ついにこれを作るときがきた。
引っ越しが間近にせまり、冷凍庫の中のハチノコ煮を
食べ尽くさなければならない。
長野の伊藤父が捕り、伊藤母(食べない)が
少量の油で炒めたのちに醤油と酒でさっぱり味に調味して
持たせてくれたものだ。

「理佐も吉田さんも好きだから」
ということなのだが、伊藤はともかく私は、
長野の伊藤実家にお邪魔したときに
お酒のつまみとして少量いただく分にはとてもうれしい、
という感じの食べ物であり、ゆえになかなか減らない。

珍味として相当にうまいものだとは思う。
コクがあるというか、豊富な栄養分を感じさせる
濃厚なうまみがある。
「炊き込みご飯も体験してみて」と
伊藤母(食べない)が炊いてくれたものも喜んで食べた。
‥‥いや、喜ぶふりをした。

ご飯との相性はとてもよく、おいしい炊き込みご飯だ。
そのものをつまむより食べやすい気がする。
事実、ハチノコ(ヘボともいう)を食べる地域には、
炊き込みやまぜご飯のレシピが多くあるようだ。

口にはうまい。
だが、目が
「なんかご飯に虫が入ってるんですけど!」
と脳に直訴してくるというか、
そういう衝撃的な食べ物なのだった。

【材料】
・ハチノコ煮
 (幼虫、さなぎ、成虫になりかけが入っている)
・米
・醤油、酒、みりん、かつおだしの素

伊藤の指示でしょうゆ味をしっかりつけて炊いた。
とてもおいしい。
赤子のためにたくさん食べてくれることを願ってやまない。

2010-04-22-THU
もどる