HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN
素材とお手入れについて ほぼ日のくびまき

リネンとコットン Linen & Cotton  たて糸に、ベルギー産のリネン、 よこ糸には、米国産のコットン。 リネンは、ちくちくしないように、 最初からやわらかく、毛羽だちをふせぐ加工を。 コットンは、細く紡いで、かるく、しなやかに。 そんなふたつの糸で織ったくびまきは、 肌にふれるたときひんやりと、 しかも、やわらかな風合いに仕上がりました。

たて糸に直径の太いリネン(麻)、
よこ糸に細目のコットンを使った、
「ほぼ日のくびまき リネンとコットン」。
割合でいうと「リネン70% コットン30%」
という比率で織られています。

この「リネンとコットン」は、
肌にふれると、ひんやりとした感覚があります。
コットンだけの織物にふれたときよりも、
温度が低く感じられるのです。
これには、リネンの特性が関係しています。

じつは、リネンは、コットンに比べて
「熱伝導率」が高いという特性があります。
熱伝導率というのは、
物質ごとに熱の伝わりかたを数値化したもので、
室温でその物質に手をふれたとき、
熱伝導率が高いほど、つめたく感じます。
たとえば部屋にあるもので考えてみると、
空気<発泡スチロール<ウール<木材<シリコン<
水<ガラス<ステンレス<鉄 
となります。
このなかでは鉄がいちばん熱伝導率が高く、
ふれた肌から吸熱するため、
「ひんやり」と感じるわけです。

織物を比べてみると、
ウール<コットン<リネン、となります。
肌にふれたとき、あたたかいのがウール、
ひんやりと感じるのがリネンというわけです。

夏のシーツにリネンを使うと、
横になったときにひんやりと感じられますし、
パジャマもコットンよりもリネンのほうが
夏向きといわれる理由は、
そんな特性ゆえ、なのでした。

 
リネンの「シャリ感」のひみつ。

繊維には「伸び率」があります。
たとえばコットンが伸び率
3〜7パーセントであるのに対し、
リネンは1.5〜2.3パーセント。
つまり「伸びづらい」素材です。
伸びるほうが、肌に添いやすい素材ですから、
そうではないリネンは、
強(こわ)い糸、硬い糸だといわれます。
これが、リネン特有の
「シャリ感」のひみつでもあるのですけれど、
これが行き過ぎると、
肌ざわりに、硬さを感じてしまう原因になります。

今回のくびまきで、
たて糸をリネン、よこ糸をコットンにしたのは、
そんな理由から。
リネンの欠点と言われがちなかたさを、
よこ糸の綿でおぎない、
首に添う時のシャリ感とやわらかさを両立しました。
全体としては、風合いは70%のリネンが受け持ち、
しなやかさを綿が担当する、というイメージです。

 
自然なしわ「シボ」がうまれたわけ。
よこ糸のコットンには、「強撚」といい、
つよめの縒りが入っています。
このことで、生地ぜんたいに「シボ」と呼ばれる
こまかなたてじわが、はいります。
縒ったコットンの糸が戻ろうとする力で、
幅方向を縮めようとします。
その結果、シワになって、凹凸感が出るのです。
この凹凸感が、夏に使う時、
ペタッと、ぴったりと、首や肌に添わず、
すずしく感じるというわけです。
そのとき、肌にふれるのは、7割以上がリネン。
太いリネンのたて糸の間に
細いコットンが埋まっているかたちになりますから、
混紡率の70%よりもずっと、
リネンの風合いを感じていただけることでしょう。
もちろん、くしゅくしゅっとまるめて
持ち歩くのにも便利です。
 
さいしょから、やわらかい。

リネンには本来、表面にペクチンという、
ゴムみたいに糸と糸をくっつけ、
光沢を生む理由にもなっている物質がふくまれています。
これは、洗うと落ちてゆくのですが、
そのとき、いっしょに、リネンのこまかな繊維も
はがれおちてゆきます。
リネン製品が、洗濯を重ねていくと
やわらかくなっていくというのは、
そんな理由にもよるのです。
このくびまきのリネンは、
あらかじめペクチンを落とす加工をしていますから、
さいしょから、あるていどのやわらかさがあります。
また、洗濯したとにはがれおちる繊維も
一般的な麻製品にくらべ、すくなくなっています。

ちなみに、ペクチンは、染料をはじく性質もあるので、
麻の素材は濃い色に染めたときに
むらがでることがあり、
それが味わいでもあるのですが、
このくびまきのリネンは、
最初からペクチンを減らしたこともあり、
麻にはめずらしいような、
濃い色の均一な染めが可能となりました。




スーピマコットン Supeme Pima Cotton  綿のなかでも最高級ランクのスーピマコットンに、 細胞のひとつひとつにハリをもたせ、ふっくらさせる 「LA加工」をほどこしています。 よこ糸には、つよめの縒りをかけたことで、 弾力とともに、自然なしわがうまれました。 くしゅくしゅっと丸めても、 そのままかばんに入れて持ち歩いても大丈夫。 しわを気にせず、お使いいただけますよ。

