出会いは、飯島奈美さんが「ほぼ日」の
キッチンでつくってくれた鶏の唐揚げでした。
そりゃあもう、とんでもなくおいしかったのです。
でも『LIFE』で紹介した味とは、ちょっとちがう。
(というか、かなり、ちがいました。)
それは鶏むねを使った唐揚げで、
サクッとしたごく薄い衣は黄金色。
アツアツのまま口に入れると、
なんともいえない香りが立ちました。
噛むと、じゅうっとしみ出る肉汁には、
あっさりした塩気とほのかな酸味が
鶏の旨味とともにしっかり感じられ、
ごはんのおかずにも、お酒のつまみにも、
ちょっとしたおやつにもよさそうな満足感がありました。
まさしく、いくらでも食べられちゃいそうな味! 
「これ、いったい、どうやってつくったんですか?」
とたずねたところ、飯島さんの答えは「うめ酢」でした。
これは、もともと梅干し好きの飯島さんが、
和歌山で出会った調味料。
縁あって、由緒ただしい老舗の梅農園さんと知りあい、
製品化が実現したのは、2016年のことでした。
以来、飯島奈美さんプロデュースの
「紀州の、うめ酢」は、
「ほぼ日」の隠れたロングセラーとなっています。
唐揚げのように下味に使うもよし、
かけるもよし、つけるもよし、まぜるもよし。
べんりな調味料として、お使いくださいね。

飯島奈美さんインタビュー梅酢は、塩やしょうゆの
かわりになる、
ヘルシーな調味料です。

「うめ酢ってすごいな」と強く思ったのは、
雑誌の取材で和歌山を訪ねたのがきっかけでした。

おいしいプチトマトの生産者の方が、
「うめ酢の鶏唐揚げ」をご馳走してくださって、
そのおいしさに驚いたんです。
食材になじんで、ほどよい酸味があって、
けれども「つん」とすることなく、
やさしい塩味をもっていて──。
ほかの調味料やスパイスを使わなくても、
こんなにおいしくなるんだ、
うめ酢ってこんなにすばらしい調味料だったんだ、
ということを再認識しました。

うめ酢というのは、梅干しをつくるとき、
自然に出てくる果汁に、塩が溶け込んだものです。
もともとは、うめ酢をつくるために梅を漬けていたそうで
──イワシから「しょっつる」、イカから「いしり」を
つくるようなものかもしれませんね──、
つまりは梅干しのほうが、副産物。
それがいつの間にか逆転してしまったのだそうです。

以前、薬膳の学校に通ったときに、
梅には多くの効能があることを知りました。
みなさんも実感があると思いますが、
疲れをとって、血行をよくすると言われています。
食欲がない時にもいいですし、消化にもいい。
食中毒を予防したり、血圧をコントロールしたり‥‥
けれども現代で梅といえば梅干しで、
個性がつよいぶん、苦手なかたもいる食材です。
もともと梅干しが大好きで、
梅の使い方をいろいろ研究してきたつもりでしたが、
いっぽうで、いろいろな料理に使うのは
なかなか難しいなぁ、と感じていました。

けれども、うめ酢だったら!
そう思いました。

「酢」という名前がついていますが、
いわゆる醸造酢とはつくりかたがちがいます。
漬ける最初の段階でできるものを白うめ酢、
その後紫蘇を入れて
赤く染まったものを赤うめ酢と呼び、
赤うめ酢は紫蘇の風味が強く、
食材を赤く染めるのにたいし、
白うめ酢は梅の香りがふんわりとして、
食材の色に影響しません。
わたしが「料理に使いやすい!」と思ったのは、
この白うめ酢のほうでした。

そうして自分でもレシピで使うようになり、
母や友人にもすすめてみたところ、とても好評でした。
うめ酢を使っていることを内緒にして唐揚げをつくり、
「これおいしい‥‥『LIFE』とは違う味ですよね?!
 でも、何を使ったのかわからない!」
という感想をもらったことも。
これなら、梅干しの苦手な人にも大丈夫そうです。
ますます多くの人に知ってほしいという気持ちが
つよくなっていきました。
お仕事をご一緒させていただいた舞台女優さんが、
じつは何年もうめ酢を愛用していたり、
「おいしいうめ酢があったら、ぜひ使ってみたい」
という、料理好きのまわりの人たちの反応をみて
「これは、わたしがつくろう。
 ちゃんと広めなくちゃ」
という気持ちになっていきました。

