2007年に「ほぼ日」で
土楽の「ベア1号」の販売がはじまってから、
土楽の福森道歩さんにとって
「土鍋とともに使う、現代の暮らしに合う取碗」は
みずから答えを出したい、
おおきな宿題のひとつでした。

そもそも土楽には、和のくらしに合った、
伝統的なかたちの取碗がいくつもありますが、
それとは別に、「うちの土鍋」シリーズに寄り添うかたちを
あたらしくつくりたい、と思っていたのです。

「大きな具材がごろごろ入って、
しかも、うつくしく盛りつけができるうつわが、
いまの暮らしにおいて、
和洋問わず必要じゃないのかな」

道歩さんは、「土鍋でつくる料理」は、
その土鍋のなかでどううつくしく仕上げるか、
ということとともに、
おのおのの皿に盛ったときにも
おいしそうに見えることが、
とても大事だと考えています。

「料理をするところまではきれいにできても、
盛り付けをおろそかにすると、
今までの苦労が水の泡になっちゃいますよね。
だから、取碗に、まるで一品料理のように盛れたら
とてもうれしいと思うんです」

今回、紹介するうつわは、
そんな道歩さんが出した答えです。
深めで、おつゆもたっぷり入り、
あつあつを手に取っていただくための「取碗」と、
浅めで、卓上に置いて使うことが前提の
「平取碗」と「鎬(しのぎ)平取碗」。
いずれも、料理を盛ったときに、
すっきりきれいに見えるうつわです。

あたらしいのうつわの使い勝手を、
道歩さんと、お父さんの雅武さん、
姉の柏木円さんといっしょに高知に出かけ、
「テーブルギャラリー」さんの台所をお借りして
地元の食材で料理をつくり、ためしてみました。

あたらしい「取碗」「平取碗」「鎬平取碗」のようす、
どうぞごらんください。

うつわ

取碗 アメ釉

直径
15.5cm
高さ
5cm
満水容量
約400cc
重さ
約250g
販売価格
3,240円(税込)

取碗 灰釉

直径
15.5cm
高さ
5cm
満水容量
約400cc
重さ
約250g
販売価格
3,240円(税込)

中の「みこみ」を深くすることで、
料理がまんなかにあつまるようなかたちです。
大きな具材をのせたときでも、
ぎゅっとまんなかにまとまることで、
うつくしい盛りつけができます。
しっかりおつゆがあり、具材とおつゆを
熱いまま口に運ぶような種類の鍋には、
この取碗をお使いいただけたらと思います。
手に持つことを想定していますので、
高台がやや高めになっています。
「大きさは、他のお皿を邪魔しないサイズを考えました。
食卓には土鍋があって、
豆皿を置いたりおそうざいのどんぶりがあったり、
そしてご飯茶碗、グラス、湯呑みなどがありますよね。
そういう中に入って、でしゃばらない大きさです」

道歩さんご自身の小さな手でも、
男性の大きな手でもしっくりなじむように
バランスを考えています。
「碗を手に取って食べる場合は、
高台(底の部分)に左手親指以外の4本の指を添え、
縁に親指を添えて頂く形になりますよね。
この親指と他4本の指で持つ空間に、
あるていど小柄なかたでもきれいに入るように
大きさを決めています」

平取碗 アメ釉

直径
18.5cm
高さ
4.5cm
満水容量
約540cc
重さ
約330g
販売価格
4,320円(税込)

平取碗 灰釉

直径
18.5cm
高さ
4.5cm
満水容量
約540cc
重さ
約330g
販売価格
4,320円(税込)

しのぎ平取碗 アメ釉

直径
18.5cm
高さ
4.5cm
満水容量
約580cc
重さ
約320g
販売価格
5,184円(税込)

しのぎ平取碗 灰釉

直径
18.5cm
高さ
4.5cm
満水容量
約580cc
重さ
約320g
販売価格
5,184円(税込)

ちょっと浅めにつくられた碗です。
「持って頂くお碗というよりも
テーブルに置いたままで
大きな具材を頂くという事を想定しています」

と道歩さん。
おつゆが少なめの鍋のときにべんりです。
そして具材を食べ終わったあとに、
両手で持ち、おつゆを頂くことを想定して、
高台(うつわの底)は低めにつくられています。

