3日目:ガスの点火、料理、切り絵


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8/10 3日目

6:00起きてメガネをかける。
フトンの上でゴロゴロし、頭を45°かたむけると、
たたみがかべになった。
でも自分はフトンに寝ているから、
フトンは宙に浮いているかんじがする。

フトンごと浮いている図

自分の寝ている部屋の配置図は、どう考えてもこう。
目をつぶって想像しても、同じ。



でも目をつぶっていて、
友人Nの歯磨きする音が
右のかべからきこえてきた。
とたんに頭の中の配置図がこちらにかわった。
たぶんこっちが正しい配置図。



※上の2つの配置図は目をつぶって
 方向を確認してかきました。

朝ごはんの後、シャワーをあびる。
シャワーがいつまでたってもあつくならない。
いつも先生が、ガスを点火してくれるのだが、
どうも火がついていないようだ。
男の先生を呼ぶわけにはいかない。
こんな時にかぎって、
おフロ用メガネを忘れている。
いつものメガネを取り出して、
ガスの点火の仕方の説明を読む。
「スイッチを押し回し、押したまま、
 点火レバーを右に回す。」
右? 右はどっちだ? と、頭がきく。
こっちです、と右手が手を回して答える。
よし、いくぞ。
左手がスイッチを押し回し、右手がレバーを回す。
ついた!!! 点火した!
私は自分に拍手を送ってあげたくなりました。

ふすまもむずかしい。
片手であけても、尚、
目の前にもう片方のふすまが残る。
そしてそのふすまにぶつかる。

うまくやるこつは、手で引いているふすまに、
自分もついて行くこと。
すると目の前に空間が広がる。



車で外出。家から出て駐車場に向かう。
駐車場は出て右だから、と
右に曲がって進んで行くと、
吉村先生がちがうという。
え? と思って、
あわててスタート地点の家にもどり、
よくよく周りをみてみると、
駐車場は反対側にある。
視界に入らない手で駐車場を指してみると、
その反対側と思っていた方が右だと分かった。
私はさっき、右に曲がったつもりで、
左に曲がっていたのだった!

その後、車のシートに座るまでが、頭をぶつけ、
足をぶつけ、さんざんでした。
昨日までは
「シートは右に見えるから左にあるんだな」と思い、
頭で考えて、ある程度うまくいったのに、
今日はヘタになった。混乱している。

車は左ハンドルの右側通行。
前にいる車が、対向車のように見えてこわい。
横を向くと、車は後ろに走っているように見える。
その横の窓に映った私は、180°逆を向いている。



切り絵美術館で切り絵体験する。
カッターで紙を切り抜くことは、とてもとくいだ。
思ったより手がスムーズに動く。
右手と左手が、忠犬のように、良くいうことを聞く。
左手を見ながら、忠実に、描きました。
横に「左手」と書いたけれど、
「左」の“ェ”の部分をうっかり切りぬいてしまい、
「右」になってしまった。
だから紙を裏返して右手とした。
絵だけを見る私には左手に見えます。



帰りの車で酔ってしまった。
目をつぶる。つかれた。
まだ3日目か、と心の中でため息をつく。

家についても、ぐたっとしている。
でも、このままじゃいけない!
今日は、初の料理に挑戦する予定だ。
と、自分のおしりをたたき、台所へいく。
とりと玉ねぎの玉子とじ。
ゆっくりと、たどたどしいけど、作って行くうちに
調子にのってきた。
少し楽しくもなってきた。
すると元気も出てくる。不思議だ。

昨日の日記を読んで、先生と友人Nに、
別々に間違いを指摘された。
昼に食べたのはソーメンではなくうどんだそうだ。
こういう細かいことにアバウトになるのだ。
頭が、他の大事なこと、
つまづかないように歩くとか、
茶わんを割らないように運ぶとか、
そっちにかかりっきりで、
どうでもいいことにはいいかげんになる。

<ほぼ日より>
3日目、曇るメガネ(しかも左右反転)で、
慣れていないおフロのガスを
点火しなければいけなくなった川辺さん。
右手や右足は分かっても、なにかを右に回す、
といったことが分かりにくくなるのですね。
切り絵でのカッター使いやお料理など、
ふだんしている作業はいくぶんうまくいくようですし、
やっているうちに楽しくなっていったごようす。
手の仕事って、楽しいですよね。

2007-08-11-SAT