和歌山の生産者のみなさんが、
ふつうに調味料として使っているうめ酢は、
もちろん製品化されているものもありますし、
和歌山の郊外の「道の駅」などでは
手づくりのものが売られていたりします。
けれども梅干しにくらべて知名度が低く、
一般的には使う人が少ないためか、
あまり広まっていかず、
廃棄されてしまうものも少なくないようです。
それは、もったいない。
今回の販売をきっかけに、
わたしたちが日常で使う塩、しょうゆ、
砂糖、みそに加えて、
うめ酢がキッチンに常備されるようになる、
というのが、いまわたしが
描いている理想のうめ酢のすがたです。

今回販売する「紀州の、うめ酢」は、
天保5年創業の老舗の梅農園である
紀州梅専門店「五代庵」で有名な
「東農園」さんといっしょにつくったものです。
温暖な気候のなか、カルシウムが多く、
日当たりと水はけがよい
斜面の土壌で育った健康な梅を使った、
添加物の入らない、純粋に梅と塩だけの製品です。
塩分濃度は一般的なしょうゆとほぼ同じですから、
塩やしょうゆのかわりに、料理に使ってみてくださいね。

調理のヒントになるように、
レシピブックもつくりました。
『難のがれレシピ』というタイトルは、
ふるいことわざの
「梅はその日の難のがれ」からとりました。
梅は殺菌力があり健康への効果が高いことから
朝、梅を食べれば、その日の災難を避けることができる、
という意味ですが、朝にかぎらず、
お昼に、お弁当に、夕飯に、お夜食に、
またドリンク類はいつでも活用していただけるレシピです。

2016-06-15-WED

トマトとモッツァレラ

材料 2~3人分

  • トマト

    1個

  • モッツァレラ

    1個

  • 大葉

    3~4枚

  • 梅酢

    小さじ1~1と1/2

  • オリーブオイル

    大さじ1~2

  1. トマト、モッツァレラは食べやすい大きさに切る。

  2. 器にトマト、モッツァレラ、
    大葉をちぎりながら盛り付ける。

  3. 全体に梅酢、オリーブオイルをまわしかける。
    お好みでこしょうをかけても。

あとひくうめ酢から揚げ

材料 4人分

  • 鶏もも肉

    2枚(500g)

  • 1個

  • 米粉(又は片栗粉)

    大さじ4~5

  • 揚げ油

    適宜

  • 梅酢

    80cc

  • 40cc

  1. 鶏肉を調理する15~20分前に冷蔵庫から出しておく。
    鶏肉は余分な脂や筋をとり除き、一口大に切る。

  2. ポリ袋に鶏肉とAを入れ、
    空気を抜いて口をしばり、5分ひたす。
    5分たったらざるにあげて水分を切る。
    (ひたしすぎると、しょっぱくなります)

  3. 2の肉をボウルに入れ、溶き卵を加えて混ぜ、
    米粉(又は片栗粉)を加えて混ぜる。

  4. 揚げ油を165℃位に熱し、鶏肉の半分の分量を入れて
    2~2分半程揚げてバットに取り出す。5分休ませる。
    残り半分も同様に揚げて休ませる。
    (鶏肉の大きさで揚げ時間を変えてください)

  5. 揚げ油を170~175℃位に熱し、4の先に揚げた鶏肉を
    1~1分半程(鶏肉の大きさによる)再び揚げて
    ペーパータオルを敷いたバットに取り出し、
    しっかり油を切る。残り半分も同様に二度揚げする。

毎日食べたい、ささみのうめ酢焼き

材料 2~3人分

  • ささみ

    6本

  • サラダ油

    少々

  • 梅酢

    大さじ4

  • 大さじ2

  1. ささみを調理する10分前に冷蔵庫から出しておく。
    ささみをポリ袋に入れ、Aを加え
    空気を抜いて口を閉じ、5分ひたす。

  2. フライパンを弱めの中火で熱し、サラダ油を薄くひく。
    水分を切ったささみをならべて2分半程焼き、
    いい焼き色がついたらひっくり返し、
    さらに1分~1分半焼き、皿にとりだす。

    *余熱で火を通すのが理想。梅肉やわさびを添えても。

うめ酢スーラーうどん

材料 2人分

  • 茹でうどん

    2人分

  • 豚肉スライス

    60g

  • しいたけ

    2枚

  • 絹ごし豆腐

    1/3丁

  • ニラ

    1/3束

  • 2~3個

  • 白すりごま

    大さじ2

  • ラー油

    適宜

  • ごま油

    適宜

  • 800cc

  • 鶏がらスープの素(顆粒)

