おいしい店とのつきあい方。
六冊目

130 ごきげんな食いしん坊。その24サカキ家の玉子サンド。

さて先週の復習をちょっと。
ボクの母が6時間かけて作る、
とびきりの玉子サラダのサンドイッチの材料がこれ。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
【材料】
・食パン‥‥4枚
・一晩かけて常温に戻した玉子‥‥6個
・キュウリ‥‥3分の1本
・玉葱‥‥4分の1個
・セロリとパセリのみじん切り
‥‥それぞれ適宜
・塩
・白胡椒
・マヨネーズ
・バター
・洋芥子(粉末) いずれも適宜

・最後に秘密の隠し味
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

まず作り始めるのは玉子サラダ。
常温に戻した玉子をまず4個。
水を張った手鍋に入れて、
常温から火にかけ10分。
弱火でコトコト。
すると、白身はかっちり固まって
黄身はほどよく半熟状態に仕上がっていく。
まだ熱いときに殻を剥き、白身と黄身を別々にする。
白身だけをボウルに入れて、
すりこ木を使って細かく潰す。
包丁で切ったり、
あるいはゆで玉子のスライサーを使って細かくすると
簡単なのだけど、切れた断面が鋭くなって
舌触りがなめらかになってくれない。
それでひたすら潰す。

用意していた6個の玉子の残りの2個は
フライパンで目玉焼きにする。
水入れ、蓋して、ひっくり返さず
白身がしっかり固まったところで取り出すと、
黄身はトロリと半熟状態。
黄身だけとりだし、
茹でた玉子の白身を潰したボウルに投入。
塩と胡椒とマヨネーズを注いで混ぜて、
粗熱がとれるまで休ませる。
これで玉子サラダのベースの完成。

茹でた玉子の半熟の黄身は使わずそのままとっておく。
ちなみに黄身だけを使った目玉焼きの白身は、
刻んで昼のサラダの飾りになるのが
サカキ家のならわしでした。
ミモザサラダのようだけど黄色みがなく白だけだから、
カスミソウサラダって母は名付けて、
うちのみんなもそう呼んでいた。

玉子サラダのベースの粗熱がすっかりとれてしまうまで、
そこに混ぜる具材の準備。
キュウリは薄切り。
軽く茹でて、タオルで包んでギュギュッと絞る。
キュウリは茹でると水気を吐き出し、
時間がたっても水っぽくならず、
パリッとした食感だけが残ってくれる。
それでまず茹で、水気をとって
みじん切りにしてサラダのベースに入れ、混ぜる。
スライスオニオンは塩をうち、
しばらくなじませヌメリと水気をとってそれも混ぜ、
茹でた玉子の黄身の登場。

指で潰してざっくり混ぜて、冷蔵庫に入れ冷やし固める。
4時間ほどの時間がかかる。
つまり、玉子を茹でて、
焼いた黄身と白身を混ぜて
粗熱をとるところからはじめると
この段階までですでに5時間。

やっとパンの出番です。

商店街に住んでいました。
家の向かい側に焼きたてのパンを作って売る店があり、
そこの食パンの焼きあがる時間が
10時からはじまり3時間おき。
ちょうど午後1時に焼きあがる食パンを半斤予約。
焼けたばかりでは薄くスライスできないから、
1時間ほどたった頃合いで10枚切りにしてもらい、
耳までとってもらって使う。
それを買いに行くのがボクの仕事で、
切り落とした耳をみんなよりも
一足先に試食できるのがうれしい特典。

買ってきたばかりのパンはまだほんのりあったかで、
すぐに袋から出してまな板の上に並べる。
焼かずにそのまま。
室温に戻しておいたバターの中に
粉の芥子を混ぜたものを薄く塗ったら
冷蔵庫の中の玉子サラダを取り出します。

最後の仕上げ。
そのときどきでみじん切りにした具材を散らす。
多かったのはセロリのみじん切りやパセリ。
ときにちょっとだけ残ってたロースハムのみじん切りや、
魚肉ソーセージを刻んで混ぜたりしていました。
冷やし固めたサラダは固い。
味もこなれてそのまま食べるとおいしんだけれど、
パンに挟むと存在感が薄まってしまう。
それで秘密の隠し味。

なにかといえば、カルピスの原液でした。
甘みと酸味、さっぱりとした旨味のかたまり。
出来た玉子サラダの味をたしかめ、
パンの甘さをチェックして、
それにあわせてポタリポタリと垂らして混ぜる。
パンに乗せ、パンで蓋する。
すぐに切りたくなるところを、
パンと玉子サラダをなじませたほうがおいしくなるからと、
キレイなふきんで包み込み、
霧吹きで水を吹き付け30分ほど休ませる。
作り始めてそろそろ6時間。
おやつの時間が近づいてくる。
切り分ける時間がきます。

ところで、耳までキレイにとった食パンを使って
作った玉子サンドイッチ。
どのように切ればお皿の上でキレイに見えるか。
そしておいしくたのしめるのか。
また来週のおたのしみ。

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2017-09-21-THU

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