先日自炊がめんどうで弁当を買ったのだが、
その中の煮ものが悲しかった。
スーパーや弁当屋さんの弁当は緊急避難食であって、
おかずに文句をいっても始まらないことは理解しているが、
それにしても
「作る人、うまいと思って作ってないだろ」
という感じがはなはだしい。
揚げものやポテトサラダなどは、
そのジャンクさを愛せる部分もあるのだが、
添えものでしかない煮もののあつかいは、
だいたいにおいてひどい。

その中のまずさの王様が里芋である。
味も香りも素材から遠く、冷凍もののためか食感も悪い。
いままでなんの気なしに食っていたが、これはせつない。
ジオン公国、ギレン・ザビ総帥のことばを借りるなら
「あえていおう、カスであると!」
ということになるか。
このまま秋が過ぎ去ってしまっては、
自分の中の里芋が悲しいままだ。
あせりを感じた。

【材料】
・里芋
・豚肉
・ショウガ

豚もも肉薄切りは切り分け、
醤油、酒、みりん、水、ショウガのしぼり汁で
さっと煮っころがしてひきあげておく。
里芋の皮をむき、下ゆではせずに鍋に入れて、
落としぶたをして煮っころがし、
火が通ったら肉を戻し入れてふたをしてしばらく放置。

買い弁当を食べて、台所なんかに立つ時間を
仕事や余暇にあてるぜ、あてるわ、
という考え方もあるだろうが、
里芋に豚肉の味がしみて、とてもおいしかった。

【お知らせ】
「フロマンガ」第3集が発売になりました。
今回は
「シャンプーに愛想を尽かしたリンスが、
 醤油と駆け落ちをする話」
などが収録されております。
よろしくお願いいたします。

2008-11-06-THU
もどる