【スーピマコットン100%。】

「スーピマコットン」の素材は、
「やさしいタオル」のパイルと同じ、
スーピマコットンを100%使っています。
スーピマコットンは、世界のコットンの生産量の
0.5%にも満たない、貴重な綿。
アメリカ産の“超長繊維綿”のなかでも
最高級の品質を誇るピマコットンから、
さらに厳選された品質の素材です。
しなやかでやわらかく、吸湿・吸水性に優れていて、
なめらかで上品な光沢があり、
けば立つことが少ないという特長が、
このくびまきには存分に活かされています。

 
糸をふっくらさせる、LA加工。

「スーピマコットン」でつかっている糸には、
特別な「LA加工」(リキッドアンモニア加工)を
ほどこしています。
この加工は、繊維の細胞璧の形状を記憶させ、
細胞レベルでハリをもたせ、
糸をふっくらさせるというもの。

<LA加工あり>
▲断面
▲側面
<LA加工なし>
▲断面
▲側面

ふつう、繊維は、水分を吸収するとふくらみ、
乾燥するとペシャッと潰れます。
これをくりかえすと、綿製品からふんわりした感触が
失われて、型くずれを起こしていくことになります。
LA加工がほどこされると、繊維はふっくらと立ち上がり、
繊維自体がシワの少ない、ツルツル、すべすべとした
「ハリとコシ」のある素材に仕上がります。
そして、乾いているときも、濡れているときも、
コットンが植物として生きていたときのように
繊維のぷっくりとした状態を保ち、
細胞ひとつひとつがハリをもったままとなるため、
糸自体もつややかで滑らかな状態を
長く保つことができるようになります。
(この特長は、洗濯・乾燥をくりかえしても
 損なわれにくいので、
 安心して洗濯していただけます。)

 
自然なしわが生まれたわけ。

さらに、このくびまきには、自然なしわがあります。
そして、くしゅくしゅっと丸めても大丈夫な
弾力性をかねそなえています。
そのひみつが、よこ糸にだけほどこした
強めの、縒り加工。
糸の縒りが、もとに戻ろうとする力が、
たて糸にかかるので、
布全体に、たて方向の、自然なしわが生まれるのです。
その凸凹のぶん、肌に当たる面積が少なくなり、
接触圧が減ることで、
くびに巻いたときに
軽さと涼しさがうまれるのです。

吸湿・吸湿性の高さで、
汗をかいても自然に吸いとってくれ、
そして、凹凸があることで、
肌にはぺとっとはりつきにくい。
暑さのきびしい日にも、
日よけと汗とりをかねて、
ぜひつかってみていただきたいくびまきです。



「大きさと重さ」

「リネンとコットン」は
しわをのばした状態で
フリンジも含めた長さをはかった場合、
タテ180cm×ヨコ60cmです。

「スーピマコットン」はしわをのばした状態で、
フリンジも含めた長さをはかった場合、
タテ175cm×ヨコ60cmです。

重さは「コットン」が120g、「リネンとコットン」が158g。
丈夫な生地ですが、薄いため、
長い時間巻いていても、
肩が凝ったりなどしにくい重さです。
カバンの中に入れて携帯するにも、便利ですよ。



「お洗濯について」

「ほぼ日のくびまき」を
できるだけ長く気持ちよくお使いいただくために、
長持ちする洗濯方法をお伝えしますね。
「ほぼ日のくびまき」は、
「リネンとコットン」も「コットン」も
洗濯方法は同じです。
いずれもご家庭用の洗濯機で洗えます。

洗濯のときに、「塩素系漂白剤」
「蛍光増白剤がはいった洗剤」は使えません。

「塩素系漂白剤」、
「蛍光増白剤がはいった洗剤」を使うと、
変色や不自然な色あせをしてしまいます。
洗濯をするときは、粉石けんや中性の液体洗剤など、
「蛍光増白剤がはいっていない洗剤」をお使いください。

洗濯はネットに入れて洗濯機。
手洗いコース(ソフト・ウール洗い)で。

「ほぼ日のくびまき」のデリケートな生地と
フリンジをできるだけ長持ちさせるため、
洗濯はネットに入れて洗濯機の
「手洗いコース(ソフト・ウール洗い)」(※)で
洗ってください。
フリンジがほどけないように、
ネットに入れるときは
フリンジを内側にたたみ、
ネットのなかでくびまきがあばれないように
ぴったり入れてください。
手洗いも可能ですが、
脱水のときに手でしぼるとからみ織りのフチや
フリンジがほつれる可能性があるため、
脱水はネットに入れて洗濯機で。
脱水時間は30 秒ほどです。
※洗濯機によっては「ドライコース」という名称の場合もあります。

干すときはのばして陰干し。
乾燥機はご使用にならないでください。

色落ち、色あせを防止するために、
風通しのよい場所で陰干しをしてください。
乾燥機は、縮みやしわ、
フリンジがほどけるなどの原因になりますので、
ご使用にならないでください。
アイロンは、お好みであててください。

取材協力 大窪“ドクター・コットン”裕美
ほぼ日のくびまきトップへ
 

ツイートする
感想をおくる
「ほぼ日」ホームへ
(c)HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN
モデル:KIKI、山本忠臣 人物写真等:馬場晶子 商品写真:大江弘之
スタイリング:井伊百合子 ヘアメイク:鈴木紀子 協力:gallery yamahon