MONEY IS...vol.07  谷川俊太郎、 金銭考。
数か月にわたってお届けした 創刊12周年記念「お金」特集の最後に、 この特集のために書かれた詩をお届けします。 「お金」についての詩です。「金銭考」という題です。 書いてくださったのは谷川俊太郎さんです。 そして、読んでくださったのは星野源さんです。 動画になっていますので、 画面をクリックして、ごらんください。
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金銭考                    谷川俊太郎  1メートルは無色透明 1グラムだって清らかな白 でも1エンとなるとそうはいかない 数字が色めき色気付き世界中を飛び回る  軽い小さい丸いアルミは何の種? 集まって貪欲の根無し草をはびこらせる だが貨幣はもはや財布の中に住んではいない 見えない電子の網と化して地球をまるごと捕まえる  ことお金に関してだけは人類は皆兄弟 麻薬の売り買い武器の売り買い賭博に贈賄収賄と ユーロもドルも元もウォンも喧嘩しながら仲良しだ 点滅する数字信じて 膨らみ続ける欲望信じて  千円札の定価は千円 だが原価はもちろんはるかに安い 千円札も万札もときには偉い人の顔に泥を塗るが ときにはタダで手放してお金を気持ちに変えたりもする 良かれ悪しかれお金は自分 お金はまるで人間そのもの
谷川俊太郎さんプロフィール 星野源さんプロフィール
1931年生まれ。詩人。
「朝のリレー」「二十億光年の孤独」
「いるか」「かっぱ」「みみをすます」「生きる」
など、数千篇におよぶ詩作品や、
レオ・レオニ作『スイミー』、
スヌーピーでおなじみ
「ピーナツブックス」シリーズ、
『マザー・グースのうた』などの翻訳、そして
テレビアニメの「鉄腕アトム」主題歌や
「月火水木金土日のうた」などの作詞も手がける。
現在は、詩の朗読を中心にしたライヴ活動も
精力的に行なっている。
現代を代表する詩人のひとり。

今回、お金をテーマにした詩を書くにあたっては、
「お金の詩ってね、すっごく
 むずかしいんです。
 だけど、やってみます」
といって、引き受けてくださいました。
1981年生まれ。ミュージシャン、俳優。
インストゥルメンタルバンド・SAKEROCKのリーダー。
2010年6月に、ビクターエンタテインメントより
ソロアルバム『ばかのうた』を発表。
2010年9月には、初のソロライブツアーを控えている。
くわしくはこちらを。
俳優としては、舞台、映画、ドラマなどで活躍。
最近の出演作は
映画「ノン子36歳(家事手伝い)」
ドラマ「ゲゲゲの女房」(NHK)など。
また、エッセイ「そして生活はづづく」(マガジンハウス)
を刊行するなど幅広く活躍している。

星野さんに今回の朗読の感想をうかがいました。
「『金銭考』を朗読している間ずっと、
 なんだか奇妙な気持ちよさがありました。
 お金の話をしてるのにね。
 この微妙な気持ちよさが、
 皆さんに伝わったら嬉しいです」
2010-08-31-TUE