| 糸井 |
じゃあ、「赤鬼」こと、
マニエル監督について、
もう少し具体的な愚痴をどうぞ。
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| 田口 |
いや、おもしろい人なんですけどね。
おもしろい人なんですけど、
ほんと、野球に関してはね‥‥‥‥
あの、年間で、
ヒットエンドランが６回ですよ？
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| 糸井 |
‥‥６回。
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| 田口 |
６回です。
まったく動かない監督なんです。
年間にヒットエンドランの
サイン出したのが６回。
で、そのうち３回が失敗です。
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| 糸井 |
（笑）
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| 田口 |
サインミスです。
ランナーが走らないか、
バッターが打たないか、どっちかです。
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| 糸井 |
選手もサインが出ると思ってないんだな（笑）。
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| 田口 |
だから、サインは、まず盗まれない。
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| 糸井 |
ははははは、おもしろい。
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| 田口 |
そういう意味ではすばらしい作戦ですよね。
６回のうち３回失敗してたら、
サイン盗もうと思っても、
「あれ？ 違うわ」ってなりますから。
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| 糸井 |
はーーー。
つまり、最初に田口選手が言った
「ぜんぜん動かない監督」というのは、
つかう選手を固定するという意味だけではなくて。
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| 田口 |
はい。作戦的にも動かないんです。
スクイズは、年間で１回です。
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| 糸井 |
１回！
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| 田口 |
１回です。
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| 糸井 |
逆にいうと、よく１回やりましたね。
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| 田口 |
あ、まさにそうなんです。
１回だけやったあのスクイズは、
明らかに頭になかったスクイズでした。
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| 糸井 |
え（笑）？
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| 田口 |
９月に入って１回だけスクイズしたんです。
で、その場面というのは、
スクイズのサインを出す直前に、
相手のピッチャーがスクイズを警戒して、
１球、はずしたんですよ。
それを見て、思いついたんです。
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| 糸井 |
（笑）
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| 田口 |
「おお、そんな作戦があったか！」と。
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| 糸井 |
「なるほど！」と。
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| 田口 |
「スクイズか！」と。
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| 糸井 |
ヤブヘビですね、相手からすると。
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| 田口 |
ヤブヘビです、完全に。
ちょうどそのときは、途中から移籍してきた
井口くんといっしょにベンチ裏で
準備しながら見てたんで、
「絶対、あれ、前の１球で思いついたで！」
って、ふたりで爆笑してたんですけど。
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| 糸井 |
あの、ぼくは、
嫌いじゃないですよ、その監督（笑）。
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| 田口 |
あと、盗塁のサインないんですね、あのチーム。
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| 糸井 |
‥‥え？
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| 田口 |
全員、フリーなんですよ。
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| 糸井 |
盗塁のサイン自体がない？
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| 田口 |
いちおうあるんですけど、つかわないんです。
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| 糸井 |
つまり、選手の自由意思で走ると。
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| 田口 |
はい。
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| 糸井 |
行けると思ったら走る、ってことですか。
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| 田口 |
そうですね。ぼくなんかは、塁に出ると、
まず１塁ベースコーチャーに
相手投手のタイムの確認をするんです。
ピッチャーが投球動作をはじめてから
ボールがホームベースに届くまで、
だいたい1.3秒とか1.4秒とかかかるんですけど、
そのタイムが遅いほど、
盗塁が成功しやすいですから、
まず、それを確認する。
で、あとは１球ずつコーチの表情を見て、
「行っていいぞ」って顔してたら走る。
「アカン」って顔してたらストップです。
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| 糸井 |
おもしろい（笑）。
それ、チームの盗塁の数はどうなるんですか？
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| 田口 |
盗塁の数はメチャクチャ多いんですよ。
たぶん、リーグで一番多かったです、盗塁数。
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| 糸井 |
うーん、ぼくはその野球、好きだなあ。
なんか、話を聞いてると、
どんどん赤鬼派になっていっちゃう。
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| 田口 |
おもしろいは、おもしろいんですよ。
エンドランのサインは６回だけでしたけど、
勝手に走って、勝手に打つから、
勝手にヒットエンドランになりますから。
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| 糸井 |
いいなぁ（笑）。
ますます、赤鬼に賛成ですね、ぼくは。
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| 田口 |
いや、でもねぇ‥‥。
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| 糸井 |
たしか、シーズン中に書かれていたブログで、
前のカージナルスのトニー・ラルーサ監督とは
まったく逆の監督だという
言い方をなさってましたね。
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| 田口 |
正反対ですね。
ですから、ぼく、
１回遠征でセントルイスに行ったとき、
トニー・ラルーサに会って
「あれは野球じゃない」って言いましたから。
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| 糸井 |
ところがそのチームが
ワールドチャンピオンになっちゃったんだから、
田口さんとしては、ある意味、
キツネにつままれたような１年ですね。
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| 田口 |
そうなんです（笑）。
（つづきます） |
