読みなおす土曜。
2003/06/28
今週の一言

毎週土曜日はレビューの日!
・・・ということで、「ほぼ日」に登場した
あんな言葉やこんな言葉を、ご紹介します。
興味があったら、モトのページも読んでね。

今週は、反響が大きかった、
マジ系のメニューを、長めにふたつご紹介!

【長老の本音を受けとめること】

社会の活性がないときには、
若い人たちのエネルギーが
頼りにできなくなる。
いまのような時代に、
何か新しい道を発見して
ぐいぐいと乱暴に光に向かって
進むような若者は、
なかなか出てきにくい。
こういうときに必要なのが、
長老の話なのだと、ぼくは思うのだ。

しかし、いまは
家族のあり方が昔とはちがっていて、
老人と若い人たちは、
いっしょに暮しているわけではない。
会社にも、経営陣は別として
定年制というものがあって、
65歳を過ぎた人たちの顔を
見ることもない。

人間は年をとると頑なになるとか、
融通が利かなくなるとか、
よく言われてきたけれど、
ぼくの知っている年をとった人たちは、
とんでもなく柔らかで根源的なのだ。
生き方によっては、年をとればとるほど、
大らかに広々とした目で
世界や人間を語れるようになるのだと、
こういう人たちから、ぼくは学んだ。

いままでも、「ほぼ日」のなかで、
対談というかたちで
登場していただいた方々の、
生の声を、ほんとにみんなに
分けてあげたいものだと、
ずっと思ってきた。

「何かの立場を守るため」でも、
「講演という仕事をするため」でもなく
その場に来て、話をしてくれる長老たちの、
生の声が、どういう
タペストリーを織りだしていくかを、
その場にいて見続けることは、
かなりスリリングな
「娯楽」になるとさえ言えるだろう。

(※「ダーリンコラム」「老」への興味を
  静かに語ったところです。メール大反響!)



【批判が人を生かすことはない?】

「はたして批判メールは、私を育てたか?
 答えは、NOだった。
 拍子抜けするくらい、何も生んでいない。
 批判メールの内容は、
 ほんとうにつまらなかった。
 これを言うのに3年かかった。

 どうして、こういうメールに、
 長時間、まじめにとっくみあったのか、
 と思う。それは、
 時間の無駄ですむロスではなかった。
 いやなストレスを溜め込むし、
 せっかくよい問題提起のある
 メールをくださっている読者と
 はればれと向かい合えない。
 つまり、今日を生きるのに遅れる。
 (※中略)
 批判的に観ること自体は、易しい。
 まるい円のようなものを想像して、
 相手に足りないものを
 指摘すればよいのだ。
 相手が、明るさが大切と言えば、
 いいや、暗さも大切だ、と言えばいい。
 明らかに、まちがっているものに、批判、
 面白くないものに、つまらん、
 自分と違うものに、自分は違うぞ、
 と思う発想自体は、
 そんなに新鮮なことではない。

 言うのに勇気がいるだけで、
 もしかしたら、
 こどもでもだれでも、思うことで、
 放っておいてもいつか気づくかもしれない。
 本人も、うすうす、
 気づいているかもしれない。

 しかし、『優しさ』を示そうとすれば、
 かなり、高度な発想力が求められると思う。

 自分と違うものに→ちがう、
 ではなく優しさを、
 間違っているものに→批判、
 ではなく優しさを、
 示そうと思ったら、いくつかの発想がいる。
 経験もいる。
 批判する人が気づくことは、
 当然気づいていて、
 その先、相手は、なぜ、こんな
 間違ったことをしているのかとか、
 そのことが自分たちに
 どういう意味をもっているかとか。

 そして今、欠点が目立ったり、
 問題がある相手を、
 未来に向かってどう生かすか、
 というビジョンが求められる。

 批判しなきゃ、
 相手は間違いに気づけないじゃないか!
 という意見は当然あると思う。
 でも言いにくいことを
 ズバッと指摘してやったら
 相手が育つとか、人を生かすとは、
 そんな単純なことではないように思う。
 批判しなくても、現実は
 こんなに厳しく
 日々人を打ってくれている。

 厳しくやってきた自分が揺らいでいる。
 『優しさ』こそ、
 いま、人を生かすのに
 有効ではないだろうか?」

(※「おとなの小論文」より。この著者自身も
  迷いながらの言葉に、メールが殺到でした



今週のこぼれ話

担当編集者からのこぼれ話や
裏話をお伝えいたしまーす。

【爆笑問題・太田光の
  家族をつくったゲーム】


予告どおり、最後は落語話へ
なだれ込んだ対談でしたが、
立ち会っていて、
「落語」というものへの興味は
かなり高くなりました。
読者のみなさんからも
「ぜひ落語コンテンツを!」
というメールが多数寄せられ、
爆発的にではないものの
潜在的なニーズがあることを
予感させました。

で、昨日のことなんですが、
シェフ武井の机に
興味深いものを発見しました。

『落語名人選 桂文楽 寝床/素人鰻』

あ! これ、対談中に
落語の入門編として
推薦されてたCDじゃないですか!
「うん。さっそくネットで注文したんだけど、
 忙しくてまだ聴けてないんだよねー」
ちょっと貸してくださいよ、
減るもんじゃないしいいでしょう、
え? まだ封を切ってない?
そんなもん、僕がいま開けますよ、
はい、ビリビリビリビリ……。
「ああああっ!」
絶叫するシェフ武井を無視して
机で目を閉じながら聴くこと27分55秒。

