インディーズ映画の冒険野郎。
石井聰亙監督の話をふむふむ聴く。
石井聰亙さんプロフィール 今までの作品リストはコチラ


 

ほぼ日 監督、次はどんな冒険を考えてらっしゃるんですか?
石井 今後は、自分が今までひとつづつやってきた実験の、
その集大成として、
「いいとこどり」

していければいいかな。
「今回はこういう要素を多くしていこう」
とか、色々コントロールして。
とにかく、「冒険」を、続けますね。
ほぼ日 何か、もう具体的にあるんですか?
石井 出来るだけ普遍的な共通感覚を元にして、
作っていってもいいんじゃないか、
っていう気もしてますね。
そういう技術が今までは自分になかっただけで、
ハリウッドの映画とかの中でも、
興味深い内容のものも
非常にいっぱいあるし。
アニメとかも、すごいおもしろいなと思いますしね。
ほぼ日 はー、意外ですねー。
ハリウッドものとか、あまりご覧にならなそうなのに。
石井

よくあるような、
あまりにもシンプルな
勧善懲悪テーマというのは、
やっぱり、相容れないんですけどね。
そんなに世界は単純じゃないんじゃないの?
って思いますよねー。
そこでは絶対にウソはつけないけども、
普遍的なストーリーを持って、それを語る、
っていうのはあると思う。
「スターウォーズ」とかも
それをすごく意識してると思うしね。
ジョージ・ルーカスとかにも、
ものすごく感じますよね。
そう、ジョージルーカスっていう
超メジャーな監督と、
まったく性格の違う
デビッド・クローネンバーグっていう
理系のホラーと言うか、
ものすごく不条理な映画を作る名監督は
偶然なんですけど、
なんと2人とも、
レーサーを志してたんですよ!

ほぼ日 え〜〜〜〜〜〜〜〜!
石井 クローネンバーグは今でもやってるのかな?
とにかくレースが好きで。
前に何かでそのことを読んで、
わが意を得たり!って思ったんだけど。
クローネンバーグは
「地球の重力を内臓に感じるからいいんだ」
とか、彼なりの、
わけわかんないことを言ってましたけどね。
ジョージルーカスは、
事故って断念したんですよ。
ほぼ日 すごい!!!
そのお3方の共通点って‥‥。
石井 なんでしょうねー(笑)。
ほぼ日 ジャンルも、国をも越えた何が‥‥。
レーサーっていうのを抜きにして、
その2人の監督に
何か感じることってありますか?
石井 好きなところと、
嫌いなところがありますね。
まあどういう映画監督でもそうだけど。
「いいな!」っていう部分と、
相容れない部分っていうのは、
やっぱり、両方ありますね。
ただ、どちらも非常に優れてる監督だ、
ということは間違いないですよね。
やっぱり、僕が言ってる
「本能」の部分に
触れてる人たち

だと思いますよね。
自分の無意識の心に進入してくるところが。
僕の映画って
自分ではまったくそんなつもりないんだけど、
結果的には観る人を
選んでしまっているんですよね。
ある回路が通じた人には
グサッてくるんだろうけど、
それがない人には
まったくわけがわからない。
そういう感じで、
今まで好き勝手にやってきたから、
今後は万人に共通のストーリーとか
共通の普遍性のあるドラマっていうのに、
いっそう力を入れていきたいなって思いますね。
ほぼ日 !すごい楽しみですね。
石井 そのためには、
脚本の力を、より妥協のないものにしていく、
っていうことが大きいかもしれないですね。
今までは「自分で書く」
ということにこだわってきてたけど、
そういうのは
考えなくていいんじゃないかなって。
もちろん自分が関わることは
重要ですけど、
優秀な人の力を借りるっていうのは、
積極的にどんどんやっていきたいし。
ほぼ日 じゃあ、原作があるものとかでも?
石井 そう、いわゆる「原作もの」は
ずっと探してて、
気に入ったのも何本があるんだけど、
原作者の意向というのもあるし、
原作のどこをどう切るか
っていうことに関しても、
読んだ人ごとに違うから、
結構、難しいものがあるんですよねー。
すごくおもしろいストーリーは高いしね。
ほぼ日 え? お金が、ですか?
石井 そう。
あとは、もう手をつけられてるとかね。
だからやっぱり
1から手をつけられるものがいいです。
『鏡心』をやったことで吹っ切れたから、
もう何でもできる!っていう自信がついて、
デジタルを「ほぼ完」克服した、
到達点近くまでいった、と思えるから、
これはもうやろうと思えばいつでも出来る。
だから、逆に今は、
普遍性のあるドラマや物語を開発していきたい
と思ってるんだけど。
いかんせん、まだこのイベント
(『鏡心』上映イベント)が
7、8月まであるので、
頭を切り替えたいんだけど、
こっちにも半分くらいは
おいておかなきゃならないからね。
今回(『鏡心』)は本当に、特に、
万人に見せようとは、
まったく考えてなかったんですよ。
より深く
違うアプローチで見せたい。
というか。
だから、今までの中で
一番ディープ、なんじゃないですかね。
ディープ‥‥なのかなあ。
うーん。
ほぼ日 ディープですディープです。
  (つづく)

ジョージルーカス、
デヴィットクローネンバーグ、
石井聰亙。
映画監督で、レーサーになりたかった人々かぁ。

さらに、肝心な、作品作りに関してのお話も続きます。
お楽しみに!!!

石井聰亙さんへの激励や感想などは、
表題に「そうごさん」と書いて、

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2005-04-21-THU


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