席者だったらできますけども、
司会者だったらしませんよ、
それは。
一同 (笑)
糸井 あのね、徳光さん、
いまわかったんですが、
言われてうれしいことって、
自分では本当はわかってないんですね。
徳光 そうだと思います。
糸井 「おまえは何を目指してるか、言え」
と言われて、
言うことはできるのかもしれません。
けれども、それは作ったことです。
徳光 うん、うん。そうね。
糸井 「無意識が狙ってること」
は、いつもわかんないんですよ。
徳光さんに、それを何度も言い当てられて‥‥
徳光 いや、ぼくのほうこそ、そうですよ。
一同 (笑)
糸井 もし、お互いにうれしかったとすれば、
今日は会うべくして会ったとしか言えません。
ありえないですよ(笑)。
徳光 ですねぇ。


(つづきます)

前へ 最新のページへ 次へ

2010-12-24-FRI