黄昏 たそがれ 70歳と60歳と58歳が、熱海で。
古くから深い親交のある3人が、 とある番組の収録で熱海に集まりました。 赤瀬川原平、70歳。南伸坊、60歳。糸井重里、58歳。 3人が、ゆっくりと語るテーマは「黄昏」。 窓の向こうに広がる静かな海へ ゆっくりと沈みゆく陽を感じながら。



熱海にて
2007-10-01
伸坊、何歳まで生きたい?
2007-10-08
生き物の気配
2007-10-02
糸井さん、何歳まで生きたい?
2007-10-09
弱いものが生きるために
2007-10-03
赤瀬川さん、何歳まで生きたい?
2007-10-10
ぼくは弱い
2007-10-04
せつなさを味わう
2007-10-11
歳をとってわかってくることは
2007-10-05
黄昏
2007-10-12




糸井 熱海ですね。
赤瀬川さん、最近熱海来たのは?
赤瀬川 最近は、いつかなぁ。
取材とかそういうことになっちゃうけどね。
自分で来たことないねぇ。
糸井 あんまり。
赤瀬川 うん。
糸井さん、ちょっと太った?
糸井 一時期、太ったんですよ。
いまはまだ戻ったほうなんだけど。
一生、痩せてる人間として
生きてるつもりだったけどねぇ。
うん。絶対そう思ってた。
糸井 40代になってから、
はじめてジムに行ったとき、
入会の書類にジムに通う目的みたいなのを
書く欄があったんだけど、
そこに「太りたい」って
書いたのを覚えてるんですよ。
で、そのときにはジムに通っても太らなかった。
そのずっとあとに、知り合いがジムをはじめたので
通いはじめたら、すいすい筋肉がついて。
赤瀬川 あー、そう。
糸井 ぐんぐん太るし、みたいな。
赤瀬川 いまもずっとやってるわけ?
糸井 いや、いまは休んでます。
最近は、なにかというと歩くようにしてるんです。
それで痩せるというほどでもないんだけど、
あんまりひどいことにはならないです。
赤瀬川 体重に困るというところまでは、
いってないわけね。
糸井 困るとまではいかないまでも、
そっちにいきたくないな
という気持ちはありますね。
赤瀬川 ぼくは、いまも太りたいんですよ。
家系の問題なのかな。
みんな痩せてるんですよ。
昔はもっと筋肉がありましたよね。
赤瀬川 そうそうそうそう、落ちちゃった。
子供のときは痩せてたの?
赤瀬川 ふつうだった。
糸井 伸坊は?
オレは、子どものときは痩せてた。
顔はこのままだったけど(笑)。
糸井 マッチ棒状態だ(笑)。
太りだしたのは、仕事しだしてからかな。
赤瀬川 気分が大きいような気がするんですよね。
食べ物の物理的なものもあるけど、
気分が安定すると太るというか。
若いころにね、スキーに行って、
若いっていっても40歳くらいだけど。
夢中になってやると、腹が減るのね。
そうすると少し肉付きがよくなるという。
疲れると食えるようになるわけ。
ああ、なるほど。
糸井 痩せてるときからオレは食ってたなあ。
赤瀬川 胃が丈夫なんだ。
若いころの糸井さんは、
なんかそういう大会に出るような
食べ方してましたよね。
ぐいぐい食ってた。
糸井 ギャル曽根のように(笑)。
赤瀬川 痩せの大食い。
糸井 でも、肉にはならなかったね。
あのとき食べてたものは
どこにいってたんだ(笑)。
赤瀬川 脂っこいものも平気で食べてた?
糸井 脂っこいものは、
逆に歳とってからの方が
好きになりましたね。
赤瀬川 そうか。
糸井 あぶらげとか、昔はよけてたもん。
それがいまじゃ、
「脂身を適度に混ぜたほうがうまいね」
なんて言って。悪いヒヒオヤジみたいに。
赤瀬川 はっはっは。
ヒヒオヤジみたいになったから、太ったのか、
太ったから、ヒヒオヤジみたいになったのか。
糸井 たぶん、先に体じゃないですかね。
赤瀬川 うん。体ですよ。ほんとに。
頭は運転手って感じだよね。
糸井 運転手ね。
(続きます)


2007-10-01-MON