    大さじ1~2

  • 梅酢

    大さじ2

  • 片栗粉

    大さじ1

  • 大さじ2

  1. 豚肉は2cmに切り、しいたけは薄くスライス、
    豆腐は細切り、ニラは5cmに切る。
    卵はボウルに溶いておく。

  2. 鍋にAを入れて火にかけ、
    豚肉、しいたけ、豆腐を入れ、
    沸騰したらアクをとり、うどんを入れる。
    再び沸騰したら、Bを入れて混ぜ、とろみがついたら
    ニラを加えてひと混ぜし、卵をまわし入れる。

  3. 器に入れ、ラー油、ごま油、白すりごまを加える。

うめじゃこおにぎり

材料 2~3人分

  • 2合

  • 梅酢

    適宜

  • ちりめんじゃこ

    50g

  • 白いりごま

    小さじ1

  • 梅干し(粗くたたく)

    大さじ1

  • 大さじ1

  • 梅酢

    小さじ1

  1. 米を研ぎ、20分水につけて、ざるにあげる。

  2. 炊飯器に米と水を入れて炊飯し、炊けたらほぐしておく。

  3. ちりめんじゃこをざるに入れ、熱湯をまわしかける。

  4. 鍋に3を入れ、Aを加え、弱火にかけ、
    混ぜながら炒る。水分がとんだら火を止めて、
    白いりごまを加えて混ぜる。

  5. 4をご飯に適量混ぜて、手に梅酢をつけて、
    少し強めに1~2回にぎり、
    あとは形を整えるように軽くにぎる。

    *じゃこを混ぜずに、うめ酢むすびも!
    手にたっぷり梅酢をつけておにぎりをにぎる。

はちみつうめ酢ドリンク

汗をかく暑い日にぴったりのうめ酢ドリンク。
さっぱりしていて飲みやすいですよ。
はちみつ:うめ酢を2:1で合わせておくと
いつでも簡単につくれます。

材料 1杯分

  • はちみつ

    小さじ2

  • 梅酢

    小さじ1

  • 氷、炭酸水

    適量

  • 大きめのコップに、はちみつとうめ酢加え混ぜます。
    氷を入れて、炭酸水をお好みの量入れて
    混ぜればできあがりです。

うめ酢で食べる牛たたき

味つけは、うめ酢だけ!
それでもこんなにおいしくなるのです。
薬味は、大葉、しょうが、ホースラディッシュ、
だいこんおろしなど、お好きなものをどうぞ。

材料 2人分

  • 牛もも肉

    200g

  • 薬味(みょうが、細ねぎなど)

    お好みで

  • うめ酢

    大さじ2

  • 大さじ1

  1. 牛もも肉にうめ酢(分量外)をぬり、フライパンに薄く油をひき、中火で3~4分焼きます。

  2. ポリ袋に(A)と1の肉を入れ、空気を抜いて口をしばり、30分浸します。

  3. 牛を薄切りにし、皿にならべて漬け汁を少々回しかけて、お好みの薬味を添えてどうぞ。

トマトそうめん

トマトのうまみとのかけ算。さっぱりしていて、
いくらでも食べられそうなそうめんつゆのレシピです。
うんと冷たくしてどうぞ。
ミョウガやセロリ、シソ、のりなど、薬味をのせても。

材料 2人分

  • そうめん

    3束

  • トマト

    大1コ

  • 100cc

  • 梅干し(たたいた)

    大さじ1/2

  • うめ酢

    大さじ1/2

  • あら塩

    小さじ1/2くらい

  1. トマトをすりおろしてボウルに入れます。

  2. 1に塩以外を入れてよく混ぜ、味をみながら塩を加え、冷やしておきます。

  3. そうめんをゆで、2のトマト梅つゆにつけていただきます。

モッツァレラと桃と
パッションフルーツのうめ酢サラダ

意外な組み合わせですが、とってもおいしいんです。
ぜひ、ためしてみてくださいね。

材料 2~3人分

  • モッツァレラチーズ

    1コ

  • 1コ

  • パッションフルーツ

    1コ

  • うめ酢

    小さじ1~1と1/2

  • オリーブオイル

    大さじ1~1と1/2

  1. モッツァレラチーズを食べやすく切って器に盛り、うめ酢をまんべんなくかけます。

  2. 桃を食べやすく切ってモッツァレラチーズの間にきれいに盛り付け、全体にオリーブオイルをかけます。

  3. 仕上げにパッションフルーツをかけてできあがりです。

こちらは、以前の「紀州の、うめ酢」のページです。
購入は、Super Life Marketからどうぞ。