うおがし銘茶 × ほぼ日刊イトイ新聞

ほぼ日のにほん茶
「焙じ深茶」と「玄米深茶」
12月4日(木)午前11時発売

~焙じ茶ができるまで~
 

2014年11月初旬、静岡県島田市。
「ほぼ日のにほん茶」チームは
うおがし銘茶さんの工場を訪ねました。



以前、新茶摘みにうかがったとき
まぶしい新緑が印象的だった茶畑も、
緑がすっかり濃くなっていました。

この日、工場でつくられているのは
今回販売するものとは別の焙じ茶です。
行程は同じとのことで、見学させていただきました。


▲工場全体に香ばしいにおいがたちこめています。


▲最初の火入れを担当する村松さん。

村松 まず、こちらの機械をご覧ください。
茶葉を大きさごとに分けています。

▲茶葉の大きさを選別しています。
ーー なぜ、わざわざ大きさを分けるんでしょう?
村松 すべての茶葉を同じような状態にすることで
焙煎がうまくいくんです。
大きさがバラバラだと、火入れをするときに
ムラが出てしまいますから。
つまり、焙煎前の「下ごしらえ」みたいなものですね。

次に、大きさごとに分けた茶葉を、
火入れ機にかけます。
村松 茶葉は水分が5%くらいあるのですが、
1%の水分を残した状態まで火入れを行います。
一度目は100度の熱風で乾燥させ、
二度目は120度で火入れを行います。

▲火入れを見守ります。

▲中はこんな感じ! 直火にかけたお茶が香ばしいにおいを放っています。
ーー ここではどんなことに
気をつけているのですか?
村松 常に同条件のもと、安定した原料を
焙じ工程に送ることが大切なんです。
焦げないようにギリギリのラインを
見極めるのが難しいですね。

充分に乾燥と火入れができたら、
いよいよ仕上げの焙じ行程です。
ここの担当は大石さんです。

▲乾燥した茶葉を焙煎機に入れる大石さん。

▲火にかけます。

▲出てきました! これが、できたての焙じ茶です。

▲完成したお茶は、香りが逃げないよう、すぐに袋に詰めます。
ーー (焙じ茶を入れた木箱をみて)
あれ? この箱に「砂焙」と書いてありますが‥‥。
大石 あ、そうなんです。
ここでは砂を使って炒っているんです。
ーー 砂?!
大石 はい。
最初に熱した砂で茶葉に熱を通すことで、
茶葉を焦げ付かせることなく
ふっくらと炒ることができるんです。

▲これが用いる砂。セラミックの粒子だそう。
ーー こういうやり方って、
他の工場でもされているんですか?
大石 いえ、この方法は
人がつきっきりで見ていないといけないんです。
機械自体もあまり残っていないでしょうし、
かなりめずらしいと思います。
ここで、大石さんは
できあがったばかりのお茶をお皿にすくい取って
みせてくださいました。
大石 仕上がってくるお茶の焙じ具合が同じになるように、
最初に1つ見本を置いて、
その色に合わせるようにつくっているんです。
ーー 目で見て仕上がりを判断されているんですか?
大石 はい、でもほとんどの場合、
色よりも、出てきた瞬間の香りで、わかります。
茶葉を入れる量と火の強さによって
仕上がりが変わってきますので、
香りをたしかめながら調整しているんです。

▲香りをたしかめる大石さん。長年の経験が判断基準となります。
ここで、工場長と副工場長さんが
説明をしてくださいました。

▲左が副工場長の増田さん、中央が工場長の鈴木さん。
副工場長 うちは、機械まかせではなく、
人の経験や勘でお茶をつくる、
というやりかたをとっているものですから、
大量生産はできません。
しかし、そもそも私達が農家さんから
工場を譲り受けたのも、
大量生産では出せない
おいしさを引き出したい、という
強い思いからなんです。
ーー 大量生産ではできない、おいしいお茶を。
工場長 ええ。
うおがし銘茶の焙じ茶を作りつづけてきた
昔ながらの機械を譲っていただいたんです。
人の手間がかかるんですけど、
その技術もしっかり引き継ぎたいと思いまして。
でも、なかなか大変ですよ。
仕上がったものを社長や仕入部に
確認してもらうのですが、
何度もやり直しになって、
そのたびにつくり直します。
でも、おいしいお茶をつくるためなら
そんな努力も苦になりません。
副工場長 ちなみに、今回ほぼ日さんで販売していただく
「ぽっかり」の焙じ茶は、
茎の部分のみを炒っているんですよ。
「茎焙じ」というんですけど‥‥。
ーー 茎焙じ。
大石 ええ。この部分です。

▲栄養がつまった「茎」の部分は、すっきりとしたおいしさが特長なのだそう。

▲こちらが、「ぽっかり」の焙じ茶です。
 茎がふくらんで、特徴的な見た目をしています。
 画像では香りがお届けできないのが残念なほど、いい香り!
うおがし銘茶さんがつくってくださった、
とっておきの香ばしい焙じ茶、
ぜひ味わってみてくださいね。
2014-12-02-TUE
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