鎬(しのぎ)は、うつわをつくってまだ乾かないうちに
へらで削って縞模様をつくる技法。
とても手間のかかる仕事です。

色ですが、黒い「アメ釉」は土鍋のアメ釉とは
すこしだけ、異なります。
それは道歩さんが、変化にとんだ
「アメ釉」を作ってみようと考え、
従来の土楽のアメ釉ではなく、
自分で新たに作り出した色を使っているからです。
「色の濃淡やムラ感が、うつわの凹凸に変化をもたらして
1枚1枚違った表情が生まれ、そこがいいなと思ってます」

そして「灰釉」は、土楽で以前つくっていた
うつわの色の感じに戻すことを考えました。
すこしだけ茶色がかった、渋めの緑です。

「この『灰釉』の調合がとても難しい仕事でした。
いまは昔と同じ材料が手に入りませんし、
同じところで採れる材料でも、
昔と今とでは採る地層が変わることで、色が変わります。
また、使う粘土との相性もあります。
ずいぶんと試行錯誤をして、
やっと表現できた色なんです」

その3 和食からイタリアンまで。

取碗と平取碗、そして土鍋。
和食のためのもの、と思いがちですが、
イタリアンや中華などにも使えるんです。

雅武さんがなにやらつくっています。
「いつもこうして、気まぐれにつくるんです」

これは何かというと‥‥。

土鍋でゆでておいた「ツガニ」を‥‥。

むき身にして、ゆで青菜と和えたものなんです。

ツガニは、上海蟹の仲間だそうで、
だからでしょうか、ちょっと中国そうざい風に。
紹興酒に合いそうな
「酒のアテ」な一品になりました。

次に道歩さんがつくるのは、土鍋のアクアパッツァ。
魚を一尾、まるごと蒸し煮にするイタリア料理です。

トマトとあさりをたっぷり入れて、火にかけます。

手早い道歩さん、その間にもう1品を仕上げました。
紫の芋を入れた、ポトフです。

「こうした長さのある具材は、
 それぞれを中央に向けて盛りつけます」

おつゆもたっぷり。

ポトフ、完成。

その間に、アクアパッツァにも火が入りました。

こういった料理は、大胆に(かつ繊細に!)、手早く。

主役(魚)を真ん中に、というのが鉄則です。

食材さえあれば、どんどん料理が思いつく、
というのが福森家のひとびと。
円さんもつくります。

葉ニンニクを、お浸しに。

こちらは、酸味の強い白菜漬けを、豚ばら肉といっしょに
スープにしました。中国東北料理ふうですね。
取碗の深さが、スープ料理に向いています。

道歩さんがつくったのは‥‥?

いつのまにスパゲッティを!
「アクアパッツァの残り汁を使ったんですよ」

なるほど! こんなふうにも使えるんですね。
和食器ですが、フォークとの相性もいい。

残った車海老を、キャベツといっしょにさっと炊きました。

灰釉の淡い色と、食材の濃い色がよく合います。

続いて円さんがつくるのは、つみれ汁。

にらをたっぷり入れて仕上げました。

鍋ものを取り分けるときの基本ですが、
まず「お箸で具材を」。
お玉よりも丁寧な仕事ができます。

そして仕上げに、お玉で汁をそっと。

つみれ汁、完成です。
おつゆをいっしょに頂く料理は、この取碗が便利です。

道歩さんの、パクチーたっぷり鍋。
レモンをつかって、「すっぱ辛」に仕上げました。
調味料は、日曜市で買ったパクチーオイルと、辣油です。

具材は鶏だんごです。

さあ、ラストに近づきました。
きわめてシンプルな、湯豆腐。
アメ釉の深い黒が、白い豆腐をひきたてます。

こちらはパクチーだけのサラダです。
フルヤジさんの畑でとれた無農薬のパクチーです。
上に乗っているのは、パクチーの花。
とても香りが強いんですよ。

骨つき鶏もも肉のトマト煮。スペイン風の料理です。

高知の食材ということで「くじら」です。
関西風のはりはり鍋にしました。

そして〆は、うどんです。
土楽でもよく食べている、油揚げとねぎのうどん。

おつゆもいっしょに頂く料理ですから、
深さのある取碗に。

「たっぷり」盛ってもだいじょうぶ。
そう、この取碗と平取碗は
「料理が、さまになる」うつわなんです。

2016-03-18-FRI

福森道歩さんの取碗と平取碗の販売は、
3月18日(金)午前11時より「ほぼ日」でスタート。
手づくりのため、たくさんはできませんが、
完売後も、制作をつづけて、
できたときにできた分を販売します。
どうぞおたのしみに!