絵本『ひとまねこざる』(岩波書店)は、
心に残る一冊だ。
シリーズ何冊かある中で、この一冊が特に思い出深いのは
「うどん」が出てくるからだ。
動物園から逃げ出したサルの「じょーじ」が、
おなかがへって、つい盗み食いをしてしまうのが、
うどん。

もちろんアメリカの絵本であり、
絵的にはスパゲッティであるわけだが、
訳は「うどん」。
日本での初版が1954年、スパゲッティは
まだまだ西洋うどんにすぎなかったのだろう。
今手元にある「たて書き」うどん版は1997年第49刷。
図書館や本屋で見たら、1998年の「横書き」改定版から
「すぱげってぃー」になったようだ。
「すぱげってぃー」になったからといって
絵本の魅力が薄れるわけではないけど、
私の中ではじょーじが「しょくどう」
(横書き版では「れすとらん」)で食べたものは、
永遠にうどんです。

【材料】
・スパゲッティ
・タマネギ
・ベーコン

絵を見ると、ケチャップ色ではない。
麺そのものの色なのか、薄くグレーがかった黄色。
じょーじは体に巻きつけ、幸せそうに食ってるが、
あまりおいしそうではない。
そして、ずんどう鍋に大量に作り置きされており、
明らかに何かメインのつけあわせ。
まかりまちがってもアルデンテということはない。

スパゲッティは時間どおりゆでて、
油をまぶしてしばらくおく。
絵では具の存在は確認できないが、
タマネギとベーコンぐらいは入れさせてください。
ベーコンの油でタマネギを炒め、
お湯を半カップぐらい入れ、塩、コショウ、
コンソメがわりの粉末中華だしで味つけ。
麺を加えひっかきまわし、汁けを吸わせる。
アルデンテの呪縛から解放されているため、
ちょうどかかってきた電話を無視せずにすんだのは、
思わぬ効用か。
ヒトとしてフォークでおとなしく食べたが、
かなりふつうにうまい。
もちろんうどんではなく、スパゲッティなわけだが、
ベーコンと豚骨だしがしみこんだ素朴な麺は、
まさしく「あのうどん」といってもさしつかえないだろう。
ああ、じょーじに食べさせてあげたい。

2008-08-14-THU
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