へえ、ふうん、にやにやにや、
あはははは、ふうん、あはは、へえ。

そんな感じで、にやにやしながら
聴き入ってしまいました。
周囲の者はかなり気味悪がっていた模様です。
どっかんばっかん笑うというわけじゃないけど
なんだか、とってもいい時間を過ごしました。
盤面をご紹介しておきますね。
大店の旦那の「まんざらでもない感じ」が
かなりツボにはまりました。

落語名人選
 寝床/素人鰻
桂文楽(八代目)

(担当者 永田ソフト)


【アンケート祭り集計部は
 たくさんの文字とにらめっこ中!】

「ほぼ日・大アンケート祭り」に
お答えいただいた内容を、
ひとつずつ集計して、ご報告をしている
「アンケート祭り集計部」。
インターネットで実施したアンケートなのですが、
ボタンひとつで集計結果が
はじきだされるわけではありません。
いただくご意見をひとつずつ読ませていただき、
分類をしているため、
集計内容を数字にするまでが、
とってもおもしろく
かつやりがいのある重労働なのです。

タイトルまつがいについては
すでにご報告をしましたが、
第3回アンケートの集計の中に、
「ほぼ日に登場してもいいのに、
 なかなか登場しなくてがっかりだな、
 という人はいますか?」
という設問への回答もバラエティー豊かでした!
集計レポートでは、みなさんが書かれたお名前を
表記が多少異なってもカウントして、
1位から15位までを
発表させていただきましたが、
ここではランク外の方を
少しご紹介させていただきます。

やはり「ほぼ日・大アンケート祭り」ならではの
リクエストですね!
「・・・どせいさん?」
「ネス」
「グミ族」
「ゲップー」
ゲーム「MOTHER」の登場人物たちでした。
みなさんはもうゲームの中で会いましたか?

分類不能な方々へのリクエストも…数知れずでした。
「もっと若い奴」
「男子高生(男子校のね)」
「島遊びの達人」
「屋台のおじさん」

そして、ご丁寧にありがとうございます。
「今、徹夜中で思い浮かびません」
「思いつかないです、ゴメン・・・」
「ぱっと思い浮かばないのでパス。」
「特にナシ。どなたでも大歓迎。」

最後に、実は番外編でかなり得票を集めたのが
こちらの方々でした。
「恥ずかしながら…自分」
「わたし」
「おれ?」
「夫」
「私の伯父」
さすが「ほぼ日」の読者の方々ですね!
「自分好き」成分が濃いめ?!
いやいや、この中にはすでに投稿をしていただいて、
出ていただいている方もいらっしゃるのでは…
と思いながらカウントさせていただきました。

自由筆記でご丁寧に答えていただいた
みなさまのご意見はしっかり
読み込んで集計をさせていただいております。
引き続き
買った?買わない?
ほぼ日は届いてますか?
携帯電話でほぼ日を!
「ほぼ日」は読みやすいですか?
知りあう季節
の集計もご報告していきますので、
「ほぼ日・大アンケート祭り」に
ご参加いただいた方はもちろん、
ご参加いただかなかった方も、
ぜひ「ほぼ日」でつながっている他の方々の
雰囲気を感じ取ってくださーい!
(担当者 アロハ・トミタ)


【作家・川上弘美さんが登場!】
「男女が一緒に住むということ」は、
男女とも、熱い目をそそいでくれた対談。
川上さんのすずやかな語り口と細やかさに、
あなたのパートナーとの関係のヒントも、
あったのかもしれませんね。

さて、今回の短期連載コンテンツは、
まだまだ、序の口ってところがあります。
川上さんが、その日に話したのは、
なんと言っても、『MOTHER』のこと……。

『MOTHER』連載のほうの予告として、
ふたりの会話の一部を、
今日は、こっそりご紹介しちゃいましょう。

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川上:
 『MOTHER』をやっている時は、
 登場人物の中でも、
 男の子に同化しますね。
 男の子でも、なぜか、主人公と、
 3番目のメガネの子に同化する。
 メガネの子って、
 私たちの世代だと特にそうなのかな?
 科学万能の時代だったでしょう。
 そのシンボルだから、
 ああいう子が出てくると、
 明るい気持ちになるんですね。
 今は、ああいうのないから。
 ああいう、機械いじりが上手くて、
 何でもできるんだっていう、なんか、
 郷愁もあるのかもわからないけど。

糸井:
 郷愁ですね。
 科学という名の郷愁ですよ。
 ぼくは、川上さんより
 ずっと歳上だけど、
 スプートニクっていう人工衛星が
 あったのは、自分にとって大事件で。
 科学は何でもできるって、
 いったんは、思っていましたから。
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思い入れの力だとか、
ひとつの言葉が身体に及ぼす波紋だとか。
ゲームの話なんだけれども、
生き方とか創作論だとかまで入ってくる、
そんな対談を、どうぞ、おたのしみに!
(担当者 メリー木村)

2003-06-28-SAT


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